第ⅩⅩⅡ章 影の記憶
僕たちは青のフードの敵と遭遇し敵が出した遺跡で探していたスコルを見つけたが、突然僕たちに攻撃を仕掛けてきた。
「スコル!なぜ攻撃を仕掛けるんだ」
スコルは無言でただひたすらに攻撃をするだけだった。
「一体どうしたら…」
「その顔。僕が見たかったのはそれだよ!もっと見せてよ!絶望した顔を!」
スコルは突然目の前で破裂し、あたり一面に血が舞った。
突然の事で何が起こったのか分からなかった。
「ス、スコ…ル?」
「それ!見せてくれて嬉しいよ!もっと見たいな。そうだ!次の街用意しておくから皆でおいで」
ハティは勢いよく飛び出し青のフードを被った奴を噛みちぎった。
すると空間がねじれて青のフードを被った敵は移動していた。
「おっとっと。いきなり危ないじゃんか〜キレすぎだよ?そんなにスコルが大切だったの?ま、いいや。それじゃあ、街に来てね?」
すると突然地面から大きな街が出現した。
僕は希望を全て壊されたように絶望で腰の力が抜けた。
「颯斗…悔しいが……今はアイツを倒す事しか出来気ない。少しの希望を持ってあの街へ行こう……」
僕は立とうとしたが足に力が入らず倒れ込んだ。
ハティは体で倒れる僕を支え、ナミに渡した。
「ウロボロス。颯斗を頼む…」
「待て。ハティ、颯斗はお前のことを心配して、ずっと助けるために探していたんだ。最後に置いていくのか?」
「颯斗には悪いがこれは俺とスコルの引き起こしたことだ。それにそんな颯斗をこれ以上巻き込むことは出来ない…。ウロボロス。颯斗が起きた時に私の言葉を伝えてくれ。たのんだぞ」
ハティは少し悲しくも優しい顔をして行ってしまった。
そしてしばらくして僕はナミ達の傍で目を覚ました。
「スコル!……あ、あれ…?ハティは…?」
「颯斗、目覚めたか。ハティならお前に言葉を残して先に街に向かってしまった」
「こ、言葉…?」
「颯斗、お前のような人間に出会えて良かった。私は人間が嫌いだが、颯斗なら心を許そう。もう、会えぬかもしれんが私は先に街へ向かう。これは私とスコルが起こしたことだ。これ以上巻き込みたくはない。颯斗は戻って体を休めてくれ。じゃあな。って言っていた。きっと颯斗にあんな思いをさせてしまったことに罪悪感を感じているんだろう…」
僕は自然と涙が目からこぼれ落ちた。
「何それ……、酷いよ…。ナミ!あの街へ行こう!」
「颯斗ならそう言うと思った。我らはすぐに行けるぞ?」
僕たちは急いで街に向かった。
街に着くと門が閉まっていたが僕らが近づくと、まるで歓迎されているかのように勝手に開いた。
恐る恐る中に入ると、人の気配は全く無かった。
少し霧がかっていて不気味な雰囲気を醸し出し、街と言うよりは神殿のような感じでもあった。
「一体どこに…」
警戒しながら街を進むと空から突然青フード
の声が聞こえた。
「やぁやぁ!やっと皆来たね!それにしても先に来たワンコロは探してももういないよ?」
「ハティを何処にやった!!答えろ!」
「そんなの決まってるじゃん。僕が殺した」
「……そっか…早く出てこいよ…」
「えー?どうしよかなー?じゃあこの敵を倒したら相手してあげる」
指を鳴らす音がした瞬間あたり一面にスピリトゥスが霧の影から現れた。
「なんだこの数は!?この数は、さすがの我でも体がこたえるな…」
「ざっと100体ぐらいか…はぁ……アビス・フォルシュトレッカー…」
影から白い手が伸び、全てのスピリトゥスを飲み込んだ。
「颯斗、この魔法は一体…」
「なに…、あの影魔法…」
颯斗は俯いたままだった。
「これでいいの…?出てこいよ」
「早すぎるよー!つまんないの…。僕はライアー。君のために世界を破壊に導く者。なのに、なぜ僕らを邪魔するんだ?まぁ、いいや。邪魔するなら殺すだけだし」
「イルシオン・ワスターレ…」
颯斗が詠唱すると周りの風景は歪み霧が晴れ、街は影とともに消えていった。
「僕の幻影が!?何をした!!」
「アカンタ・テムノ…」
ライアーの目、口、腹から刺が内側から切り裂いた。
「いぎゃぁぁぁぁぁ!!」
「黙れ…」
刺が広がりライアーを飲み込み、塵になって消えた。
「颯斗…?一体、今のは…」
舞っている塵の中に鍵も一緒に落ちていくのが見えた。
鍵は地面に打ち付けられ金属特有の音を響かせた。
「ライアー…お前は何も考えずに戦った結果消えるのは早かったな…」
声が聞こえた瞬間空間が裂けて黒ずくめの奴が現れた。
「お前は!なぜ、こんな事を繰り返す!」
「それはこっちのセリフだよ。我らは御方の願いを叶える者、我が名はアフティエル」
颯斗は突然黒ずくめの元へ歩き出した。
「颯斗行くな!危険だ!」
声をかけても颯斗は止まる素振りを見せなかった。
「やっと思い出しましたか?マリシス、フュポクリシス、ライアー、アフティエル、我らはお役に立てたでしょうか。後はあなたの手で」
アフティエルは颯斗に今までの鍵を渡した。
「は、颯斗…?」
「颯斗が…敵…だと…!?」
「人間さんが……なんで…」
「颯斗さん…どうして…」
颯斗は口を開き今までに聞いた事のないほどに暗い声で喋った。
「全部思い出した。僕は最初から、この世界の破滅を願った。皆死んでしまえって。どうして忘れていたんだろ」
「颯斗!こっちに戻れ!」
「今更無理だよ。マリシスを倒した時から薄々気づき始めてた。敵を倒す度に記憶と感情が蘇ってるって事。鍵はすぐには解かない。今日から10日後に解く。せいぜい足掻け…獣共よ。世界に終焉あれ…」
颯斗はアフティエルと共に空間に消えていった。
奥をよく見るとハティとスコルが倒れていた。
我らは倒れているハティとスコルに駆け寄った。
「ど、どこだ…ここは…?は!なぜウロボロス達がここに!」
「信じられないが…、颯斗が…我らを裏切った…」
「な、何を言っているんだ…?」
「ライアーを倒した後…颯斗が黒ずくめと…」
「そんな、馬鹿な…」
周りは静かで皆信じられない事に騒然としていた。
現在のステータス
名前:?
年齢:16歳
スキル:メゲトス、コルセラピア
全体レベル:?
魔法適正:?
契約魔獣:ウロボロス、レヴィアタン
リンドヴルム
あとがき
第ⅩⅩⅡ章を読んでいただきありがとうございました!
今回は話が一気に動きましたが、ついてこれましたでしょうか…?
果たして颯斗君はどうなってしまうのか…ナミ達はどうするのか…
次回も読んでいただけると幸いです!
異世界で魔獣と新生活トラベル 宏吉 @hirokichi2005
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