第Ⅲ章 魔獣と巡り会う

人が賑わっている声で目が覚めた。

「ん…も、もう朝か…」

僕は身体を起こして身支度を済ませた。

そして部屋を後にした。

「おはようございます!部屋ありがとうございました!」

「身体は休めれたかな?冒険者さんはこれからどこへ向かうのだ?」

「お金が底をつきそうなので、迷ってて…」

困っていると宿の主人がお金を稼ぐ方法を教えてくれた。

「冒険者でお金に困ってるならギルドの依頼クエストを受けてみてはどうだ?依頼達成したら報酬金が貰えるし、そこそこ金額が多いんだよ」

「早速ギルドにむかってみます!教えて下さりありがとうございます!」

僕は走ってギルドに向かった。

「あら!颯斗さん、おはようございます!」

「ギルドの受付さん!おはようございます!依頼を受注したいのですが、ありますか?」

僕は受付の人に聞いた。

「はい!ございますよ!ギルドの中にあるクエストボードから選んで、受付に持ってきてください」

「分かりました!ありがとうございます!」

僕はクエストボードを拝見した。

クエストボードには依頼が書いた紙が沢山貼り付けられていた。

色んな依頼があったが、どれも討伐などの依頼ばかりだった。

そして赤い紙が1枚あり気になって見てみると、ダレンさんとルミナさんの言っていた王国直々の依頼で報酬金は1500万Rsと書いてあった。

ただそのクエストは皆シカトしていた。

そんな中、数少ない採取依頼を見つけた。

「これなら行けるかも!」

その紙を持って受付に渡した。

「こちらの依頼受注で大丈夫ですか?」

「はい!お願いします!」

僕は少し怖いながらも楽しみだった。

「こちらの依頼は少し離れた豪雪地帯にあるプルイーナの花を5つ採取してください。豪雪地帯ですのでもしも命の危険を感じた時には近くのニクス王国か洞窟などに避難してくださいね?」

「分かりました!あ、それとこのスキルってなにか分かりますか?」

受付にカードを見せた。

「ん〜…メゲトスは珍しいですね!私は初めて見ました…メゲトスは物の大きさを自由に変えられるスキルです!ですがもうひとつのコルセラピアは何かわからないです…申し訳ありません」

