第55話 女の子はいつでも前に進む

昔、入店したばかりの女の子に、偶然お会いしたことがあります。

運命を感じるように迷うことなくその女の子を指名しました。

まだ慣れていない女の子は、ウェーブのついた長い髪の毛を、ふんわりとさせたおすまし顔をしていました。


本日は久しぶりの訪問となっているばかりではなく、知り合いと一緒に訪問をさせていただいております。

ホモだと思われないように別々に受付をしましたが、彼は、僕の選択の余地をなくすように早めの女の子を指名してしまいます。

お目当ての女の子を選んで1時間半待たせたら、彼が何を言うか分かったものではありません。

それならばこの子でと女の子を決めたのですが、ロシアンルーレットのようにパネルの画面がシャッフルされていきます。

そして今、一番先頭に髪を短くした懐かしい顔が映っていました。

今では大人気となっているために、パネルでもお見かけすることがあまりなく、あっても長い待ち時間の女の子です。

僕はあの頃を思い出すように彼女を指名しました。


気候の良い待ち時間は、女の子の秋のコーデを覗いてみます。

黒のミニスカートかスリットか、大胆にあしらった白い太ももとのコントラストを楽しませてくれます。

異性の視線が必ずそこに行く事をを意識しているような、大胆な女の子のおしゃれです。

大宮の秋の景色を楽しみながらの待ち時間は、あっという間に過ぎていきます。


お店に戻ってみると、僕の女の子はすでにパネルの中にも見えなくなってしまうぐらいの大人気です。

後ろで店員さんに促されて知り合いがアンケートを記入しています。

どれだけ蕩けた顔をしているのかを確認するには勇気がいります。

しかし、彼よりも楽しむことが、他人よりも人生を楽しもうと決めた僕に課せられた使命でもあります。


エレベーターに乗り込み扉が開くと、磨き上げられた身体でミツキちゃんが待っていてくれました。

髪の毛はパネルよりも長くなり、あの頃に戻りつつあるのでしょうか。

プードルの毛先のようにポワポワとしています。


「ハグをしても、いいですか?」

見とれている僕に、ミツキちゃんが胸を開いてくれます。

僕はハグをしながら、その髪の毛に鼻先を埋めます。

ずっと昔のたった25分の記憶は彼女から失われ、新しい記憶として彼女の心に降り積もります。

お部屋に案内して頂くと、じっと僕の顔を見つめて、「会ったことあったっけ?」 と問いかけてきます。

「2年前に・・・」

僕がおずおずと答えると、やっぱり忘れているようでしたが、


「思い出してくれてありがとう。」

なんの嫌味もなく、本当に嬉しそうに微笑んでくれます。

そして、25分しかないから、とすっかり慣れた手つきで自分のドレスを脱いでいきます。


「あーっ!あーっ!」

恥じらいも見せずにランジェリーを脱ぐミツキちゃんを惜しむように叫ぶと、なんとかパンツだけは僕に脱がさせてくれました。

あっという間に再会をしてしまったお胸の仇を取るように、僕はひざまづいてその布に指をかけ、目の前でゆっくりと、ゆっくりと下ろしていきます。


「ずいぶん時間をかけるんじゃない?」

ミツキちゃんが催促しますが、それにも負けずにゆっくりと現れていく女性の姿に心をときめかせていきます。


産毛というのが最もふさわしい造形の奥に、透けて見えるむっちりとした神秘の谷間の双璧に埋もれてみたいものです。

お返しとばかりに、彼女は僕の興奮を外気に晒していきます。


浴室に入れば、明るい光がミツキちゃんの身体を現しにしていきます。

ふわふわの髪の毛、ぷっくりと形の良い口唇、お行儀良く先端に乗った子供のようにピュアなバストトップ、そして若干の和尻。

僕の中で全てがあの頃の記憶と繋がります。

自然と顔がにやけて、変な笑い声が漏れてしまいます。


「?、私、その笑い方なんか覚えているんだけど。」

変なところだけを覚えていて、ちょっとテレちゃいますが、なんとなく嬉しさもあります。

あの頃と同じ若々しさは、年月を経ているにもかかわらず、彼女に衰えを感じさせません。


部屋に戻って横になります。

「もっと中心に寄って」

彼女のエスコートに引かれて、彼女がリードをしてくれます。

「すごいね。 ここも、こっちも固くなってる。」

彼女の舌使いが僕を翻弄していきます。


!!

僕は体を硬直させます。

「うふ。痛くされて気持ちよくなるなんて変態だね。」

ミツキちゃんは痛みを与えた部分を愛おしむように、舌先でケアをしてくれます。

鏡の中で美しさの中心に向けて入り込む自分の姿を見つめます。


「もう・・・。」

限界を感じる僕は彼女に救いを求めます。

「じゃあローションをつけるから」

そう言ったはずなのですが、導くふりをしながら、ミツキちゃんはさらなる快感に僕を導いていきます。


「ねぇ、ここは、どう?」

普段はあまり気にしたことすらないような部分を弄ぶように、白い指先が踊ります。

僕はあまりの気持ち良さに、自ら求めるようにその部分を開き、さらなる刺激を本気で求め続けています。

が、あまり続けられても、僕がもう保てないのです。


「じゃあ、そろそろ。」

「入るところを、よ〜く見ていてね♡」

2人の間から淫靡な音が2度、3度と響き興奮を増していきます。

僕は素敵な感覚を逃がさぬように、ミツキちゃんの身体を下から求めます。


態勢を入れ替えて、ミツキちゃんの大事な部分をこの目に焼き付けます。

彼女の指先を使って、彼女自身でそれにイタズラをしてもらいます。

細い指先が開げていく扉の奥の秘密を、僕は固唾をのんで見守ります。


そして、いよいよ二人の身体を寄せ合います。

もうあまり動くことすらもはばかられてしまいます。


この空間の楽しみは、己の限界と共に幕が降りてしまいます。

久しぶりに感じる、この限りない快感をいつまでもこのままにしておきたい。

僕の気持ちが、僕と彼女の動きを制限します。

「動かないで。」

そうお願いする僕の顔に笑顔を見せながら、イタズラをするように彼女の神秘の扉が強く、そして弱く収縮を繰り返し男心をもて遊びます。

すでに限界を超えていた僕の気持ちの濁流が、堤防を越えていくようでした。

!!

僕は必死でこの流れを抑え込みます。


「中で、出して・・・」

耳元で囁くミツキちゃんの甘い声で、快感は結界を超え、留まることもしらずに溢れていきます。

「僕を見て、僕を見つめて!」

彼女にお願いして瞳と瞳を合わせてもらいます。

あの時に叶えられなかった夢が叶っていきます。

軽い、軽いキスを頂いて、もう一度見つめ合います。


「まだ離さないから・・・」

そう言って、再び神秘の扉で何度も強く抱きしめてきます。

今、少年よりも敏感な僕には、そのサービスは激しすぎました。

慌てて いる僕に笑いかけてくるミツキちゃんは、あの頃とは別人のように楽しんでいるように見えました。

おすまし顔の新人さんは月日の流れとともに、ふわふわな髪のいたずらな天使へと進化しているようでした。


僕は楽しい女の子が大好きです。

おすまし顔に躊躇していましたが、きっとまた会いに行きます。


また遊んでね。

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