第Ⅹ章 海の守護獣来たれり
僕とナミは国王のために失踪した冒険者達を探すため図書館で調査したところ、ナミ以外にも3体守護獣がいることが分かり、守護獣に聞けば何かヒントが得られるのではないかと思い、冒険に出るのだった。
しばらくして朝が迎えた。
「ん〜よし!今日は頑張ろ!」
「無理は禁物だぞ?」
そして朝の支度を済ませ荷物を持って屋敷を出た。
「と…言ったものの、どこに行けばいいんだろ…?」
「海、砂漠、荒地を探せばいいのでは無いか?」
僕は地図を見て海のある場所が1番近いためマグナ海に向かうことにした。
「そういえば、マグナ海の近くに村があるらしいけど海の食材とかあるのかな〜?」
「マグナ海であればクリアフィッシュがよく取れるぞ!クリアフィッシュは塩焼きにすればとても美味しいんだ!」
そんな会話をしていると海が見えてきた。
「海だ〜!綺麗だなぁ〜…この世界では海見るの初めてだよ」
赤のフードを被った人が背後から僕を押した。
「背後から!透けた!?」
「…」
突然後ろから声が聞こえると同時に背中を押されそのまま崖から転落してしまった。
「っ!颯斗!!」
僕は落ちてる中、意識を失ってしまった。
「…は!」
「気がついたか?人間がなぜこんなところに来たんだ?」
僕は目を覚ますとそこには竜人がいた。
「わぁぁ!りゅ、竜人!?」
「竜人なんかじゃねぇよ!俺は海の守護獣レヴィアタンだ!」
僕は頭が混乱していて何が何だか分からなかった。
「もしかして、助けてくれたんですか…?」
「あぁ。突然崖から海に落ちてくるものだから、なんなんだと思い受け止めてみたらお前だったんだ。なぜお前は崖から落ちてきたんだ?…それだけじゃない…なぜお前からウロボロスの匂いがほのかにするんだ?」
僕の驚いた声が海に響いた。
「しゅ、守護獣!?ナミを知っているんですね…良かった。それなら話が早い…僕は颯斗です」
今までの経緯を話した。
「ウロボロスと契約をした!?なんと…そんな大きな問題を解決したのか…それなら、俺からもお願いしてもいいか?」
「いいんですが、ナミはどこにいるか知りませんか…?」
レヴィアタンと会話していると後ろから声が聞こえた。
「颯斗!!っ!レヴィアタンか」
「ナミ!」
僕はナミのそばに駆け寄った。
「すまなかったな…もう少し早く気づいていれば…。それと、レヴィアタン久しぶりだな…」
「ウロボロスも相変わらずだ。人間と契約を交わすとはな。風の噂でお前の記憶が無くなっていると聞いたがそれは誠か?」
ナミとレヴィアタンの会話に入りたいが圧が強く入れなかった。
「全てではないが所々記憶が消えているのは事実だ。それと颯斗を助けてくれた事礼を言う」
「構わないが、そこの颯斗と言う人間にお願いがあるんだ。冒険者と海底都市の奴らを助けてやってくれはしないか?」
僕に近寄ってレヴィアタンはそう言った。
「いいですよ!助けてもらったのでお礼としてそのお願い聞きます」
僕はお願いと言うのはなんなのか聞いた。
「最近どこからともなく突然15人程の人間が海に溺れていたんだが俺が助けた後、怖がって洞窟に引きこもっていてな…その洞窟は我の住処なんだが入れずに困っているんだ。それと妖精が住む海底都市が崩壊を始めていてな…海底都市が崩壊すれば結界が破壊され、妖精達の居場所が無くなってしまうんだが…俺の力じゃどうにもできなくてな…助けてやってはくれないか?」
「分かりました!まず洞窟に行ってもいいですか?」
そういうとレヴィアタンは洞窟へと案内してくれた。
「ここが洞窟なんだが奥に引きこもってしまっていて近づくと武器を持って威嚇してくるんだ…」
「ということは守護獣が怖いのかな…ナミ?ここで待ってて。ここは大丈夫だと思うから一人で行ってくる」
僕はゆっくり奥に進んでいくと暗がりに焚き火の明かりが見えた。
「誰だ!?な、なんだ人か…おい!あんたさっき外から来たんだよな?外に魔獣はいたか?」
「え?は、はい…いますけど。もしかしてグランデ王国の冒険者さん達ですか?」
冒険者達は驚いた表情で事の経緯を話してくれた。
「俺たちは王国直々の依頼を受けたんだが、大きな魔獣に襲われたあとフード被った人間が「君たちには時間稼ぎの道具になってもらうよ?」って言って突然瞬間移動して海に落とされたんだ。気がつくと大きな魔獣がいて俺たちは必死に戦おうしたんだ。そしたら逃げっていったんだが魔獣がずっといるからここから動けなくなってしまったんだ…」
