第ⅩⅧ章 偽善の悪

僕たちは調査のためエデルに行くのだったが途中でニクス王国に寄りリリィさんに温泉を堪能してもらった。

そして次の日。

「ふぁ〜。眠た…もう朝か」

皆ほぼ同時に起きた。

今日はエデル帝国に向かうためニクス王国の馬車にのにり目的地を目指した。

馬車から見える景色はとても綺麗で見とれていた。

「今日も快晴だな〜。ずっとこんな感じで平和ならいいのにな」

「それもそうだな」

「実はさ昔の記憶がほんの少しだけ思い出したんだ」

ナミは驚いて目を見開いていた。

「昔ナミといたような気がするんだ…でもはっきりはまだ思い出せてなくて…」

「大丈夫だ。きっと思い出せる。それに知らない方がいい事もあるだろうしな」

「それもそうだね!」

そしてしばらくするとラケルタ砂漠に着いた。

「エデル帝国の負のオーラが強まってる」

リリィが幻視で何かを感じ取ったようだった。

「まぁ、あの状態でリリィを助けたからそうとう大変なことになってるだろうな」

「お客さんエデル帝国前に着きましたよ。お気をつけて」

僕たちは馬車から降り、どう調査をするか話し合った。

「前みたいには変装でどうにかならなそうだな」

「それなら私が目視封じをみんなにかけるから、その状態なら調査できるかもしれない」

「でかした!ではリリィ頼んだぞ!」

「僕とナミ、リリィさんとフカは2人グループで行動でリンはもしもの時のために街の中心で待機してて。それじゃいざ調査へ!」

そして僕たちは目視封じのおかげで門を誰にも見られず侵入することに成功した。

街の様子は正気を失った人達が街をうろついていた。

何やらボソボソと呟いていたが聞こえなかったため耳を近ずけて聞くと「魔女裁き安寧を」と何度も唱えていて気味が悪かった。

「なんでこんなことになったんだろ…リリィいわく元々こんな人達じゃなかったって言ってたし…もしかして鍵を狙う奴の仕業なのかな」

「どうにせよ、正気の沙汰では無いな」

「ナミ!霧が濃くなってる!離れないでね」

辺りが霧に包まれていき路地裏の方から1人の人間が歩いてきた。

「目視封じが通じていないだと!?誰だ貴様は!」

「落ち着きたまえ。お前たちを導いてやろう。鍵を止めたければ遺跡へ向かえ。救え。世界を…」

そういうと霧に飲まれて消えていった。

消えると同時に霧も元の濃さまで戻って行った。

「なんだったんだ…遺跡、なんの事だ」

僕は透視で街を見回すとエデルの中心の下に地下遺跡のようなものがうっすら見えた。

「ナミ!街の中心の下に遺跡があるかもしれない!罠かもしれないけど何もしないより調べてみる価値はあるかも!行ってみよ!」

僕とナミは走って地下のある場所へ向かった。

するとリンが祭壇の匂いを嗅いでいた。

「リン〜!」

「人間さん!ここ何かあるかもしれないよ!」

「やっぱり、あの人が言っていたこと当たってるかもしれない」

僕は祭壇の壁画の中心にある宝石のようなものが気になった。

触れるとカバンに入ってる契約石と共鳴して光出した。

すると祭壇の真ん中から割れて階段が出現した。

僕たちは警戒しながら階段をゆっくり降りて行った。

辺りは松明の炎で照らされ想像よりも明るかった。

「一体ここに何があるんだろ…」

「僕、ここ知ってるよ?」

僕たちはリンに何のための場所かを聞くとどうやら厄災の鍵が封印されている場所であるみたいだった。

「封印されているなら奥だろうな。颯斗急ぐぞ!」

走って行くと大きな部屋に繋がっていてその部屋の壁には壁文字が書かれていて鍵が中心の台に封印されていた。

「あれは!まだ奪われていない……待て!!もしや!」

背後からコツコツと歩く音が聞こえ振り返ると青いフードを被った人が歩いてきた。

フードを取るとリリィさんだった。

「リリィさん…?」

