晶獣(レクリス)一覧

※紹介順は、登場する順番に準拠。

 内容は随時、追記されます。

 また、ネタバレも相応に含まれるので注意。



・序文

――――それらは、忌み名を"晶獣レクリス"と呼ばれる、旧き敵対の血脈である。

この世のものとは思えぬ異様な姿と強大な力を持った、狂暴の怪物。

瘴氣ヴェノン” と名付けられた、劇毒に匹敵する邪気を身に宿しており、恐るべき凶暴性と生命力を有する。

物理的な破壊は勿論、劇物による侵食、極限環境に置かれようと、肉片一つからでも再生し、毒氣と暴力とを撒き散らす。

更に、その多岐にわたる生態の中には、戦闘生物とでも言うべき能力を持つもの、もはや魔法としか思えない現象を操るものまでも確認されている。

世界の理、そして”生命の最期”を越えてまで、"人間"に対する激しい殺意を滾らせるこれらには、およそ人智の及ぶような攻撃手段など通じない。

然り、つまりはこの悪妖を滅殺するには、同じく人知の及ばぬ”相克の力”を以て凌駕する。

そのような歪な絵図こそが最たる手段であると、知りおくべきだろう。




 ガーゴイル Gargoyle

・低級原種

・呼称 「灰魔」かいま


さながら二足歩行の獣、すなわち”人狼”のような”晶獣レクリス”。

平均して体高2mの巨躯は強靭な四肢を備え、更に首筋に映える白い鬣以外に体毛は無く、なめし革のような表皮が剥き出しになっている。

要所が灰白色の硬甲殻で覆われており、その防備から”灰魔”という異名も持つ。

性質も荒々しく凶暴であり、最大の武器たる大顎、腕に生やした大鉈のような爪を野蛮に振り翳し、獲物を追い詰める。

一方、群れを成して狩りを行う社会性や、”スカベンジャー”としての性質も持っており、他の強大な”晶獣レクリス”に呼応して出現する場合もあるようだ。

その強かな生態から、低級ながら被害を拡散させやすい種である。

体表が暗褐色に変異した大型個体は、ガーゴイルのメス・"メア・ガーゴイル"と呼ばれ、通常種たるオス以上に凶暴かつ強力である。



・特記事項

爪腕と牙以外にも、強靭な後足も使った体術を繰り出すこともあり、近接戦闘での戦闘力は非常に高い。

また、口から白い"杭"のような物体を吐き出し、遠距離攻撃を行えることも確認されている。

解析の結果、これは”捕食した獲物の骨”等の未消化物と、強い胃酸と瘴氣ヴェノンとが体内で混合された物質であるようだ。

粘土質で相応の硬度があり、吐き出された時の勢いも相まって、直撃すれば人体程度なら容易に貫通せしめる。

加えて、砕けた"杭"からは毒性が揮発して飛び散り、付近の物を強力に腐食する。

まさに、劇薬をそのまま弾丸にしたような危険な物体である。




 メア・ガーゴイル Mare・Gargoyle

・低級原種・変異体

・呼称 「朱灰魔」しゅかいま


晶獣レクリス・”ガーゴイル”種のとされている、強大な個体。

過剰な捕食行動によって力を増した結果の変異とされ、体色は暗褐色に変化。

大爪を備えた四肢は更に肥大し、背筋の鬣は長い棘のような鞭毛となっている。

Mareメア(牝馬)」という冠詞を以て”メス”と扱われる由縁は、この亜種のみが持つ”繁殖能力”に在る。

その身にこの世ならぬ毒気を著しく高濃度で帯びており、その体液が十分な量の有機物質と反応させることで、新たなガーゴイルを発生させる事が可能であるのだ。

もしもそのまま群れが膨れ上がれば、縄張りのリーダーとなってこれを統率、大規模な攻撃を仕掛ける事もある。

更には、女性や子供――――即ち、”栄養源とした優れた存在”に執心する悪辣な捕食傾向を持ち、原種とは一線を画した脅威と見做されているのである。


・特記事項

原種と比べ、平均で2割増しほどになるという体格に依り、その脅威度は別物と言って差し支えない

強靭極まりない四肢を使った格闘戦と、不意の飛び道具を吐き出しての戦闘力は健在。

更に、内包する瘴氣ヴェノンの影響によって、破壊的な膂力を瞬間的に発揮させる能力も獲得している。

翠緑色の怪光と共に、超常的な振動波を纏い、地形を変える程の攻撃を繰り出す。

但し、その行使・制御には難点を抱えており、使用に際してタイムラグが生じ、また本体への負荷も大きいようである。




 デュラハン Dullahan

・低級原種

・呼称 「怪鳥」けちょう


あたかも、首をもぎ取られた巨大翼竜かのような姿の飛行型の”晶獣レクリス”。

不気味な暗緑色をした筋肉質の巨体は、飛行生物として成立し得ない程に重いにも関わらず、高い飛行能力を持つ。

翼長は平均して7mに到達し、また背部と翼腕にかけて銀灰色の硬い鱗で防護されているのも共通した特徴である。

晶獣レクリス”としては最下位に分類されるも、性質は例に漏れず獰猛であり、巨体を用いた体当たりと、長大な後脚の鈎爪で、人間を含む大型動物へ空中から襲いかかる。

また、この後脚は翼に匹敵するほど長く強靭であり、内部に顎と口腔を備えた捕食器官であると同時、眼球状の視覚器官をも潜ませる、特異な構造となっている。

これは攻撃の瞬間の測距を行う為に特化している為であり、普段はで周囲を把握しながら飛行しているようだ。

また、地上に着地した際もこの後足を振り立てて攻撃する姿を確認されており、本種の戦闘力の根本を担うと同時に、優先的に狙うべき急所でもあると言える。


特記事項

体格や重量についてはかなり個体差が大きく、時に重金属並みの比重の身体を持つものまで存在する事がある。

それでも尚、空中を飛べるのは”晶獣レクリス”としての特異性の現われと見られ、一説では微弱な”反重力波”のようなエネルギーでしているという観測結果も。

また、飛行種である為、出現した場合に被害拡大を阻止しにくい点が最大の難点として挙げられる。

相対した場合は特に迅速な駆除が求められるが、見た目以上の大重量からの攻撃力は相当のものであり、決して侮ってはならない相手であることは言うまでもない。



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