「その魔獣は、海で溺れてる皆さんを助けてくれたみたいですよ?それでここの洞窟はその魔獣の住処なのに帰れなくて困ってるらしくて、グランデ王国までの道を教えるのでここから出ませんか?」
冒険者達は渋々承諾した。
冒険者達を連れて洞窟を出るとナミが出迎えてくれた。
「颯斗大丈夫だったか?」
「大丈夫だよ!どうやらレヴィアタンの事が怖くてここにずっといたみたいなんだ」
そう言うと奥からレヴィアタンが歩いてきた。
「話は聞かせてもらった。俺が怖かったみたいだな。」
「魔獣が喋ってる…俺たちを攻撃するつもりはなかったのか…助けて貰ったのに勘違いをして住処を独占してしまい、すまなかった…」
レヴィアタンは冒険者達を許し軽く注意をした。
「ここの道をまっすぐ歩いて行ったらグランデ王国に着きますよ。15人も居れば大丈夫だと思うので僕はここで失礼します」
「若い冒険者さん!助けてくれてありがとな!魔獣にもよろしく言っておいてくれ!それじゃあまたな!」
そしてレヴィアタンの元に戻ると日が傾き始めていた。
「今日はもう海底都市に行くのは危険だ。洞窟で過ごすこといい。ゆっくりして行ってくれ」
「レヴィアタンさんありがとう!」
そして僕とナミとレヴィアタンは洞窟で食事を済ませカバンを枕にして就寝した。
守護獣に挟まれて寝るとなると心配だったが意外と安心して寝ることが出来た。
「颯斗…お前さんは心優しい人間なんだな…俺の願い聞き入れてくれてありがとな…」
レヴィアタンは僕に近寄ってそう言い頭を撫で、隣で眠りについた。
朝になって潮の香りで目を覚ました。
「ん〜朝か〜…」
「起きたか?今日は海底都市を頼むが、大丈夫か?」
僕は微笑んで頷いた。
「用意が出来次第浜に来てくれ、俺はそこの浜で準備して待っている」
そう言いレヴィアタンは浜の方に歩いていった。
僕は生地の薄い服を着てナミと浜に向かうと、水面に鮫がいた。
「さ、鮫!?」
「これが本当の姿だ。いつものは地上にいる時だけだからな。俺の背中に引っ付いて着いてこい」
僕は鮫(レヴィアタン)の背中に抱きついてナミと一緒に海底都市へ向かった。
「結界に入れば息はできるが水の中での呼吸に慣れていないだろからゆっくりするんだぞ?」
僕は言われた通りに結界に入った瞬間肺に水が入る感覚で咳き込んだが、徐々に苦しくなくなり以外にも水中呼吸はすぐに慣れた。
「ここが海底都市だ」
そこはとても幻想的で小さな街だった。
「レヴィアタン様!私たちはどうなるのでしょうか…?」
そこには普通の人間もいたが妖精達も住んでいた。
「俺はお前たちを助けることはできないが、この人間が助けてくれると言ってくれたから連れてきたぞ」
僕は海底都市の住人に話を聞いた。
「私たち人間と妖精はこの海底都市から出たいのですが、地上に上がれば差別を受けることがありまして、それからここに住んでいたのですが、ここが無くなってしまったら私たちはどこにも行き場が無く困っているんです…」
「大丈夫ですよ。もし何かあったら僕とナミが守ります!だからもしよろしければ僕の屋敷に皆さん来ませんか?ただ、なぜ崩壊が始まったんですか…?」
僕は住民に質問した。
「そう遠くない昔に、どこからか来た王が世界に悪影響を与える4つの鍵のうち1つをこの海底都市に封印をしたのです。その鍵の封印が何者かに解かれてしまいその影響で海底都市が崩壊を始めたのです。悪影響というのはなんなのかは私達も分かりません。ただ、私達住民はこの場所が無くなったとしても思い入れはありません。なので、私達は居場所があればそれだけで幸せなのです」
会話をしていると海底都市の崩壊が進みこれ以上居るのは危険だと思い、レヴィアタンに案内してもらいながら住人達と共に地上へと上がった。
「なぜ私たちを屋敷に向かい入れてくれるのですか?」
「実は屋敷があまりにも広くて僕とナミだけじゃもの寂しく思っていたので…」
住人達は不安な顔から少し笑顔になってくれた。
そして僕は住人達を家に連れて帰ることになりガリレオスに別れを告げる時が来た。
「レヴィアタン!改めて助けてくれてありがと!僕らそろそろ行くよ。もしまたあったらよろしくね」
「颯斗待て…実は我も颯斗について行こうと思っていてな。ウロボロスが許可するのであれば契約を交わさないか?」
ナミは許可してくれた。
そしてナミの時同様に呪文をレヴィアタンが唱えた。
「古の絆をさあ今、浸れ、絆篝を汝に結ぼう。礎を詠唱し我が身が盾となる。今こそ汝の守護の獣とならん…」
