第ⅩⅣ章 新たな住人

僕たちはリリィを助けることに成功したがみんな疲れているのもあって話す気力もないため野宿をすることになった。

それから僕たちは起きて朝のご飯を食べながら雑談をしていた。

「我らはリリィこと何も知らないからなあ。そろそろリリィの話を聞かせてはくれないか?」

リリィは驚いた顔をして下にしていた視線を僕たちに向けた。

「わ、私の話…?私の話って言っても何も話すことなんてないですよ…?」

リリィは喋るのが苦手のようだった。

「僕も気になる!リリィのこともっと教えて欲しいな!」

「ドラゴンさんまで…わかったよ。わたしの名前はカレリーナ・リリィ。年齢は19歳でって話すことはこれぐらい?他には…両親は魔女の母と人間の父です。もうこれでいい?」

「他には?」

一同はリリィをガン見した。

「うぅ…わ、私この通り話すの苦手なの!!もうこれで許して!」

「えぇ〜」

「えぇ〜じゃないのよ!仕方ないわね…じゃあ、細かく質問して?それなら答えられるから」

僕たちは何聞こうかと考え始め、僕が最初に喋り始めた。

「リリィさんはなんでエデル帝国で薬屋をしていたんですか?」

リリィは少し喋りにくそうに言葉を口にした。

「なんで、か…私は魔女だから昔から人を避けてきたんだけど、大きくなってから人間たちの街が発展していて、その街で何か出来ないかって考えた結果、人間に扮して魔法で薬を作って売ることにしたんだ。まぁ、人間に扮するって言ってもちゃんとは人を見たことがないから自分なりに人らしく振舞ったつもりなんだけどね」

「魔女と人間って魔法が使える以外にあまり違うところがないと思うんだけどなぁ」

僕はいまいち魔女と人間の差を感じなかった。

「人間に嫌われる理由は、昔ある人間が悪魔と契約して魔の力を手に入れて魔女になった。それが始まり。その魔女が人間を絶滅させようと禁忌魔法を使ってⅠカタストロを起こした。それ以外の魔女は人間から差別受けて戦争がおきた。そのせいで人間と魔女は関わらないようになったの」

差別と言う言葉を聞いて人間の闇はこの世界にもあるんだと少し嫌悪した。

「その、Ⅰカタストロってなんのこと?」

「え!この世界いてⅠカタストロ、Ⅱカタストロを知らないの!?」

「あぁ、我から伝えるのを忘れていたな。颯斗は別の世界からさまよってここに来たんだ。だからこの世界のことはあまり詳しくない」

「そうだったのね。びっくりしちゃったよ…」

「颯斗、カタストロっていうのは大きな破壊を意味しているんだ。つまりⅠカタストロってのは最初に起きた世界の大きな破壊をそう読んでいるんだ。俺やリンドヴルム、ウロボロスがこの地に守護獣としているのはカタストロを阻止するためにこの地に祀られたんだ」

「だから最初ナミとグランデ王国歩いている時に街の人達が驚いていたのか。それはそうとⅡカタストロはなんで起きたの?」

リリィは少し悲しそうな顔をして言った。

「Ⅱカタストロは魔女と人間との戦争で起こったんだ。私の祖母はその戦争で亡くなったの」

場の空気は少しどんよりしていて喋りにくかった。

「でも、僕は別に魔女のこと、なんとも思わないけどなぁ。だって人とあまり大差ないし、今は人も魔獣と契約すれば魔法が使えるんだしほぼ一緒だよ」

「颯斗君は優しい子なんだね。でもね、この世界には信用しては行けない事もあるんだよ?だから何でもかんでも心を許しちゃダメだよ」

「そういうものなのか…ただ、ナミとフカとリンドヴルム、リリィさんのことは心から信頼してるから!」

僕たちは微笑んで和んだ。

「さぁ!そろそろ外に出よう」

「そうだね!リリィさんは今はエデルには戻れないし、嫌じゃなかったらうちの家来ますか?」

「え?い、いいの…?颯斗君、ありがとう。でも、ドラゴンさんはどうするの?」

「僕はウロボロスやレヴィアタンが人間さんについて行くなら僕も行くよ!人間さんいいよね?」

「もちろん!それじゃあ契約だね」

僕はリンドヴルムの額に手を当てて契約の詠唱を唱えた。

「原始の絆をさあ今、吹け、絆篝を汝に結ぼう。礎を詠唱し我が身が翼となる。今こそ汝の守護の獣とならん…」

詠唱が終わると石にはリンドヴルムの刻印が現れた。

「これで契約完了っと。後は名前どうしよう?リンドヴルムかぁ、それなら頭文字とってリンでどう?」

「リン!名前付けてくれてありがとう人間さん!僕とても気に入った!」

そしてリンの背中にみんな乗ってグランデ王国に向かおうとした時リリィが呼び止めた。

「移動しなくても魔法で空間を繋げれるよ?」

そういうとリリィは詠唱した。

その瞬間すごい気迫と同時に壁に穴が空いていた。

みんなでくぐるとアステラの森の前に着いていた。

「は、早!!これだったら、移動すぐできるじゃん…」

そして歩いて向かうと自分家が見えてきた。

「あれが僕達の家です」

「え!これって家って言うか城とか屋敷って言うんじゃ…本当に私なんかがここにいてもいいんですか…?」

「僕はリリィさんだからここに招待したんです!だから遠慮しないでください!」

リリィは微笑みながら少し涙ぐんでいた。

そして僕たちは家の玄関の扉を開けた。

「お帰りなさいませ!颯斗様、ウロボロス様、レヴィアタン様!」

そこには広すぎて掃除ができずホコリが溜まっていたはずが辺り一面が光り輝いていた。

そしてメイド姿の海の住人たちが帰りを待っていてくれた。

「住人さん達こ、これは!?」

「颯斗様が家を留守にしている間に私たちも颯斗様のために何か出来ないかって考えた結果メイドをさせていただきます!」

「住人さん達ありがとう!こんなに帰りが嬉しいのは初めてだよ!」

メイド達は後ろにいるリリィとリンに気がついた。

「後ろのお二方は颯斗様のお客様でしょうか?」

「あ!そうそう!魔女のリリィさんとラケルタ砂漠の守護獣リンドヴルムのリンです!」

「それでは改めて、ようこそ颯斗様の御屋敷へ!」

リリィとリンは口を開けて驚きっぱなしだった。

僕も正直リリィさん達と同じぐらい驚きだった。

まさか住人さん達はみんな別の場所へ行くだろうと思っていたからだ。

こうして僕の家には新たな同居人が住むことになったのだ。


現在のステータス

名前:宇積 颯斗

年齢:16歳

スキル:メゲトス、コルセラピア

全体レベル:20

魔法適正:風、植物、天気、水、地

契約魔獣:ウロボロス、レヴィアタン

リンドヴルム


あとがき

第ⅩⅣ章を最後まで読んでいただきありがとうございました!

最近仕事が慣れてきてやっと余裕が出来てきて執筆にめっちゃ力入れてます!

今後も応援よろしくお願いします!

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