第4話

 行方不明のパーティーが増加傾向にある中で一度も問題が起こらなかったのは、あのパーティーが優秀だったからに違いないが、今はもういない。


 私はリュックサックから魔法石を一つ取り出して魔力を注ぎ込んだ。ステータスオープン、潜伏スキルレベル1が発動を確認。やれやれさっそく貴重な魔法石の一つをこんなところで使ってしまうとは我ながらビビりである。


 役目を終えた魔法石は淡く光ったあと空気に同化して跡形もなく消えた。


 今では容易に加工できる魔法石も最初は作るのに随分苦労したものだ。私は急ぎ足になって足跡を深く残さないように昔のことを思い出していた。


 先代の黒魔導士様は私にとってとても良い人であった。深い知識と臨機応変な対応で幾度となくピンチを救い魔導士ディーラーの私にも魔道具の扱いや魔法石の活用方法まで丁寧に教えてくれた。


 そのおかげでこうやって追放されたあともパニックにならずやり過ごそうと思える余裕ができている。実際に林や地中からモンスターが姿を現す気配もないし案外このままあっさり帝都までついてしまうかも。


 そうやってやるべきことがはっきりすると物事の全体像が見えるようになる。


 いつから勇者は帝国からの補助金に執着するようになったのだろう。そもそも金勘定に興味がなく夜の街にも繰り出さない真面目なお方だったのに。


 そう言えば最近はパーティーに出入りしていた業者もとっかえひっかえでバトルマスターや僧侶なんかも求人をだしていた。他の魔導士ディーラーに訊ねてもこんなことになっているのはどうやらうちのパーティーだけらしく、他で似たような話は聞いたことがない。


 もしかしたら勇者様のパーティーで、何かが起こっている。いや何かが起こったあとだったかもしれない。




 

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