第Ⅱ章 思いやられる先々…

今頃、現実世界で騒ぎになっていないか心配だった。

帰れるのか、助かるのか、どうなるのか、不安でいっぱいだった

そんなことを考えていると朝になっていた。

「お!颯斗さん起きるの早いな!笑」

「お、おはようございます…」

「颯斗さんおはよぉ~」

僕は心配が募るばかりだが、調べないことには何も進まないので、ルミナさんとダレンさんの故郷、グランデ王国に行くことになるのだった。

「さぁ!そろそろグランデ王国に向かおう!昼ぐらいには着くだろうから、今日はグランデ王国を散策するといい!」

「はい…ありがとうございます」

そしてグランデ王国に向かって歩き始めた。

しばらく話をしながら歩いていると、目の前に魔獣が突如現れた。

「クソ!虫の魔獣か…ルミナ、颯斗さんを護衛しろ!」

「颯斗さんは後ろに下がって!」

僕は唖然とするばかりだが、次々と魔獣を倒していくダレンさんだった。

あっという間に全ての魔獣を倒しきったと同時に僕は腰が抜けていた。

「こ、怖かった…」

「颯斗さん大丈夫か?グランデ王国の周辺は魔獣が最近うろついていてな…王国も困っているんだ…」

ダレンさんいわく王国の周辺に魔獣達が集まってきたのは、山から降りてきたからだそうだ。

「なら山の調査をするば解決するんじゃ?」

素朴な疑問だった。

「それが…山に原因があるのは皆分かってるんだ。それで、王国からの緊急調査依頼クエストが出てて、報酬金が多いって理由で色んな冒険者がこぞって依頼受注するんだけど、全員行ったっきり帰ってこないんだ…だからみんな怖がっちゃって解決出来なくて困ってるんだ…」

「そんなことが…さっきみたいな魔獣が沢山いるのか…」

僕は先が思いやられそうだった。

「まぁ、なんにせよ死にたくないならあの森には近ずかないことだな!それより、そろそろグランデ王国に着くぞ!」

草原を進んで行くと、大きな街が見えてきた。

「本当に王国なんだ…」

颯斗はボソッと呟いた。

それからしばらく歩くとグランデ王国の入口門に着いた。

「グランデ王国に入るには通行許可書が、必要だ」

「颯斗さんはベルク王国の許可書を見せれば大丈夫だよ!」

僕は当然そのようなものを持っていなかった。

冷や汗が身体中にダラダラと流れた。

「え、あ!通行許可書…は、失くしたかもしれないです…」

「なら通行料1000Rsいただくが、よろしいか?」

当然ながらこの世界の通貨などなかった。

「あ!それなら私達が払うのでそれでいいですか?」

「構わないが~…」

「後で色々聞かせてね?」

ルミナさんは僕の耳元で呟いた。

何か気づかれてしまったのかと思い、少し怖かった。

それから門番にお金を渡しグランデ王国に入国した。

「それじゃ~改めて、グランデ王国にようこそ!」

そこは壮大な建物が立ち並び、お店などは賑わっていて、辺りからは子供たちの声が聞こえる明るい街が広がっていた。

「き、綺麗…!」

「私達の故郷賑やかでいいでしょ〜!まぁ、私たちは見慣れてるからなんとも思わないけどね…」

ルミナさんは微笑んでそう言った。

「じゃあ、とりあえず腹も空いたし酒屋にでも行こうか!颯斗さんも腹減っただろ?」

「えぇ!?さ、酒!?僕未成年なので行けないです…」

さすがにそこは元の世界と同じだろうと思っていた。

「未成年って何だ?心配するな~!酒苦手なら飲まなければいいだけだ!」

僕はあまり断ったりすると現実世界から来たことがバレてしまうと思ったので、着いて行くことにした。

「おぉ!やってるか〜?腹が減ってんだ!ビール2人前と3人前の飯をくれ!」

店の奥の方から考えられないくらい大きな男の人が「はいよ!」と言っていた。

店の雰囲気は冒険者の人達が沢山いて、本当に居酒屋って感じだった。

「この陽気さなれねぇ…」

しばらくしているとキノコが入ったスープと見たことの無い野菜のサラダとパン、ステーキが出てきた。

食べたことの無い食材で怖かったが、約1日ぶりのご飯だったこともあり凄く美味しそうに見えた。

渋々ご飯を口に運んだ。

「何これ!美味しい…牛肉みたいだ…」

ご飯を食べているとルミナさんが肩を叩いてきた。

「ねぇねぇ!さっきの代わりに隠してること教えてよ!」

「え…あぁ、実はベルク王国から来た訳じゃなくて…」

僕は隠すのはもう無理そうだと思っていた。

「ベルク王国じゃなくてヴィルトゥエル王国から来たんでしょ!そうだと思ったよ~!だって服装が初めて見るんだもん!ヴィルトゥエル王国って貴族が沢山いるんでしょ!」

「え?ヴィルトゥエル王国…?う、うんまぁね…」

また新しい王国名が出てきて混乱寸前だった。

「そ、その、お金ありがとうございます…」

「いいんだよ〜!私も本物の貴族と喋れて楽しかったし!それと、服とかここで買って着替えた方がいいよ~その服装だと狙われるからね~あ!お礼に色々プレゼントさせてよ!」

