第10話 夜更かしした翌日
「ねえ、アレ読んだ?」
「ふぁぁぁ……読んだよぉ。
「考察も見た? 私びっくりしちゃった!」
「見た見た。確かに!? って思ったよねぇ」
——それは。
少し話題になった小説について、気が置けない友人と語り合う。
——そんな。
ありふれた青春に彩られた
「だって前からさ、言われていたじゃん? 導かれた玉座に
「それなぁ。世襲咎められたから説は、少し弱いもんねぇ」
「そうそう、だからだよね。第一話で最後にふれられた、帝国を導いた英雄よ——が注目されたのは」
「ノクシオン公爵がいたからこそ、皇帝が統治できている。だから導かれた玉座」
「そこで……だよ!」
「……ねぇ!」
妙な興奮を共有し合う。それもまた青春だった。
「「そもそも公爵は英雄だったのか!?」」
息が合った会話に、気が置けない友情を感じる。それもまた一興。
「冒頭から、
「確かに!? って思ったよねぇ」
「ダグラスが歩く野心とか、エリアスが歩く良心とか、どうみても的外れっぽいもんね」
「ダグラスこそ良心。私は信じてるから。テオ兄も、ギル兄も、絶対信用してるもん。だから大丈夫。ダグラスは裏切らない。私は信じてる」
はいはい。ダグラスは正義ですよ、と受け流す。
「ダグラスが悪役なんて……」
「正気とは思えませんな」
あはは、と笑い合う。
「第二話
「埋葬されたことで、記憶からも葬られた英雄。集団催眠だった説。怖すぎぃ」
「でもやっぱり、英雄が死んだにしては、反応が薄いよねぇ」
「皆が英雄だと思い込んでいた。でも実際は……うわぁ」
想像したくないなぁ、と少し大げさに振る舞う。誰も咎める者はいない。
「そうなるとさぁ、
「あのこんちきしょう案件ねぇ。
それもまた、他人が考察した内容だった。
「誰を信じれば良いか、わからないよね」
「ダグラス一択。それは譲れない」
はいはい。ダグラスは正義ですよ、と。他愛もない
それは——まるで夢に見たような——とある世界における
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