第24話 青い鳥

 今、学校のみんなは体育の授業中だ。ももかはジャージにウィンドブレーカー上下に着替え、近所の公園へ向かう。体力づくりが目的だから少し早足で行きたいところだが、すぐ疲れてしまう。

 

「もうやんなっちゃう」

 ももか、あんまり口に出さないほうがいいぞ。

『なんでよ』

 ネガティブなことを口にすると、気持ちが本当にネガティブになっちゃうこともあるんだぞ。

『そうなの?』

 時と場合にもよるけどな、前向きに明るい気持ちでいたほうが、進歩も早いぞ。

『了解』

 コンビニに寄ってくれ。

『なに買うの?』

 ラムネ。

『そんなの食べたいの?』

 ラムネはブドウ糖で出来ている。エネルギー補給に最適だ。

『スポーツドリンクも買っていい?』

 ああ、いいぞ。

 

 コンビニでラムネとスポーツドリンクを買って、公園で一休みする。ベンチに座り、冬枯れた公園の景色を見渡す。風さえ当たらなければ、意外に温かい。ラムネをボリボリと食べていると、池の周りにおじさんたちが集まっているのが見えた。

 

『あのおじさんたち、なにしてるのかな?』

 鳥だろう。

『鳥?』

 たぶん、カワセミがあの池に来るんじゃないかな。おじさんたちはそれを写真に取るんだと思うよ。

『ふーん』

 行ってみるか?

『うん』

 静かにだぞ。うるさくすると鳥が逃げる。

『わかった』


 ももかはゆっくりゆっくり歩いて池に近づく。池の囲む鉄柵におじさんたちが静かに寄りかかっている。おじさんたちの視線をたどると、小さな青い鳥がいた。岸から伸びた枝の先に留まって水中を伺っているようだ。ももかの心臓がドキンとなるのがわかる。

 

 きれいだろ。

『うん、カワセミって、あんなにきれいな鳥なんだね』

 飛ぶと、もっときれいだぞ。青く光る。

『それ、見たい』

 待つしかないな。

『うん』


 しばらく見ていると、突然カワセミが飛んだ。青く輝きながら、どこかへ行ってしまった。

 

 行っちゃったな。

『行っちゃったね』

 帰るか。

『帰る』


 またとことこ歩いて家に帰る。足が重い。

 

 筋力不足だな。

『うん、歩き慣れないとね』

 食事も大事だぞ。

『筋肉をつけるから?』

 そうだ、運動後30分以内にタンパク質だ。

『コンビニ寄る?』

 うん、いいな。

『なにがいいと思う』

 サラダチキン。

『鳥見たあとに鶏肉か』

 ごめん。

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