また拾った石が光だし紋章が刻まれた。
「名前どうしようかな?サメの別名から取ってフカでどう?」
「あぁ…名をくれるのだな。礼を言う」
それから僕とナミ、フカ、住人達と家に帰るのだった。
そして数日かけてグランデ王国に戻ってきたのであった。
「よし!住人たちには家の前で少し待っててもらってそれからギルドでフカの契約魔獣の登録だけして、国王に報告しに行こう!」
僕とナミはギルドへ向かった。
「颯斗が戻ってきたぞ〜!!」
「何事!?え、え?」
どうやら行方不明の冒険者達が無事帰還したらしく、僕は冒険者達に礼を言われ、胴上げをされた。
「ここはギルドですよ!お気持ちは分かりますが静かにしてください!」
「す、すみませんでした…」
僕は少し笑ってしまった。
「うるさくてごめんなさいね?改めてギルドに何かご用でしょうか?」
「あ、あぁ実は契約魔獣が増えたので登録したくて来ました」
いつも通りにカードを渡し血を垂らした。
「完了しました!またのご利用お待ちしてます」
「颯斗さん!」
後ろから声がして驚いて振り返ると国王さんがいた。
「国王様!冒険者達無事助け出せました!」
「颯斗さん…本当にありがとうございました…」
国王は少し涙ぐみながら礼を言った。
「だ、大丈夫ですか?」
「あ、すみません…突然涙してしまって。またお話はこの後宮殿でしましょう!先に行って待っていますね」
僕はギルドから出てフカも連れて宮殿へと向かった。
「お邪魔します!」
「おぉ!これはこれは!また神に近いと言われている守護獣と契約を交わされたのですね!」
僕とナミとフカはソファーに座って紅茶を嗜んだ。
「この度は本当にありがとうございました!お礼についてなのですが、またお金をお渡しするのは気が引けたので、最高級の道具一式をお渡ししたいのですがどうでしょうか?」
「いいんですか!?ちょうど道具一式買い換えようと思っていたのですごく嬉しいです!」
すると国王が立ち上がり道具一式を僕に渡してくれた。
そこにはミスリル鉱石で作られたナイフ、竜の皮のポーチとバッグを渡された。
「全部手に入らないような素材ばっかりだ…」
「そしてついでに守護獣様のポーチもどうぞ」
そう言いナミとフカにポーチを渡した。
「我らにもか!礼を言う」
「国王ありがとな!大事に使わせてもらおう!」
ナミとフカも喜んでいるようで何よりだった。
「しばらくはご自宅で身体を休ませてください!本当にありがとうございました!」
そして宮殿から出て、屋敷に向かった。
家の前では住人達が待っていた。
「お待たせしました!それでは案内するので屋敷に上がってください!ある程度の家具などは揃えたんですが、足りないものがあったり欲しいものがあったらまた教えてください!部屋は1人1部屋で大丈夫ですので好きに使ってください!」
「本当によろしいのでしょうか…こんなにもてなしてもらって…何も出来ない私たちで申し訳ない…」
住人達は俯いてしまった。
「気を落とさないでください!正直こんなに広いのに僕とナミしかいなかったので家が賑やかになりそうで楽しみです!あ、それと、100万Rs渡して置くのでお小遣いだと思ってみなさんで好きに使ってください!これからよろしくお願いします!」
「私たちに居場所をくださりありがとうございます!颯斗様!」
そうして家に活気が灯り賑やかな家になった。
問題は全て解決し、平和に暮らすのだったはずだが…
「少し計画は邪魔はされたが…鍵は見つけたぞ…」
木の影から黒いフードを被った人が不敵な笑みを浮かべて消えた。
「ねぇねぇ?フカは寝る時一人で寝たい?いつもナミと一緒に寝てるんだけどもし、嫌なら部屋用意するけど…どうする?」
「いや、颯斗のそばで寝るとしよう」
僕はそう言ってくれて嬉しかった。
不穏な空気を漂いながらも、やることを終え颯斗一行は一段落したのであった。
現在のステータス
名前:宇積 颯斗
年齢:16歳
スキル:メゲトス、コルセラピア
全体レベル:15
魔法適正:風、植物、天気、水、
契約魔獣:ウロボロス、レヴィアタン
あとがき
第Ⅹ章まで読んでいただきありがとうございます!話はまだ続きますのでこれからも楽しみに待っててください!
僕もまだまだ文章力が無く変な言葉になっているところもありますが、頑張って考えて書いているので応援してくださると励みになります!
次回ⅩⅠ章もお楽しみに!
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