第ⅩⅩⅠ章 虚構の襲撃

僕たちはベルク王国で起きている異変を調査すべく色々な人達に話を聞き周り、ひとつの手がかりを見つけた。

その冒険者いわくベルク王国の北門から少し奥に進んだところにある薬草の群生地の場所で襲われたとの事だった。

そして僕たちは宿で疲れを癒し調査を再開するのであった。

「あぁ〜エデルの調査から休憩できていないせいで身体が痛いなぁ〜」

「この調査が終わったらみんなでニクスの温泉に入りに行こう」

「そうだね!それを糧に頑張ろ!」

「人間さん!今どこに向かってるの?」

「昨日謎の魔獣に襲われた冒険者いわくベルク王国の北門から少し奥に進んだら薬草の群生地があるらしくて、そこで襲われたみたいなんだ。それで今そこに向かってるんだよ〜」

「手がかりはそれだけなのか…とりあえず行ってみよう」

僕たちは少し急ぎめで目的地に向かうと薬草が何かに踏み潰された跡があった。

「群生地がめちゃくちゃ…」

「この匂いハティの匂いだ。匂いはそこまで薄れていないな。この様子だとそう遠くに行っていないはずだ」

ナミは匂いを辿って山の方へ入っていった。

「本当にこんな所にいるの?」

「匂いはここで途切れているな…この付近に手がかりがあるのではないか?」

僕たちはあたりを見回したが特にそれらしい形跡はなかった。

すると突然僕に何かが飛びかかってきた。

「颯斗!」

僕は肩を噛まれたが魔獣を見ると心配で痛みは忘れていた。

魔獣はとても苦しそうな顔で傷だらけだった

「魔獣さん…」

「ガルルルル…」

「何があったか分からないけど、落ち着いて…攻撃したりしないから大丈夫だよ…」

僕は魔獣を軽く抱きしめ頭を撫でた。

「ガルル…ルルル」

魔獣は脱力したと思うと一気に力が抜けて倒れ込んだ。

「魔獣さん!」

「大丈夫だ。気絶してるだけだ」

僕は今になってようやく痛みに気がつき出血が止まらなかった。

「颯斗動くな!出血が酷くなるぞ」

「私に任せてください!魔女の回復魔法はどんな怪我も即座に完治できるので」

リリィさんに魔法で治療してもらい肩はすぐに完治した。

「やっぱり魔法はすごいな。リリィさん、ありがとうございます!」

「颯斗、間違いなくこの魔獣はハティだ」

「何でこんなに傷だらけなんだろ…」

「さっぱり分からないな…」

「傷跡見るに自傷っぽいんだよね」

「どうして自傷なんて…」

僕たちはハティが目を覚ますまで野宿することにした。

そして夜になり焚き火で温まっているとハティが目を覚まし周りを見渡し状況を整理しているようだった。

「大丈夫…?」

「私に触れるな人間!」

「ご、ごめんなさい…」

僕はハティに触れていた手を退けた。

「ハティ、お前が気絶している間、颯斗はずっとお前を心配していたんだぞ。それなのにその態度か。例え人間よりも上の存在であろうと感謝はすべきであろう」

「ウロボロス!?レヴィアタンにリンドヴルムまで!なぜここに!」

「それより颯斗に先に言うことがあるんじゃないのか?」

「人の子よ先程はすまなかった。私を心配してくれたこと礼を言う。それになぜお前たちがここにいるのだ?」

「我らは颯斗と契約を交わしたんだ。今は颯斗の契約魔獣として共にいるのだ」

ハティはなんだか寂しそうだった。

「ハティさん…その、ここに来るまでに何があったのか教えてくれませんか…?」

「私とスコルは裏世界で守護獣としていたのだが、スコルは人間と関わろうとした。最初は止めていたが、あまりにも人間と関わりたいと行っていたから私は表世界に行くことを許可した。するとスコルは何者かにさらわれてしまったんだ。私は表と裏の門を開けた時黒ずくめの何者かに魔法をかけられてしまって…。途端に体は言うことを聞かなくなりスコルをさらった人間達に殺意を感じたんだ。気づけば自我を忘れていた。」

「あの傷は自分を止めようとした時に噛んだ傷だったんだ…」

「これだから人間は好かんのだ…人間は醜い争いと繁栄を繰り返すだけだ。なぜ争う…なぜ殺し合う…」

僕はハティの気持ちに共感し、悲しい気持ちになった。

「人間よこんなことを言った後ではあるが、私の弟のスコルを助けてはくれないだろうか…」

「分かりました!僕たちに任せてください」

僕はまた優しく抱きしめて言った。

「礼を言う。私も力を貸そう」

そして僕たちはハティの言うスコルがさらわれた場所に向かった。

「ここだ。スコルの匂いがここで消えてしまっているんだ」

「守護獣をさらうなんて、普通の人じゃなさそう。もしかしたらあの黒ずくめのやつと何か関係あるんじゃ…」

すると上空に青のフードを被った人が現れた。

「誰だ!」

「やっぱり…ここに来たんだ。スコルだっけ。探してるんでしょ?それなら…」

指を鳴らしたと思うと突然地面から遺跡のようなものが飛び出してきた。

「この遺跡のどこかにスコルがいるから頑張って助けてみな。あぁ、ちなみにすまないけど裏世界の鍵はもう頂いたから。それじゃあ…」

「待て!クソ、逃げられたか…」

「行くしかないか。とりあえずスコルを助けないと!」

僕たちは遺跡を進みスコルを探した。至る所にスピリトゥスが道を阻んだ。

「やはりあの時のスピリトゥスはあいつの仕業だったんだな」

「そうみたいだね」

そして奥に進み続けるとスコルを見つけた。

だが、スコルの手足と首には鎖が繋がれていてぐったりしていた。

「スコル!大丈夫か!」

「ハティ…?ごめんなさい。ハティの言う通りだった…」

「もういい。今は休んでいろ」

フカは鎖を断ち切りハティはスコルを背に乗せて遺跡を出ようとした。

そしてスコルを治療しようと見るとスコルの姿は消えていた。

「アイルーティス…これは僕が考えた魔法だけどどうだった?」

どこからか青のフードを被ったやつの声が聞こえた。

スコルは突然現れ僕たちを攻撃しだした。

「スコル…どうして…」


現在のステータス

名前:宇積 颯斗

年齢:16歳

スキル:メゲトス、コルセラピア

全体レベル:30

魔法適正:風、植物、天気、水、地

契約魔獣:ウロボロス、レヴィアタン

リンドヴルム


あとがき

ⅩⅩⅠ章を最後まで読んでいただきありがとうございます!

スコルは助かるのか、青のフードの敵はなんなのか…

次回も読んでいただけると嬉しいです!

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