第41話 再発
春休み中、すずかの家に行ったり、ももかの家に来てもらったり、日によっては綾が参加したりと勉強しまくる日を楽しく送った。
四月になり明日から学校という日の朝、目が覚めたら少し頭が痛い。俺がももかのところにやってきてから、初めての頭痛だ。
『ひさしぶりだね、頭痛』
風邪でもひいたか。一応伯母さんに相談するか。
パジャマのまま階段を降りる。その事自体いつものことだが伯母さんは何かを察したようだ。
「ももか、どうかした?」
「うん、ちょっと頭痛がね」
伯母さんが顔色を変えるのがわかる。
「風邪でもひいたのかな。風邪薬飲んで寝てたら?」
「うん」
薬を飲むためだけに、パンを半分だけ食べる。食欲はないのだ。
薬を飲んで、部屋に戻る。
すぐにベッドに戻る。
『なにも考えたくない』
わかるよ。
すぐに寝てしまった。
昼前だろうか。目が覚める。まだ頭が痛いが、先程よりはマシだ。
またパジャマのまま階段を降りる。
リビングには伯母さんだけがいた。
「ももか、具合はどう?」
「さっきよりはいいけど、まだちょっと痛い」
「お熱測ろうか」
伯母さんはそう言って、体温計を差し出した。
しばらくして、体温計がピピピとなる。体温をみると、36.7度と、ほんの少し高いだけだ。
ももか、藤沢先生に連絡してもらった方がいい。
『そうなの?』
俺も考えたくはないが、悪い方で準備しておいた方がいい。
『それもそうだね』
「ママ、藤沢先生に連絡してくれないかな」
「うん、そうする」
伯母さんは電話をかけに行ったが、少しで戻ってきた。
「先生診察中なんだって。手が空いたら、電話してくれるって」
「うん」
ソファーにぐったりと寄りかかる。伯母さんがブランケットを持ってきて、肩にかけてくれた。
何分経ったがわからないが、けっこう時間が経って、伯母さんのスマホが鳴った。
「はい、川口です」
伯母さんはしばらく先生と話していた。
「ももか、今日の午後、病院に来て欲しいって」
「うん、パジャマのままでいい?」
「いいわよ。タクシー呼ぶから」
パジャマの上にロングコートを着せられて、タクシーに乗った。
窓の外に桜の花が見える。
なにも感じない。
病院に着き、ロビーのソファに座る。伯母さんは受付に行った。しばらくすると、車椅子を土佐さんが押してきた。
「ももかちゃん、すぐ診察するって藤沢先生言ってたよ。ちょっとだけがんばってね」
「はい」
診察室で藤沢先生は、
「ちょっとだけごめんね。痛いのはいつから?」
「今朝です」
「薬は?」
「これを飲みましたが、あんまり効かなくて」
「う~ん、とりあえずMRI撮りましょうか」
「はい」
「土佐さん、MRI、緊急で入れて」
「はい」
土佐さんが出ていった。
「痛み止めをしたいんだけど、もうすこし検査してからのほうがいいと思うの。だから、もう少し我慢してね」
藤沢先生は別の看護師さんを呼んで、採血をした。
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