ルミナさんはよっぽど僕のことを気に入ってくれたみたいだった。

それからご飯を食べ終え、ダレンさんは酒屋に残りルミナさんと一緒に店を回った。

「はいこれ!服一式とバッグと~…それから、はい!」

ルミナさんはお金の入った袋を渡してきた。

「え!お金は流石に受け取れないです…」

「いいの!いいの!お礼だからせめてでも受け取って!」

僕は渋々受け取った。

中には10000Rs入っているらしい。

「じゃ!また何かあれば頼ってね~!」

そしてルミナさんと別れてから、ギルドで通行許可書が作れると教えて貰えたので、作るためギルドへと向かった。

「えっと…ギルドは~?あれかな?」

僕はギルドの重たい扉を開け中に入った。

「なんだ〜?」

イカつい冒険者達が沢山いた。

僕は怖がりながらも受付へと向かった。

「あ、あの~通行許可書作りたいのですが行けますか…?」

「はい!行けますよ!5000Rs頂きますがよろしいでしょうか?」

僕はルミナさんに貰ったお金で支払った。

「役職はどうなさいますか?」

「役職か…役職って何があるんですか?」

僕が聞くと少し怪しまれたが教えてくれた。

「役職は、色々な場所に旅したり依頼をこなす冒険者、各地で手に入れた物を色んな王国で売ったりする商人、旅人や貴族、商人などを目的地まで安全に送り届ける護衛、騎士として王国を守る賢者の4つがあります」

僕は最初商人でもいいかなって思ったがせっかく異世界に来たのだから冒険してみたいと思い、冒険者を選んだ。

「それなら冒険者でお願いします!」

そういうと周りに居たイカつい冒険者達が笑いながら喋りかけてきた。

「そんなに弱そうなやつが冒険者で大丈夫なのかよ!」

「え…あ、すみません…」

僕はつい謝ってしまった。

すると1人の冒険者がギルドに入ってきた。

「お!颯斗さんじゃないか!」

見てみるとそこにはダレンさんがいた。

「お前らあまり人に絡むんじゃないぞ!颯斗さんはベルク王国の人なんだから優しくしてやれ!」

「ダ、ダレンさん!」

実は別れた後ルミナさんはギルドで僕が絡まれるだろうから助けるようにと言ってくれていたらしい。

「カード作りますのでお待ちいただいている間、こちら契約書の記入お願いします!」

「分かりました!」

契約書には其のⅠ、死亡や事故があってもギルドは一切の責任を負わない。其のⅡ、依頼を1年に10回受けていない場合冒険者剥奪とする。其のⅢ魔獣契約を交わした者はカードの更新をすべし、と書いてあった。

「まぁ、颯斗さんに何かあったら助けてやっから安心しな!」

ルミナさんとダレンさんに助けて貰いっぱなしで自分がちっぽけに感じた。

「カードが出来ましたので血をここにつけてください!」

僕は渡されたナイフで指を軽く切って血をカードに垂らした。

するとカードに勝手に名前と年齢、役職が文字印された。

「これで通行許可書は完成です!右下の余白は契約魔獣のものですが、ほとんどの方は使われないので気にしなくて大丈夫ですよ!それと、カードの裏にスキルが書いてありますので、また確認の程よろしくお願いいたします」

「ありがとうござます!」

僕は怖い事もあったが少し冒険が楽しみでワクワクしていた。そしていつも無表情なのに不思議と少し笑顔になれた。

「颯斗さんはこれからどうするんだ?」

「僕は調べたりしたいし、冒険もしたいのでしばらくグランデ王国に残ります」

僕は少し笑みを浮かべて言った。

「そうか!俺とルミナは別の王国での仕事もあるからな。ここでお別れだ!また会ったらよろしくな!」

「色々ありがとうございました!お元気で〜!」

そして僕は1人になったのだった。

「1人だと心細いな…」

暗くなってきたので残りのお金で森の宿と言う所に泊まることにした。

「あの~すみません~!泊まらせてくれませんか?」

歳のいったおじいさんが奥からゆっくり歩いてきた。

「1人なら部屋空いとるぞ。4000Rsいただくがよろしいかな?」

「は、はい!お願いします!ヤバい…早くもお金が底をつきそう…」

それから僕は鍵を渡され部屋に案内された。

「ここが部屋だ。ゆっくり休んで行ってくれ」

「ありがとうございます〜」

僕はベッドに横になり、ため息を着いた。

僕は自分のスキルが気になりカードの裏を見た。

するとそこには「メゲトス、コルセラピア」と書いていたがどれも意味の分からない言葉だった。

それからはモダンな部屋でしばらく心を落ち着かせ、僕は気づかないうちに眠りに落ちてしまったのだった。


現在のステータス

名前:宇積 颯斗

年齢:16歳

スキル:メゲトス、コルセラピア

全体レベル:1



あとがき

第Ⅱ章を最後まで読んでいただきありがとうございます~

今回の設定はお金についてです!

最初お金の単位で迷っていたのですが、R(ラース)と言うのをつけたいと思い調べていると、偶然ラースという言葉でお金に関係する言葉があったのでそれにしました(笑)


小銅貨 =1R=1円

大銅貨 =10R=10円

小銀貨 =100R=100円

大銀貨 =1000R=1000円

金貨 =10000R=10000円

白金貨 =1000000R=1000000円

ミスリル貨 =10000000R=10000000円


この図の通りにお金は設定してます!

ミスリル貨なんて現実なら夢のまた夢だな〜

長々なったらいけないので、ここまでにしておきます!次回第Ⅲ章もお楽しみにお待ちください!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る