月下魔女編

第ⅩⅠ章 魔法の強化遠征へ

外からは鳥の鳴き声が響いていた。

「やばいなぁ〜問題解決したから何もすることなくなっちゃったな〜」

「それもそうだな…」

僕とナミはソファーで寝転がってそんなことを呟いた。

「おい!まだわかってないことあるだろ!何故颯斗は崖から落ちてきたんだ?何故冒険者達は15人も海で溺れていたんだ?」

フカが問い詰めてきた。

「言われてみれば…確かに…僕を崖で押した人は何者だったんだろ…でも全く手がかり無いしな…」

「手掛かりが見つかるまでの間に魔法の特訓でもしたらどうだ?魔法が使えればもしもの時にも役立つだろう。それとレヴィアタンの適正も増えて幅広い魔法が使えるはずだぞ?」

僕はフカの適正が何か聞いた。

「俺の適正か?水と風だけだ」

「確かナミも風の適正あったよね?それなら風魔法から練習しようかな」

それから準備をして庭に出た。

「まずはお手本を俺とウロボロスが見せるからよく見とけよ?」

2つ竜巻がぶつかって消えると同時に空が晴れた。

「す、すご…それに詠唱とかってないんだ…」

「使い慣れれば詠唱破棄でも魔法は使えるんだ。颯斗は詠唱してやってみるといい」

言われた通り手を前にかざし風の流れを掴み、詠唱した。

すると少し強い向かい風が来るだけだった。

「最初はこれぐらいが普通だから大丈夫だ!まだ魔力の流れをあまり掴めてないようだから魔石を握って魔力の流れを掴んでみろ」

渡された魔石を握りしめ魔力を込めると同時に隠していた不安や憂鬱な気持ちが渦巻いた。

結晶が発光し颯斗を覆うように結晶の壁が立ち込めた。

「そこまでだ!」

僕は気がつくと周りに結晶が地面などに広がっていた。

「まだ、魔力の流れを掴めても制御は難しいみたいだな。これじゃ魔法を使うのは危ないな」

「なんかごめん…それだったら力の制御の仕方教えて欲しいな」

そして毎日欠かさず魔石を使って特訓を続けた。

それから約1ヶ月くらい経った。

「よっしゃ!ナミ!フカ!やっと魔力の流れを自由自在に変えるのができるようになったよ!」

僕はナミとフカに魔石で花を造形して見せた。

「約1ヶ月でここまで上達したのか!それなら、強化遠征でもするか?」

「強化遠征?旅的な感じってこと?僕は全然構わないけど…」

僕はフカにどこに行くのか聞いた。

「魔法を強化するのであればエデル帝国なんてどうだ?あそこであれば魔法使いの冒険者なら数え切れないほどいるからな」

「それなら良さそうだね!じゃあ、早速準備しよっか!」

そして準備を済ませ屋敷の事は海の住人達に任せた。

「出発って言ったものの…エデル帝国ってどこなんだろ?」

「エデル帝国ならニクス王国よりもずっと向こうだが、歩いていくには遠いなんてもんじゃない。そこでだ、グランデ王国からニクス王国行きの馬車に乗って、ニクス王国からエデル帝国までの馬車に乗れば遅くても3日で着くはずだ」

フカに言われた通りグランデ王国の乗り場に向かった。

「やぁやぁ!兄さんもニクス行きか?それなら乗りな!」

「ありがとうございます!使い魔達もよろしくお願いします!」

僕は運転手さんにお金を渡した。

そして馬車に乗り込み僕は運転手に出発のハンドサインを送った。

「パシン!」

馬は歩き出し馬車が動き始めた。

僕はふと自分の冒険者カードを見ているとスキル欄のコルセラピアが気になりフカに聞いた。

「コルセラピアは聞いた事はあるが俺も知らないな。悪いな…ただ…いや、何も無い」

「そっか…それなら仕方ないな」

僕は馬車に揺られながら今後の事を考えていた。

「颯斗?そんなに考え込んでどうしたんだ?」

「え?あぁ、前みたいに気持ちが沈んでるわけじゃないんだけど、今頃お母さん達心配してないかなって少し不安でさ」

ナミは慰めるかのように僕の膝に頭を乗っけた。

守護獣を従えてるのに弱ってる場合じゃないと自分を勇気づけた。

そして突然馬車は停止した。

「運転手さん?どうかしました?」

「ありゃあやべぇぞ…」

運転手さんの指さす方向を目を凝らしてみると、骨がうごめいているのが見えた。

「ほ、骨?もしかして霊的なやつ…?」

「あれはスピリトゥスだ。スピリトゥスは人の命を吸収する死を司る悪魔だ。颯斗はこの馬車に残っていろ」

ナミとフカは馬車から降りた。

正面からスピリトゥスが突撃してきた。

「我らに吸魂はできないであろう」

フカは馬車に結界を貼り、ナミはスピリトゥスを次々と撃退した。

「安全が確認できたので出発する!本当に怖かった…昔私の友人も旅の途中でスピリトゥスに襲われてしまって帰らぬ人となってしまったんですよ。それから冒険者をやめて馬車の運転手になってね…」

「そんな事が…」

僕は運転手さんの話を聞きよりいっそうにスピリトゥスが怖くなってしまった。

「もしまた現れるなら我らが守ってやるから安心しろ」

そう言ってナミは僕を安心させてくれた。

「ただ、不自然だな…この辺りにスピリトゥスが出現するのはおかしい…出現する場所は人が居ない森や廃墟に出るはずだぞ?」

「なにか良くないことが良きてるのかな…」

僕は突然眠気に襲われ馬車の中で寝てしまった。

「リリィ…人間め…許さな…」

途端にふっと目が覚めた。

「大丈夫か?すごくうなされていたぞ?リリィって誰だ?」

「分からない…けど怖かった…」

「お客さん!そろそろニクス王国に着きますよ!」

そしてニクス王国に到着した。


現在のステータス

名前:宇積 颯斗

年齢:16歳

スキル:メゲトス、コルセラピア

全体レベル:16

魔法適正:風、植物、天気、水

契約魔獣:ウロボロス、レヴィアタン


あとがき

今回も最後まで読んでいただきありがとうございます!

まさかここまで書けるとは思っていませんでしたが、ここまで全て読んでいただいた方に感謝です!

次回も読んでいただけると幸いです!

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