第ⅩⅨ章 新たな旅
僕は夢の中で低い視点からナミ達と一緒に遊んでいるような光景がぼんやりと見えた。
「は!ここは…リリィさんは!」
「おやおや目が覚めたかい?」
僕はみんなの姿が見えなく体を起こそうとすると知らない人に止められた。
「こらこら!まだダメだよ…君魔力使い果たしてるのに動いちゃ魔力回路が崩れてしまうぞ」
「でも僕には仲間が…!」
「あの蛇の魔獣の連中のことかい?それなら心配しなくて大丈夫だよ。今街の人達の救助をしてくれているよ」
「街…?はっ!エデル帝国の住人ですか…?」
「そうだけど…あぁ、あの蛇の魔獣も言ってたな。どうやら俺たちは催眠魔法に囚われていた見たいなんだ。記憶もないし、それ以前に魔女狩りなんて行う必要も無いし」
僕は安堵して胸を撫で下ろした。
すると奥からみんなが歩いてきた。
「みんな!これはどいういこと?あの後どうなったの…?」
「実は、颯斗が気を失った後俺たちを心配して攻撃的なはずの住人達が優しく近ずいて来たんだ。多分エデル帝国のこの状況を作り出したのはフュポクリシスで間違いない」
「なんでリリィさんの手を縛ってるの…?」
「念の為だ。敵に手を貸したのは事実だからな。理由等はまたみんなが揃っているときで良いだろうと思ってな」
「リリィさん…どうして…」
リリィさんは下を俯いて無言だった。
僕はリリィに目を合わせようとしたがそらされた。
「何か理由があったのなら聞きますよ?すぐに言えないのなら今じゃなくてもいい。でも絶対に理由だけは教えてください…僕たちは裏切られた状況だから…」
少しの沈黙が続きその後にリリィさんは言葉を口にした。
「ごめんなさい。謝って許されることじゃないよね。私は小さい頃からずっと差別されてきた。貶されて、気持ち悪がられて何もかも信用出来なかった。死を覚悟した時フュポクリシスが止めてくれた。フュポクリシスはエデルの人々を催眠魔法にかけて私のための街を作ってくれた。でも求めていたものとは違った。けどもう後戻りもできなくて…」
「ちょっと待って。リンは?リンドヴルムはリリィさんのこと心配していたよ…?」
「リンドヴルムは守護獣だから魔女である私が関わっちゃ行けない。だから私はリンドヴルムから距離を置いたの。でも私のせいで街の人たちもリンドヴルムも颯斗さん達も巻き込んでしまった…もうどうしたらいいのか…」
僕は涙を流すリリィさんの手の拘束を外し抱き寄せた。
「大丈夫…僕たちはリリィさんのこと嫌いになんてならないし、1人にもさせない。僕らの大切な仲間だから。マリシスの時も一緒に戦ってくれた。僕とフカが入院してる時も何度もお見舞いに来てくれた。リリィさんは魔女は魔女でも人々に優しさを与えてくれる魔女だから今回の事も許すよ」
街の人々が集まりリリィさんのことを囲った。
「あの時助けてくれてありがとな!」
「作ってくれた薬のおかげで私は今も生きれているよ。ありがとう」
「傷を癒してくれてありがとうございました」
人々はリリィさんを許し、礼を言い、月灯りに照らされたリリィさんはエデルを守った月下の魔女と称えられた。
リリィさんは澄んだ涙を流しながら少し笑顔を取り戻した。
「みんな…ありがとう、」
それから数日後僕たちはエデル帝国に泊まりながら街の復興をお手伝いした。
リリィさんや守護獣たちの魔法のおかげでものすごい速さで街の姿を取り戻した。
そして僕たちは1度家に戻るため準備をしていると突然ダレンさんたちからの伝達が届いた。
どうやらトラブルが発生したようだった。
僕の家に1度戻るとのことだ。
「ダレンさんたちも大丈夫かな…」
「帰還すると言っていたのだろ?それなら大丈夫さ」
僕はナミの言葉を信じて家に戻った。
帰ってきて数時間後にダレンさんたちも戻ってきた。
だがダレンさん達はボロボロになっていた。
「ダレンさん!一体何が…」
僕はダレンさんに肩を貸してソファーに座らせた。
「颯斗さん…ベルク王国を目指してくれ…」
ナミ、フカ、リンは何か思い当たる節があるようだった。
「みんな、もしかして何か知ってる?」
「颯斗、ベルク王国の裏側はペリルの荒地があるんだ。そこには守護獣がいるが奴らは危険すぎる…」
「守護獣!?もしかして最後の一体?でも奴らってどういう…」
「ペリルの荒地には2ついで一体のスコル、ハティという守護獣がいるんだ。だが奴らは我やレヴィアタン、リンドヴルムよりも強力な力を持っている。もしも敵対されれば勝ち目などない程だ」
「でもナミ達と同じ守護獣ならきっと理解してくれるはず!まずは行ってみよう。ダレンさんたちはここで休んでいてください!」
「颯斗さん…悪いな…」
そして僕たちはペリルの荒地を目指した。
「ペリルの荒地の近くに人っているのかな?」
「ペリルの荒地は世界の裏側、つまり裏世界には人間の住処は無いはずだ。人間がいないからこそ奴らはそこを守護する獣となったのだ」
「ペリルの荒地の守護獣は人間のこと嫌いなのか…大丈夫かな…」
僕は守護獣に意志をちゃんと伝えられるか心配だった。
「そういうばペリルの荒地ってこっちであってるの?」
今思えば飛び出してきたがとりあえずで向かっていた。
「ねぇねぇ!人間さん!良かったらみんなで僕に乗る〜?」
「え?あ、いいなら乗せて欲しいな。空からだったら見えやすいと思うし」
「颯斗、ペリルの荒地は目視するのは不可能だ。何度も言うがペリルの荒地の位置は世界の裏側だからな」
「どういうこと?世界の裏側ってことは異世界的な感じ?」
「そんなところだな。ペリルの荒地に行くなら月食、日食それぞれの時にアーウェルサという魔法で門を開かなければならない」
「アーウェルサ…聞いたこともないな。私たち魔女もその魔法は使えないと思う」
「魔女でも使えないなんて…どうすれば…」
「颯斗安心しろ。守護獣だけが使えるんだ。元々人間と距離を置くための魔法を神に与えられていたんだが、俺たちは人間を含めて世界を見ていたかった。だから使わなかったんだ。ウロボロスがさっきも言っていたが、奴らは人間を嫌っている。だからアーウェルサを使ったんだろうな」
何故その守護獣は人間のことを嫌っているのか分からなかった。
「でも…なんで、人間を嫌ってるの?」
「僕たち守護獣は世界を守るために神に降ろされたんだ。僕は人間さん達を守るためでもあったけど、スコルとハティは人間を守る為じゃなくて世界の秩序を乱さないために戦ったんだ。でも人間さんたちはスコルとハティが守ってくれたと勘違いをしていたんだ。それに2体は人間ごときがって怒って裏側に行っちゃったんだ」
「人間ごときか…」
話を聞いて尚更心配が募ったが、僕達は恐れずペリルの荒地を目指し旅を続けるのであった。
現在のステータス
名前:宇積 颯斗
年齢:16歳
スキル:メゲトス、コルセラピア
全体レベル:45
魔法適正:風、植物、天気、水、地
契約魔獣:ウロボロス、レヴィアタン
リンドヴルム
あとがき
第ⅩⅨ章を読んでいただきありがとございました!
今回で月下魔女編は終了になります!
次回からは別のエピソードを書きますのでお楽しみに!
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