第32話 お勉強会(午後)

 お昼ごはんは、ナポリタンだった。伯父さん、伯母さんとで合計五人で食卓を囲む。

「いやぁ、娘がいっぱいできたみたいだな」

 伯父さんは妙にごきげんである。伯母さんはちょっとあきれている。

「「「「「いただきまーす」」」」」


 テーブルには、粉チーズとタバスコが並んでいる。伯父さんはタバスコをいっぱいかける派、伯母さんとももかは粉チーズいっぱい派だ。

 すずかは伯母さん・ももかの真似をする。

「わたしは、粉チーズいっぱいかけよ」

「どうぞどうそ」

 対して綾は、タバスコのようだ。

「私、辛いのすきなんだよね」

 そう言いながら、結構かけている。

 一口口に含んで、

「からぁ~」

と騒いでいるが、嬉しそうである。

 昼食の話題は、ももかの学校での様子になってしまった。伯父さん、伯母さんがすずかと綾にいろいろと聞いたのである。どうしても体力についての話になってしまう。

「でもですね、ももか、勉強すごいできるんですよ」

 すずかが言い出した。

「多分入院中にしっかり勉強してたんだと思うんですけど、最近は私達が教わってばっかりなんです」

 ももかはちょっとてれてしまう。

「そうなのか?」

 伯父さんは意外そうである。

「ま、少しは教えてるよ」

 ももかはそうは答えた。

「うん、安心したよ。勉強おくれてないか心配だった」

 伯父さんは納得してくれたようだった。

 

 午後は英語の勉強から始めた。この間と同様、どうしても綾は関係代名詞の質問が多くなる。

 すずかが言った。

「綾、もっとひとつひとつの単語の品詞を意識しなきゃだめだよ」

「そうお、なんとなくわかればいいんじゃないの?」

「だめだよ、こないだももかも言ってたでしょ」


『私そんなこと言ったっけ』

 忘れた。

 

 二時半になること、またも綾が音を上げた。

「私、カワセミみたいな」

「しかたないなぁ」


 というわけで、公園へお出かけすることになった。今日は伯父さんも付いてくる。

「俺も、一回見たいんだよ」

 双眼鏡持参である。

 

 いつものように途中のコンビニでラムネを買い、公園に行く。

 

 前に比べると、早く着くようになったな。

『うん、コウイチとみんなのおかげかな』


 公園の池には、やっぱりおじさんたちがいた。

「ああ、お嬢ちゃんたち、久しぶり」

 伯父さんは前に出て、

「娘たちがお世話になってます」

と挨拶する。おじさんたちは、緊張気味であったが、伯父さんの双眼鏡を見ると打ち解けていた。


 残念ながら、今日はまだカワセミがきていない。雑談しながら待つ。

 

 二十分ほどして、カワセミが飛んできた。太陽光を受けて、青く輝く姿はいつもながら美しい。

 カワセミが飛び去るまで、双眼鏡を代わる代わる覗いた。

 

 家に変えると伯母さんがお茶とケーキを用意して待っていた。

「ケーキ美味しいです。ありがとうございます」

 綾がお礼を言うと、伯母さんは、

「よかったら、来週も来てね」

と言う。綾は、

「はい、テストやばそうなんで、そうします」

と答えて、みんなで大笑いした。

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