もしもあの日

月島ノン

もしもあの日…

もしもあの日、君が死ななかったら。いま、どれだけ幸せだろうか。

あの日、君は交通事故で死んだ。僕の腕の中で、静かに息を引き取った。


そのあと僕がどれだけ泣いたかも、君はなにも知らない。どれだけ愛しているかも、君はわかってくれない。もう…なにも…知ってくれない。


もしもやり直せたら…


………………………


「ここは、どこ?」


僕は不思議な空間で宙に浮いていた。温かくて、とても気持ちのいい場所。


「なにかが見える…あれは…君が死んだ日のこと…?」


君を抱きしめて、泣き叫ぶ僕が見えた。

僕は祈った。どうか神様、僕がかわりに死にます。あのこを…僕の大切な人を助けてください…


次の瞬間、意識が飛んだ。


目が覚めると、そこには君がいて、泣いていた。何かを叫んでいる。

君「お願い…おいてかないで…あなたが好きなの…」


ああ、そうだったのか。死が迫るなか、僕はとても幸せだった。

なにより大切な君に、抱きしめてもらえたから。


そして、ありがとう。さようなら。

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もしもあの日 月島ノン @tukisimanon

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