第ⅩⅡ章 不穏な夢

「颯斗さん着きましたよ!強化遠征頑張って!」

「ありがとうございます!」

「さぁ、着いたものの僕とナミは何回も来てるからなぁ〜フカが初めてなら休息も兼ねて宿に1泊する?」

「温泉街か。話では聞いたことはあるが、来てみるといいところだな!ぜひその温泉とやらに入ってみたいな!」

そして僕らは前にナミと一緒に泊まった宿に向かった。

「颯斗様!お久しぶりでございますね!元気なお姿が見れてとても喜ばしいです」

「あの時はありがとうございました!」

「ん…?なにかあったのか?」

「あぁ…ナミに言うの忘れてた…前ここに泊まりに来た時に色々な情報を女将さんが教えてくれたんだ」

「颯斗様のお役に立てて良かったです!それと本日は何泊されますか?」

「1泊でお願いします!新しく契約した魔獣が温泉に入ったことがないと言っていたので、旅の疲れを癒すのにいい機会だと思って」

「魔獣様の初めての温泉が良い思い出になれば幸いです!」

「あぁ!ありがとな」

それから部屋へと案内してもらい、夕食を先に済ませ温泉に皆で入った。

フカは最初温泉に入る時足を滑らして思いっきりコケて僕とナミはツボにハマってしまった。

いつもとは違う皆が見れてとても嬉しかった。

それから温泉からあがり部屋へ戻ってきた。

「あぁ〜温泉というのは本当に良いものなんだな〜」

「温泉の良さが伝わって良かったよ。まだ時間もあるし暇だから皆で温泉街散歩しない?」

そして温泉街を散歩して色んな話をした。

少し疲れ宿へと戻り、川の字で僕らは就寝した。

僕は今までにないような夢を見た。

「やめて…やめて、あげて…リリィ!……は!」

「颯斗!大丈夫か?馬車で寝ている時よりもうなされていたぞ…?それにリリィって…」

「女の子が牢屋でボロボロに……疲れてるのかも…」

「もし何かあれば言ってくれよ?」

ずっとリリィと言う少女が頭から離れなかったが、疲れもあってたちまち僕はすぐに寝るのだった。

次の日エデル帝国を目指しまた馬車に乗ることにした。

「すみません〜!魔獣2体と人1お願いします!」

「ちょうど人数分後ろが空いてるぞ!乗った乗った!」

そして馬車はエデル帝国に向けて出発した。

「お客さん?なぜ、エデル帝国に?」

「あぁ、エデル帝国に魔法の強化遠征にでも行こうって思いまして」

「馬車乗ってからだからこんなこと言うのは言わない方がいいかもですが、今エデル帝国は行かない方がいいですよ…」

「どうして…?」

「エデル帝国は元々魔法使いが集まって出来た村が発展して出来た帝国なんですが、魔法使いの中には魔女もいるんですよね。そんな中で1人の魔女が国の脅威となる魔獣を逃がして捕まったんです。それで他の魔女も国にとっての脅威になるかもしれないと差別がおきてて現在エデル帝国では内戦が起きてるですよ…だから今は危険な状態なんです…」

「それならやめて置いた方がいいかもしれないな。ナミ、フカどうする?」

「俺たちはともかく颯斗を危ない目には合わせられないからな…やめておいた方が…なに!?」

突然の砂嵐で動けず馬車が急停止した。

「お客さん!大丈夫ですか!今はこれ以上進めないかもしれません…」

「なんで急に砂嵐が…」

「ここはラケルタ砂漠というのですがこの頃ずっとこんな調子で困ってて…以前まではこんな砂嵐なかったのですが…代金いただいてるのに、申し訳ない…」

「大丈夫ですよ!……あれは…りゅ、竜…?」

僕は砂嵐の中奥に竜の影が薄く見えた。

「待って、石が光ってる!」

お守りにしていた石が薄暗く光っていた。

「この魔力は…リンドヴルムか」

「グルルルル…」

砂嵐が止むと同時に竜の姿が顕になった。

大気を震わす竜の咆哮に、感情的な悲しみ、憎しみや恐怖がこみ上げて来た。

「リンドヴルム…ダメだ言葉が通じない!なぜ理性が失っているのだ…」

「もしかしてリンドヴルムって…」

「あぁ、リンドヴルムは我らと同じここの守護獣だ」

突然リンドヴルムは僕らをめがけて襲ってきた。

ナミとフカは馬車から降りて魔法でリンドヴルムを行動不可能にした。

「リンドヴルム何があったかは知らないが落ち着いてくれ。ヒュプノス…」

ナミは睡眠魔法をかけリンドヴルムを眠らせた。

「ナミ、フカ!大丈夫?」

「あぁ、問題ない。だが、なぜリンドヴルムがこんなことに…」

「聞きたいことがあるんだけど、守護獣ってこの世界に何体いるの?」

「我ら守護獣はこの世界の神話になった場所を神に仕えたわれら4体を守護獣として地に迎えたんだ」

「4体ってことはリンドヴルムで3体目ってこと?」

「そうだな。リンドヴルムはその中でも人に興味があって人間を好んでいたはずなのに、なぜ…」

僕は眠っているリンドヴルムに両手で触れた。

するとリンドヴルムの心の声が聞こえた。

「リリィ…助けなければ…邪魔をするな…」

「これって!リリィ…って、もしかして…」

「リンドヴルムの心情が魔力になって颯斗の夢に影響をもたらしたのかもしれんな」

「それなら…あの女の子は…助けてあげなきゃ…」

「待て!リンドヴルムが目を覚ますまでは変に行かない方がいい。リンドヴルムに話を聞かなければ何も分からないからな」

僕は仕方がなくその日は持ってきていた野宿の準備をして焚き火を起こし就寝した。

「に、人間?ウロボロスにレヴィアタンまで…どうしてここに…?」

「んん〜?…あ!起きた?大丈夫?」

「人間がどうしてここに…?」

「ナミとフカがリンドヴルムのこと助けてくれたんだよ?」

「颯斗?誰と会話して……リンドヴルム目が覚めたか。どうして、暴走していたんだ?」

「僕にも分からないんだ。僕はリリィを助けに行こうと思ってたら急にフードを被った人間に魔法をかけられた瞬間人間が好きなのに人間に悪意が湧いたんだ…そうだ!リリィを早く助けてあげないと!」

「待って!!リリィって誰のことなの…?それに何があったか教えてくれないかな?」

「僕は人間に怖がられて忌み嫌われていたんだ。だけどリリィは僕によく会いに来てくれたんだ。でも僕がリリィに会いにエデルに行ったら人間に攻撃されて、その時にリリィが魔法で僕を別の場所にワープさせたんだ。そのせいでリリィが捕まって…僕のせいで…」

「そんなことが……リンドヴルム、僕も助けるの手伝わせてくれないかな?僕も力になりたい」

リンドヴルムは驚いた顔をして了承してくれた。

馬車はニクスに戻るよう促し、僕らはリンドヴルムの背に乗ってエデル帝国に向かった。


現在のステータス

名前:宇積 颯斗

年齢:16歳

スキル:メゲトス、コルセラピア

全体レベル:16

魔法適正:風、植物、天気、水

契約魔獣:ウロボロス、レヴィアタン


あとがき

第ⅩⅡ章を最後まで読んでいただきありがとうございました!

最近仕事が忙しくなかなかかけずにいたのですが少しづつ書いていくので投稿頻度はすごく減少しますがご了承ください…

ただ、完結までは書きたいので頑張って書きますので応援よろしくお願いします!

それでは次回ⅩⅢ章も読んでいただけると幸いです!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る