第3話 飯を食らうときはね、なんとなく救われた気分になっていてほしいと思うの。

カウンター席に座り、日替わり定食を頼む。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


親指で金貨をはじく


ころころとカウンターの上を転がり、黄金の輝きを放ちながら、ほかの客の肘や、食器を交わし主人のほうへと向かっていく。


その様はまるで、砂漠でオアシスに向かうゴールデンバタフライのようだ。


バタフライは主人の目の前に止まった。


主人は面白くなさそうな顔で俺をみつめ、坊主、死神が背後に見えるぜと、せせら笑った


これから死ぬやつに飯なんかいらねぇんじゃねぇのか


俺は舌打ちをし、うるせぇ、さっさとしな。


コックってのは、食いてぇやつに食わしてやる。


それで、いいんじゃねぇのか と言い返す


はん、それもそうだな


コックは、凄まじい包丁捌きで食材を切り、


鬼神が乗り移ったようなオーラを放ったかと思うと、


中華なべを真上に放り投げ、


食材に調味料を加え、料理を完成させた


まったく、仕事がはええな だが、まずくっちゃ意味が無いぜ


とっとと終わらせな、くそがき


ふむ、ではスープを一口、


味わい深い、ツバメの巣だな、


しょっぱなからこいつとは、ちょっと客を舐めちゃいないかい? 


ほぉー海鮮ものがメインだな


近海で取れた新鮮な魚、朝一番に業者に運ばせたな。


ここまでやるかね普通


うむ、火の通り具合、焦げ目の着きあいからくる外見的な味わい。


みごとだな。


ほぉーこの卵もなかなかだ。


天然の飼料で育てた鶏から採取しないと、ここまでの濃厚な味は出ない。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


ズドン!!!!


と大きな音が後ろから響く


我に返る


ああもう、せっかく「孤独のグルメ」と「カウボーイの食事シーン」を融合させた妄想でアジの開きを楽しんでいたのに!


いかん、骨がのどに刺さった。いてぇ。


てか、ゴールデンバタフライってなんだよwwwww


投げた中華なべはどうなったんだよwwwwww


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