「いえいえ!教えて下さりありがとうございます」

それからグランデ王国から北に離れた豪雪地帯へ向かった。

休息をとりつつ2日間豪雪地帯へ向かって歩いていると、周りの空気が凍てついていき雪が降り始めた。

「やっぱり寒いの慣れないな~」

そうしている間に豪雪地帯に到着した。

「ここが豪雪地帯…真っ白だ…」

そして森に入ってプルイーナの花を探した。

ずっと探していたがどこにも見当たらなかった。

少し諦めかけた時雪が吹雪いて来たので、

探すのを中断して洞窟を探した。

洞窟を見つけたと同時に洞窟の前に何かが倒れていた。

「ん?あれなんだろ…」

歩いて近ずいて見ると謎の正体は大きな蛇の魔獣だった。

「え!まだ息が残ってる…洞窟に避難させよう…」

僕はスキルを使おうとしたが使いかたが分からなかったので重たい魔獣を引きずって洞窟に入れる事にした。

魔獣は死にかけていた。

僕は持ってきた毛布を魔獣に被せた。

拾ってきた木を燃やし、焚き火を起こし暖を取った。

歩き疲れていたのか気づくと僕は眠ってしまっていた。

ぼやけた意識の中何か冷たい感触が触れる「ペロ」と何回も頬に触れた。

「...ん?やば…寝てしまってた。…ん?ってうわあああぁ!?」

目を覚ますとそこには死にかけていた大きな蛇が目の前にいた。

「び、びっくりした……だ、大丈夫…?」

「シュー…」

ヘビはゆっくり近ずいてきて僕に引っ付いて来た。

僕は蛇が大好きだったため抵抗はなかった。

「懐いてくれてるのかな?大きくて怖いけど、優しんだね…」

すると蛇は僕の顔をじっと見て来た。

「助けてくれた事、礼を言う。何かの縁なのだから汝のそばにいさせてはくれないか?」

「え!蛇が喋ってる!?い、いや~でも、こんな僕嫌だろうし…」

「次は汝を守らせてはくれまいか?」

僕は少し迷ったが嫌じゃないみたいだし、断るのも気分が悪いので、承諾した。

「なら契約しよう」

「契約?呪文とか僕分からないけど大丈夫かな…?」

「詠唱は我がするから大丈夫だ」

僕はただ心を落ち着かせるだけだった。

「太古の絆を今、築け、絆篝を汝に結べ。礎を詠唱し我が身が盾となる。今こそ汝の守護の獣とならん…」

魔獣はそう唱えると神社で拾った石に刻印が刻まれた。

「なんで、この石に刻印が…?」

「それは…どこかで見た事のある石だな。なんにせよ、それがあるかぎり我はずっと汝のもとにいる。まぁ、汝から離れる気は無いがな」

どうやら魔獣によると刻印があるかぎりは契約した魔獣の魔力が使えるそうだ。

そして契約した魔獣と人間は念話と言うもので、頭の中で喋られるようになるらしい。

「それより我に名をくれないか?名があった方が呼びやすいであろう」

僕は迷った。

「ん〜…アオダイショウにそっくりなんだよな~アオダイショウはナミヘビ科で……あ!ナミとかどう?」

「ナミ…いい響きだ!気に入った!汝のことはなんと呼べばいいのだ?」

僕はあだ名っぽい感じが良かったが思いつかなかった。

「あだ名っぽいのがいいけど思いつかないしな…普通に颯斗でいいよ」

そして颯斗は目的の物を忘れていることに気づいた。

「採取忘れてた!急いで見つけないと!」

「採取?何を採取するんだ?」

僕はここまで来た経緯をナミに話した。

「プルイーナの花か。群生地なら連れてってやるぞ」

するとナミは僕を背に乗せてくれた。

ナミの移動は思っているより速かった。

「着いたぞ。この辺りはプルイーナの花畑だ」

「ナミありがとう!ナミって蛇にしては移動が速いんだね」

ナミは大きい分進む距離が長いので速く移動することができるらしい。

「怖かったか…?すまないな…」

「い、いやぁ…ご、ごめんね気使わせて…」

僕はちょっとした事で気を使わせてしまったことに少し自己嫌悪に苛まれた。

「ま、まぁいいや…それよりプルイーナの花を取ろう…何個ぐらい持って帰ればいいんだっけ?やばい…忘れたな…適当に10個ぐらい持って帰ろう」

僕はプルイーナの花をルミナさんに買ってもらったポーチに詰め、バッグに入れた。

「集め終わったか?突然だが、颯斗はどこから来たんだ?」

ナミはクビを傾げて聞いた。

「え?あぁ…ナミには教えておくね…僕実は元々この世界の人間じゃないんだ…神が祀られてる神社って所に居たのに気づいたらこの知らない世界に来てて、冒険者さん達に助けて貰って今はグランデ王国にいるんだ…」

「そのような話は初めてだ…」

現実世界で親が心配していないかなどの、不安がまた頭の片隅によぎったのだった。

「その事は忘れて今を大切にした方がいい。暗くなる前にグランデ王国に向かおう。背中に乗れ」

「ありがとうナミ…」

そして僕はナミの背に乗ってグランデ王国へ移動した。

「そろそろ夜だしここら辺で野宿しよう」

「そうだな。それにしても腹が減ったな…」

僕は食材を持っていなかったので食べるものがなかった。

仕方がなく僕とナミは横になって寝たのだった。

気がつくと朝だったがナミは熟睡していた。

「ナミ~?朝だよ~起きて~」

「我は何故…森を傷つけなければ行けないのだ……王よいつ来るのだ…」

ナミは苦しそうに寝言を言っていて心配だった。

「ナミ…?」

「は!颯斗?もう朝だったのか…」

それからナミと僕は準備をしてグランデ王国に向かった。

僕はナミの寝言が少し気になったが、ナミには何も聞かなかった。

そして夕方頃にグランデ王国に着いたのだった。

僕は門番に通行許可書を見せたが、ナミと帰ってきたため、止められてしまった。

「ま、魔獣を連れているならカードに契約魔獣の刻印が付いていないと魔獣は通すことは出来ないぞ!」

僕はナミを通行許可書に刻印するためひとりでギルドへと戻った。

「颯斗さん!無事ご帰還して良かったです!採取は出来ましたか?」

「その…すみません先に契約魔獣の刻印をお願いしたいのですが…よろしいでしょうか?」

受付の人はものすごく驚いていた。

「え、えっと~カードの更新ですね?カードの裏に血をつけてください」

「は、はい!」

僕はナイフで軽く指を切りカードに垂らした。

すると空白だった場所にナミの刻印が文字印された。

「そんなことさすがにないわよね…」

受付の人は刻印を見てそんなことを呟いていた。

「これでいいんでしょうか?」

「は、はい!承りました!ではカードの更新出来ましたのでお渡ししますね!」

そしてカードを受け取りナミと一緒に入国した。

ギルドへ再び向かっている最中街の人は神話の魔獣だとか呟いていたが、自分がそんな魔獣と契約なんてできるわけが無いと思っていた。

そしてギルドに到着し、受付の人にプルイーナの花を全て渡した。

「鑑定しますのでしばらくお待ちください!」

僕は椅子に腰をかけナミの寝言が何だったのか考えていた。

「ナミの寝言はなんだったんだろ…苦しみと悲しみが押し寄せるナミの声が忘れられないな…森って言ってたし何か関係あるのかな…?」

「颯斗さん~?あれ?颯斗さん!鑑定終了しましたよ〜」

僕は考えに集中しすぎて声が聞こえていなかったみたいだった。

僕は急いで受付に向かった。

「颯斗さん!初めての依頼でプルイーナの花をこんなに状態のいいものを10個も持って帰ってくるなんて驚きました!依頼は5個でしたので倍の報酬金をお渡しさせていただきますね!報酬金は金貨5枚で5万Rsです!お受け取りください!」

「あ、ありがとうございます」

それから僕とナミは前に泊まった森の宿に泊まることにした。

宿に入ると宿の主人は当然驚いていた。

前と同じ部屋に案内されたのだった。

「はぁ~…あ!そうだ、ナミ?お腹は空いてない?大丈夫?」

「お腹はもうそれはものすごく空いているな…」

「そんなにか…」

僕もお腹は空いていた。

「ごめんね…食材何も無くて…明日一緒に食材見て回ろ?今日はもう遅いし、そろそろねよっか」

そしてベッドで僕とナミは就寝した。


現在のステータス

名前:宇積 颯斗

年齢:16歳

スキル:メゲトス、コルセラピア

全体レベル:5

魔法適正:風、植物、天気

契約魔獣:ウロボロス


あとがき

第Ⅲ章を最後まで読んでいただきありがとうございます!

今回の設定紹介はダレンさんとルミナさんについてです!

ルミナさんは冒険者になって旅をしたかったのですが、ルミナさんの家系は護衛だったので冒険者になれなくて落ち込んでいるところに、幼い頃からの親友ダレンさんが護衛をしてくれるなら一緒に旅に出よう!と言ったのが始まりです!

それが2人の関係だったんです!

親友は大切にしたいですよね~

今回はここまでにします!

次回のⅣ章も楽しみにお待ちいただけたら幸いです!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る