第8話 数学のお勉強
翌日月曜日、ももかは朝食後に入院時に持ってきていた数学の教科書を取り出した。
さっそくやるか。どこやるんだ?
「すずかの言ってた三角比」
おお、がんばれよ。
「わかんないとこ、教えてね」
まかせろ。
ももかが教科書の三角比のページを開いた。ざっと目を通すと、かなり丁寧に解説されている。良い教科書だ。
『良い教科書なの?』
ああ、これなら独学でも結構できる。さすがトップメーカーの教科書だ。
『どうすればいいの?』
読んで、実際に手を動かせば、自分で8割はわかるよ。
『わかった』
ももかは早速読み始め、例題1、類題1とすすんだ。
『あってる?』
うん、あってる。
例題2、類題2
『あってる?』
うん、あってる。
例題3、類題3
『あってる?』
あ、(3)ちがう。
やりなおして、続けて例題4、類題4
『あってる?』
うん、あってる。簡単だろ。
『簡単だね、すずか、どこが難しんだろ?』
もっと先のほうじゃないか。
『じゃ、がんばんないと』
無理すんなよ。
『脳内家庭教師がいるから大丈夫』
なんだそれ。
例題5のところで公式が出てきた。ももかが早速公式を使って問題を解く。
ももか、あってるんだけど、この公式、どういう意味だか説明できるか?
『公式の意味? 覚えればいいんじゃないの?』
だめだ、覚えただけの公式は、絶対忘れる。
『なるほど』
90度ひくシータの公式はな、直角三角形で……
しばらく教えていたら、ももかは納得してくれた。
『意味が分かれば、公式忘れても大丈夫だね』
そうだ。あと、図は面倒でもいちいち自分で書いたほうがいいぞ。
『了解』
ももかは、どんどん勉強していった。
『あ、トイレ』
最近の俺は、こういうときは虚無になることを覚えた。俺が虚無になれば、ももかは恥ずかしがらなくて済む。
『ねぇ、コウイチ、コウイチ!」
あ、ごめん、虚無になってた。
『もう、十二時だよ、私、二時間以上も数学勉強しちゃった』
つかれたか?
『ううん、なんだか楽しかった』
理系でもいけるんじゃないか?
『コウイチのおかげ。ありがと』
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