「リリィ?私が?あなた達のおかげでここにやっとたどり着けた。礼を言わせていただきますね」

「ふざけるな!我らを騙していたのか!」

リリィさんは笑って答えた。

「騙す?騙してなんかいないよ。どうせ私が敵だと思わずあの時助けたんでしょ?私は鍵なんて要らなかった。私は私を助けてくれたから。この体はもういいや…」

そういうとリリィさんの体から抜けるように別の人が出てきた。

「誰だ貴様は!」

「私はフュポクリシス。リリィという魔女の体を貸してもらって力を貯めていた。ただそれだけの事。でも鍵を探さなければ私に怒られてしまからね。その鍵渡してもらうよ」

僕たちは鍵を守ろうとしたが気がつくと鍵は

フュポクリシスの手元にあった。

「君たちに要はもうない。さよなら私」

そう言うと闇に消えていった。

突然遺跡が崩れ初め、急いでリリィさんを担いで遺跡を出た。

外に出るとエデル帝国は建物が倒壊しボロボロになっていた。

「鍵の封印をとかれてしまったが故に崩壊してしまったのだろうな…」

エデル帝国の上空を見るとフュポクリシスが呪文を唱えていた。

僕はそれに向かって魔法を放ち呪文を止めさせた。

「何故。あなたの望でしょ?」

「僕はこんなこと望んでなんか居ない!それ鍵で何をするつもりだ!」

「あなたが望んだように世界を破壊するだけのことです。この世界には優しさなどない。心などない。希望などない。全てを壊したい。そう願ったのは私です」

「そんなの間違ってる!この世界には優しい人がいる!魔獣だって人を守ろうとしてくれた!僕を助けてくれた人だって沢山いた!なのになんで!」

「そんなもの偽善でしかない。人は裏切る生き物だ。人は争うことしかしない。あなたが一番理解しているはずでは?」

「そんなことない!辞めないならお前を倒すだけだ」

「やれるならやってみて下さい」

僕は一斉に魔法攻撃を仕掛けたが全て弾き返された。

ナミも援護をしてくれたが攻撃は一切効かなかった。

「どうすれば…」

すると後ろからリリィさんの声が聞こえた。

「ごめんなさい。颯斗さん。世界を恨んだ私は貴方を許した。けどそれは間違いだった。颯斗さん、私はこんなことしかできないけどごめんなさい。フィフス・マギア・スフラギダ」

そういうとリリィさんの周りに巨大な魔法陣が出現し鎖が伸び、フュポクリシスの動きを止めた。

「颯斗!やれ!今だ!」

僕はリリィさんに教えてもらった第3魔法を使った。

フュポクリシスは傷だらけで地面に落ちた。

霧は晴れ月の光が街を照らした。

「私はもっと早くに気づけたのかもしれない。……最後にあなたに…鍵を守ってください。そして…世界を……」

突然空間に切れ目が入り闇の中から前と同じやつが出現し鍵を差し出したフュポクリシスの手を踏み潰した。

「フュポクリシス。何を考えてる。そんな考えは消してしまえ。なにも考えるな。お前の使命はこれまでだ」

僕たちは身構えやつから目を離さず警戒した。

「怯えるな。じきあなたの望は叶う。まだそのときでは無いがな。しばしのお待ちを」

そういうと何処かに消えていった。

「また、鍵を取られてしまった…このままじゃまずい…」

僕は魔力を一気に使い果たしてしまい意識が失ってしまった。


あとがき

第ⅩⅧ章を読んでいただきありがとうございました!

本日はすごい展開にしました!

フュポクリシスは何故リリィさんに取り付いていたのか…

真相は次回の話で!

それでは次回も見ていただけると幸いです!


現在のステータス

名前:宇積 颯斗

年齢:16歳

スキル:メゲトス、コルセラピア

全体レベル:30

魔法適正:風、植物、天気、水、地

契約魔獣:ウロボロス、レヴィアタン

リンドヴルム

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