異世界で魔獣と新生活トラベル

宏吉

第Ⅰ章 迷子になってしまいました…

母と父はずっと暗い僕をいつも心配していた。

「颯斗~?明日は学校行くの?」

母は心配そうに聞いた。

「え?行くけど…なんで?」

どうしてそんなこと聞くのだろうと僕は思った。

「それなら明日弁当作っておくからね!」

僕は軽く頷いた。

新しい学校に馴染めずに教室ではいつも一人で過ごしていた。

「はぁ…学校楽しくないな…」

独り言を呟いていた。

昼休みに隣の席の同級生達の話がふと耳に入ってきた。

「なぁなぁ!この学校の近くに村があるだろ?あそこの奥の森にある神社…出るらしいぞ!」

その神社はよく一人で行っている場所だった。

風に木々の騒ぐ音が遠く水の流れのように聞こえ、人通りも無く、人と関わるのが苦手な僕にはぴったりな場所で、読書や昼寝をする時によく来ていた。

同級生の話に内心「騒がしいなぁ…」と思っていた。

すると同級生はその神社での肝試しに僕を誘ってきたのだった。

「なぁ!名前、颯斗だっけか?良かったら一緒行こうぜ!」

同級生は目を輝かせて言っていた。

「いや、僕は…やめとくよ…でもなぁ…」

最初は断ったが、初めて喋りかけてくれたというのもあって行くことになってしまった。

「それなら今日の放課後8時に森の前集合な~」

同級生はスタスタと何処かへ行ってしまった

「どうしよう、断れなかった…」

そして深夜森の前に全員集合した。

神社の探索は2人づつで分かれて、交互に行くことになった。

「ジャンケンでチーム分けしよう!」

僕はこういうノリが苦手だった。

そして僕は話しかけてくれた同級生とチームになり、仕方がなく神社に入った。

「ここの雰囲気なかなかやばいな!颯斗大丈夫か?」

僕が鈍感なだけなのか神社はいつもの穏やかな感じだった。

「だ、大丈夫だよ…?ははは…」

同級生が持ってきた懐中電灯を照らし歩いていると質問された。

「ねぇねぇ?颯斗の家ここから近いみたいだけどこの神社は知ってたの?」

なぜそんなこと聞くのだろうと思い答えた。

「え?あ、あぁ……ここは肝試しによく小さい子が来るみたいだから知ってるよ…」

「へぇ〜そうなんだ~」

同級生は話を流そすような返事をした。

そんな話をしながら歩いていると境内の社の前まで着いていた。

その時、賽銭箱の隅に何か光るものが落ちていたが、暗くてよく見えなかった。

「うわ〜!?人の影が!」

突然自分の影に驚いて同級生は後ろに走り出した。

「本当にこういうの疲れるな…」

そして一緒に走って同級生と境内から出た。

「いや~怖かったな…」

話を流すため会話を切るように喋った。

「ご、ごめん親に怒られそうだから僕急いで帰るね…」

同級生は少し驚いた顔をしていた。

「あ、あぁ…気をつけて帰れよ〜?」

そして僕は走って家に帰宅し、ご飯が出来るまでベッドで休んだ。

「起きなさ〜い?」

お母さんの声が家に響く。

外は晴天で小鳥のさえずりが聞こえていた。

僕は疲れてご飯も食べず寝てしまっていたみたいだ。

すると母が部屋に来た。

「今日は学校休む?」

母は少し心配そうに聞いた。

「え…あ、うん…」

「弁当作ってあるからお昼に食べなよ〜」

そう言ってお母さんは部屋を後にした。

それから僕は身体を起こしてお母さんの作った弁当と、本を持って昨日の神社に向かった。

蝉の鳴き声が響き渡り、澄み渡った風が静かに流れる中、僕は走って神社に向かった。

その時は昨日の事など忘れていた。

神社に着いた後、僕は階段に腰をかけ、本をめくった。

しばらくして集中が切れ、お昼になっていたので弁当を食べる事にした。

食べている時ふと昨日の賽銭箱の隅の物が気になり急いで食べ終え確認しに行った。

するとそこにはガラスのような透明な石が置いてあった。

「これなんだろう?とても綺麗だな~もしかしてお供え物かな?」

手に取り太陽の光を透かして見ていると、晴天だった辺りがたちまち霧に包まれ、自分の立っている場所が見えなくなり、辺りが真っ白になった。

数分待つと霧が徐々に収まって行ったが、何かフワッとする変な感じがした。

「何か嫌な予感が…急いで出よう…」

僕は荷物をまとめて神社を出た。

「え…な、なんじゃこりゃ~!?」

そこには知らない高原が広がっていた。

僕は1度神社に戻って状況を整理した。

「え、え…?どういう事…?というか、これじゃ家に帰れないじゃん!?」

焦っていると神社の外から人の声が聞こえてきた。

「そろそろテント張るか~!」

「そうだね~」

僕は大声を出して助けを求めた。

「あの!すみません!」

「誰だ!」

剣先を向けられ、僕は両手を挙げて1歩下がった。

「あ、これってやらかした…?」

「ちょっとダレン!武器下げなさいよ!」

助かったようだった。

「驚かせてしまってごめんね~!ダレン!人に剣向けるなんて酷いよ!」

「ルミナ、すまない…そこの人もいきなり剣を向けてすまなかったな…俺はダレン・オーバーだ。好きに呼んでくれ。よろしくな」

僕は腰が引っこ抜けそうだった。

「私はルミナ、ルミナ・ニースよ!よろしくね!」

「颯斗です、よ、よろしくお願いします…」

おどおどしていると質問をされた。

「颯斗さんはどこの王国からきたんだ?」

「お、王国?」

僕はこの時何となく別世界に来てしまったんだと気づいた。

でもここで別世界からきたなんて言ってしまうと、怪しまれるし、今後大変なことになりそうだと思った。

「え…えっと~田舎の方から来たんです…」

「田舎…?」

ルミナは何か勘ぐっていたが、何とか隠し通すことが出来た。

「田舎って言ったらベルク王国じゃないのか?」

「あ!ベルク王国ね!でもそんな遠方から遥々ここまで来たの?」

僕は混乱していることもあり嘘と事実が行き来してしまった。

「実は迷ってしまってここに来ちゃったんです…」

「それは大変だったな…俺たちの故郷のグランデ王国が近くにあるんだ。明日の朝そこに向かおう!」

聞きなれないワードがいっぱいだった。

「ありがとうございます!その、まだ夕方になりかけだし近いなら今からじゃだめなんですかね…?」

「夕暮れに移動するのは魔獣がうろうろしているから危険だぞ!」

「ま、魔獣…本当に別世界に来てしまったんだ…」

あまりに驚きで心の声が出てしまった。

「別世界?なんの事だ?」

「いえ!なんでもないですよ!」

それからはテントを貸してもらい、寝たが、当然、驚きと不安で寝れなかった。


あとがき

第Ⅰ章を最後まで読んでいただきありがとうございました!一体これから主人公の颯斗君はどうなってしまうのか!次回のⅡ章のあとがきでは設定を少しづつ載せていきますのでお楽しみにお待ちください!

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