第Ⅷ章 ナミの記憶

「人間が我に何用だ?用がないのなら立ち去れ、それでも立ち去らないのなら!」

「そ、そんな…」

ナミは僕に飛びかかってきた。

「ナミっ!…あれ…?」

「冗談だ!契約していて契約者を殺る魔獣など、居ないからな。それはさておき、前の記憶を少し思い出した」

僕はナミに何があったのか聞いた。

「我は元々アステラの森の守護獣としてここに住んでいたんだ。だがある日突然人間のようなやつに、謎の魔法のようなものをかけられたんだ。それから、自分を抑えられなくなって、人間への恨みが暴走したんだ。ただ森を人間達を傷つけたくなかった。我は傷つけないように人や生き物が少ない豪雪地帯へ移動したんだ。そして洞窟に入る寸前に意識を失った。そして颯斗と出会ったんだ。」

「そういうことだったんだ。でも、その人はなにものなんだろう…?なんでナミにそんな事を…まぁ、とりあえずアステラの森の依頼は解決だね!」

ナミと会話していると、周りに魔獣が集まってきた。

魔獣達は心配しているようだった。

「お前たちか…心配かけてすまなかったな。」

「魔獣達が甘えてきてる!?みんなナミが、帰るの待ってたんだね。きっとあの黒い魔獣もナミがいなくなって寂しかったんだ。」

僕はナミとはここでお別れなのかと思った。

「ナミ…?もしこの森にいたいなら僕一人でも大丈夫だよ…?」

「何を言っているんだ?我は颯斗のそばにいたいに決まっているだろ?」

僕は安堵し、ため息が出た。

「ここの魔獣達こんなに人懐っこいのにこれじゃ、冒険者達に倒されちゃうよ…」

「なら国王に相談してみたらどうだ?」

ナミの考えを聞き早速国王のいる宮殿へと走って向かった。

「あの!すみません!国王様に報告しに来ました!」

「かしこまりました。現在国王様はご不在ですので前と同じ部屋でお待ちください」

言われた通り前に来た部屋の中に入って、ソファーに座って待機した。

しばらく待っていると部屋の扉が開いた。

「遅れてしまい申し訳ございません!何かお困りでしょうか?」

「アステラの森の問題は解決はしたのですが、ひとつお願いがありまして…」

僕は調査でわかった事を全て話した。

「なるほど…では、アステラの森を保護する事は出来ますが、依頼を受けて消息不明な冒険者達はどうなってしまったのか…」

「それについてなんですが、僕の予測ではあの森には冒険者達はいないと思います。あの森には下級の魔獣達もいましたが、この依頼を受けるレベルなら魔獣の残骸が残っていてもおかしくないはずです。でも辺りは戦った跡が少し残っているだけでした」

国王は問題が解決したにも関わらずまだ浮かない顔をしていた。

「まだ、何かお困りですか…?」

「私の出した依頼のせいで多くの冒険者達が…」

国王は消息不明の冒険者達に責任を感じていた。

「任せてください!絶対に見つけて助けます!」

「ありがとうございます…依頼報酬お渡ししたいのですが、狙われる危険性があるので、約束の屋敷に運んでおきます。本当にありがとうございました!」

それから国王から屋敷の鍵を渡されナミと一緒に向かった。

「ここが今日から僕達の家…こんなに広いの管理できるかな…」

「やっと落ち着ける場ができるな」

屋敷の中は大きな庭があって部屋も沢山あった。

「しゃ、シャンデリア!?…でも家具とかまだないから少し殺風景で寂しいね。明日雑貨屋に行って家具揃えよっか!」

「そうだな!我は少し疲れた。今日はもう寝ないか?」

ナミは疲れていたみたいだったのでその日は寝ることにした。

そして朝を迎えた。

「目が覚めたか?」

「おはよう〜ナミ!今日は昨日言ってた通り家具買いに行こうか」

それから僕らは準備し、グランデ王国の雑貨屋に向かった。しばらく雑貨屋を見て周り、必要なものを買った。

「合計で563万Rsですが、分割にされますか?」

「いえ、一括でお願いします」

僕はそう言って563万Rsを別のポーチに入れて渡した。

「こんな大金…もしかして颯斗さんですか?」

「は、はい、そうですが…どうかしました…?」

僕は何を言われるか身構えた。

「王国を守って下さりありがとうございました!今後も冒険頑張ってください!応援してます!後、こちらの家具は後日馬車でお運びしますね?」

「あ、ありがとうございます。またお世話になると思うのでよろしくお願いします」

僕は軽く頭を下げ、雑貨屋を後にした。

「なぁ、颯斗。我と出会う前にいた世界はどんなところだったんだ?」

「突然だなぁ…前居た世界か…日本って所にいて山に囲まれてる小さな村に住んでたよ。ナミにも僕のいた世界に遊びに来て欲しいな。」

帰ることが出来たとしても前の世界に戻りたくなかった。

なぜなら、一人で、人と関わりずらくて、親に心配かけてしまうからだ。

「元の世界に帰りたくはないのか?」

「そうだね…帰りたくはないな…前はずっと一人ぼっちでさ、ただ楽しくない日々を送ってるって感じだったんだ。だから、ナミと出会って、色んな冒険者達と会話して、こんな楽しい日々が無くなるのは悲しいな…」

僕は俯きそう言った。

「もし帰る事ができるようになったのなら我も着いて行こう。それなら不安はないだろ?」

「え?いいの?ありがとう!ナミが一緒にいてくれるなら安心だよ!」

そう言って僕は安心し、次の日失踪した冒険者達を探すための調査をする事にして、体調を整えるためナミと僕は早めに寝ることにしたのだった。


現在のステータス

名前:宇積 颯斗

年齢:16歳

スキル:メゲトス、コルセラピア

全体レベル:10

魔法適正:風、植物、天気

契約魔獣:ウロボロス


あとがき

今回も最後まで読んでいただきありがとうございます!

やっとアステラの森の問題を解決させひと段落した颯斗とナミですが、失踪した冒険者たちはどうなってしまったのでしょうか…

次回Ⅸ章も読んでいただけると幸いです!

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