第26話 ご招待

 インフルエンザの流行で、学校へ行けなくなってしまった。だから今まで通り、ネット授業と公園までの散歩の日々である。

 

 今日の最初の授業は古典だ。ももかはノートをとるのに必死で、どうもわかっているように俺には思えない。

 

 ももか、古典難しいか?

『うん、なんか難しい』

 問題集ちゃんとやったか?

『問題集って、何』

 学校から、うすい「入門」的なやつもらってないか?

『もらってたと思うけど、入院しててやってない』

 それ最初から最後までやれば、共通テストくらいならどうにでもなるぞ。

『今夜からやる』

 うむ。

 

 次の授業は世界史である。これまたノートをとるのに必死だ。

 

『なんか、暗号の暗記ばっかりみたいでつまんないんだよね』

 そう言うときは、資料集見て、ビジュアルで追いかけると少し楽になる。

『あと、位置関係もわかりにくい』

 それは世界史用の地図帳って売ってるぞ。伯父さんに買ってもらえ。

 

 その次は体育なので、公園へ行く。

 

『私、体育大好き!』

 カワセミ見たいだけだろ。

『そうとも言う』

 あれさ、友達にも見せてやりたいな。

『そうだ! 今度うちに呼ぼう!』

 いいな。

 

 昼休みになった。今日もすずかと綾と食べる。ももかが言い出す。

「ねぇ、今度の日曜さ、うちに来ない?」

 綾が答える。

「え、行っていいの?」

 ももかは驚いた。

「なんで?」

 すずかが言う。

「先生言ってた。ももか、インフルエンザにかからないためにまだ休んでるって」

 ももかは答える。

「そうなんだけど、少しくらいならいいんじゃない?」

 綾が乗り気だ。

「じゃ、今度の日曜行っていい?」

「部活いいの?」

「今週無い! すずかも行こうよ」

「うん、行く!」


 楽しみができてよかった。

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