第ⅩⅢ章 魔女狩りと平穏

僕たちはリンドヴルムの背に乗ってリリィを助けるためエデル帝国に向かうのであった。

「リンドヴルム?リリィってどんな子なの?」

「リリィはとても優しくて、正義感が強く、もっと人々の役になりたいって言って薬を作って商売していた明るい女の子だよ」

「みんなの為に薬作ったりしてるのに、あんな酷い仕打ちをするなんて…早く助けてあげないと!」

リンドヴルムの顔は歪んでいて辛そうにしていた。

僕は不意にリンドヴルムの背を撫でた。

「人間さん?どうかしたの?」

「あ!いきなり撫でてごめん…リンドヴルムの顔が辛そうだったからつい…」

「ウロボロスとレヴィアタンを仕えてるだけあって優しい人間さんなんだね。君ならきっとリリィとも仲良くしてくれそうだね」

そんな会話をしていると大きな音と共にエデル帝国が姿を現した。

「あれがエデル帝国だよ」

「ここがエデル帝国…想像以上に大きい…」

僕の見た感じだとグランデ王国の5倍はあった。

「そりゃ帝国だからな。帝国って名がついてる所は大昔人間達が争って勝利した国だけが「帝国」て名をつけたんだ」

僕は人間同士の争いになんとも言えない感情になって俯いた。

「人間さん!どうやってエデルに入るの?僕が入ったら人間さんにまで危害を加えてしまうから…」

「今はまだ自由に入ることはできるんだよね。それなら僕ひとりで入ってリリィを探してみる!見つけたらエデルの中心部まで急ぐから僕とリリィを背に乗せて!」

そして僕はフードを被ってひとりでエデル帝国に入国した。

「通行許可書を提示しろ。グランデ王国から来たのか。今日は魔女の晒し首が見れるからお前も見てみな!忌々しい魔女を裁くのは楽しみだなぁ!」

僕は無視してリリィのいるであろう場所へ向かった。

僕は探している怒りで時顔がはち切れそうになるほど歪んでいた。

僕は騒がしい声のする方へ向かった。

「さぁさぁ!ついにこの忌々しい魔女を晒し首にできる日が来たのです!さぁ!歓声を!おぉ!!!!」

大勢の人々の隙間から光景が見えた瞬間僕は知らず知らずのうちに魔力が高まっていた。

「リリィ…!アネモス…」

僕は群衆に向かって魔力を暴発させた。

人々はいきなりの突風に目を奪われ、そのすきにリリィを助けた。

「魔女が!あの人間を捕まえろ!!絶対に逃がすな!」

僕はリリィの手を引っ張りながら門に向かって走った。

すると突然門が勢いよく締まり、周りには人が群がり逃げ場を失った。

「魔力も切れる寸前だし…どうすれば…」

「お前も殺されたくなければその魔女を渡せ」

「死ぬのは貴様らだ!」

上空からナミ、フカ、リンドヴルムがやってきた。

ナミは風を起こして目を奪った瞬間にリンドヴルムが地面を叩くと人々を囲うように壁が出現した。

「大丈夫か!リリィ!」

「ドラゴンさんにあなたたちは?」

「それは後で話す今はここから出よう」

そしてリンドヴルムの背に乗ってエデルを出た。

「とりあえず、どこか…に……あれ?…意識が…」

僕は魔力切れを起こし気を失った。

「颯斗?大丈夫か!隼斗!」

「リリィ!!…ここは……」

辺りを見渡すと全員が心配そうにこちらを見ていた。

「あの…颯斗さん、お体は大丈夫ですか…?良かったらこれ飲んでください!」

僕は小瓶に入ったポーションを一気に飲み込んだ。

すると不思議なことに体の疲れは全て取れた。

「これは疲労回復のポーションです。後、…助けて下さりありがとうございます」

頭の処理が間に合わず何が何だか分からなかった。

「僕あの後どうなったの?」

「颯斗が気絶した後俺たちは急いで砂漠の洞窟に入ったんだ。それで颯斗が目覚めるまでここで話をしていたんだ」

僕は納得してため息をついた。

「あの時なんで言っていたところと別のところだったのにすぐに来てくれたの?」

「颯斗の魔力が暴走しているのを感じてそれを伝って行ったら追い詰められてるのを見つけたんだ」

「そっか…リリィさんが無事でほんとに良かった…。それはそうとなんでリンドヴルムは守護獣なのにエデル帝国の脅威になったの?それに魔法使いと魔女の違いって…」

「私たち魔女は魔法使いと違って魔獣と契約しなくても元から魔力を持っているんです。だけど魔法使いは魔獣の力を借りることで初めて魔法が使えるようになるんです」

「だいぶん前にグランデ王国の宿で説明しただろ?」

僕はその話を忘れかけていた。

「後、なんでリンドヴルムはエデルの脅威になったの?」

「エデル帝国の人々はあんな物騒な人達ではなかったんです。ですが数日前に紫色のフードを被った男の人が住人を集めて演説のようなことをしていて、それからみんな気が悪くなっていって、いつしか街には怒鳴り声が響くようになったんです。それから私に会いに来たドラゴンさんが攻撃されそうになってとっさに魔法で別の場所へ飛ばしたんです。そしたら帝国の脅威を逃がしたの何だの言い出して…」

「僕、気になって上空から帝国を覗いたらリリィがつるし上げられて石を投げられてるのを目にして、助けに行こうとしたらその紫のフードの男が「お前は邪魔なんだよ。そこら辺で暴れて誰も近ずかないようにしろ」そう言われた途端体が制御出来なくなって暴走してたんだ」

僕は赤のフードを被った人を思い出し、何か関係があるんじゃないかとナミに伝えた。

「関係はあるかもしれんな。だがこちらに危害を加える理由が全くもって分からない…」

「理由が分からなかったら手がかりも見つけられないしね…とりあえずこれからどうする?」

みんなはその問に黙り込んだ。

「そうだよね…この状況で今後とか考えられないよね…まぁ、今日はみんな疲れてるだろうしここで野宿しよっか」

そして僕たちは野宿の準備を済ませご飯を食べて寝た。


現在のステータス

名前:宇積 颯斗

年齢:16歳

スキル:メゲトス、コルセラピア

全体レベル:17

魔法適正:風、植物、天気、水

契約魔獣:ウロボロス、レヴィアタン



あとがき

第ⅩⅢ章を最後まで見ていただきありがとうございました!

今後は執筆に力を入れていきますので応援よろしくお願いします!

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