第35話 試験終了
テストは無事終わった。手応えはあった。伯父さんも納得してくれるだろう。
最後のテストが終わったあと、綾がももかのところに飛んできた。
「ももか、ありがとう。私史上、数学最高点取れたと思う!」
「ほんとに? よかった。で、何点くらい取れそう?」
「50点くらいかな?」
計算ミスなどもあるだろうから、実質40点ちょいかな?
『そうかもね』
ま、本人が納得してればいいんじゃない?
『そうよね』
すずかはすずかで、
「今回テスト、自信ある。ももか、ありがと」
と言ってくれた。つづけて、
「お礼というか、うちあげというか、おいしいものでも食べに行きたいね」
と言う。綾は、
「いいね。今日行く?」
と聞いてくるので、ももかは、
「部活は?」
と聞かざるを得ない。
「あるけど、さぼる?」
綾は自分のことなのに、疑問形の答えである。ももかは、
「だめだよ。私の登校手伝って、結構朝練休んだじゃん。でれるときはしっかり出てよ」
と伝えた。それでも綾は、
「うーん、でも眠いんだよね。部活だるい」
などというので、
「本音はそっち?」
ということで、三人で大笑いした。
結局打ち上げは後日ということにし、ももかはすずかと二人で下校する。駅までの道で、
「パパがね、塾体験してみないかって言うんだ」
と、ももかはすずかに相談する。すずかの答えは、
「ももか、塾なんて必要ないんじゃない?」
だった。
「私もそう思うんだけど、パパ、私が頑張ってるの心配してくれてるんだと思う」
「そうか、だったら体験だけでもしなきゃね。どこの塾?」
塾の名前と場所を教えた。
「私も体験してみようかな?」
と、すずかは言ってくれる。
「え、家から遠くない?」
「ももかといっしょがいいな?」
「おうちで相談してみれば?」
とりあえず、そういうことになった。
夕食のとき、ももかが伯父さんにそれを伝えると、
「通うのが楽しくなるのはいいけれど、すずかちゃん、お家から遠くないかな?」
と言っていた。
学年末テストが終わったので、学校は試験休みである。綾のように部活がなければ終業式まで休みだ。
ももか、試験休み中、どうするんだ。
『もちろん、体力づくりと勉強』
体力づくりは?
『ジョギングに挑戦したい』
いいな。まずは近い距離からだな。
『勉強どうしたらいい?』
数学を中心に予習だな。
『復習じゃなくて?』
多分、ももかの高校のペースで勉強していくと、受験間に合わない。優秀な進学校だと、2年で高校内容全部終わってる。
『3年で何するの?』
受験対策だな。
『それは強敵だね』
だから、予習中心で自分のカリキュラムで勉強して、学校の授業は確認作業にしないと、医学部なんて受かんないぞ。
『だからパパは塾へ行けって言ってくれたんだ』
そうだろうな。
試験休み初日、朝からももかはトレーニングウェアに着替えた。
『よし、ジョギング行こう』
まずはバス停往復だ。
『え、そんなの余裕でしょ』
やればわかる。
走ってみたら、息は上がるし足は痛い。バス停往復がやっとだった。
ほらな。
『こんなに体力ないんだ、私』
こんなものだよ。だから、少しずつだ。あとは、ペースはもっとゆっくりでいいぞ。
『大丈夫かな』
大丈夫だ。若いんだから、かならず体力は取り戻せる。
こうして試験休み中、ジョギングと高2の予習を続けた。ジョギングする距離は、少しずつ伸びていった。
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