第4話

あれから4週間クラスで俺は孤立している。

しかし、異世界大冒険の時とか2か月3か月単位でダンジョンにこもって言葉すら通じないしおそってくるモンスターから比べれば、無視なんてぬるぬるい、暇なので勉強に精を出しているが、ここで一つ気が付いた。

以前よりも勉強した内容がスムーズに頭に入ってくる感じがする。

これも多分、勇者10%の御陰と思う。

今からテストが楽しみで仕方がない程だ。

今日も元気に紗姫の友人、町田何某なにがしが俺に悪態を吐きに近寄って来た。



「あんたもさ~そろそろ観念して紗姫に謝ったら?」

「え?謝る理由無いけど?」

「マジでムカつく!別れて直ぐに浮気とか最低男だね!!」

「町田さん、冤罪えんざいって言葉知ってる?」

「はぁ~?何言ってるのよ」

「もし仮にだよ、俺が浮気したんじゃなくて浮気されたから別れたとか思わない?」



流石に面倒臭くなってきたので「俺悪くないよ」ムーブを少し取ってみることとした。

チラリと紗姫を見ると肩が跳ねて目を泳がせている。



「町田ちゃん、そんな奴の戯言たわごとなんて聞かずに無視しとこうぜ」

「でも・・・分かった」



不味いとでも思ったのか裕斜が会話を遮った。

俺は裕斜に向かって┐(´д`)┌ヤレヤレポーズを取ってやった。



「ちっ、調子に乗るなよ唯のモブ忠野茂武が!!」



今日も彼は元気一杯のようである。





最近、昼休みは避難場所と言うか立寄り所と言うか行く場所が出来た。


【生徒会室】


表札の付いたドアを2回ノックし「どうぞ」の掛け声で「失礼します」と言いながらドアをくぐるとニコリと笑う生徒会長が「今日も待ってたよ」と声を掛けてくる。

最近俺のルーチンワークである。


生徒会長【ひじり 天音あまね

彼女は俺の後に召喚された元聖女様である。


10年間苦楽を共にした戦友ともである彼女とは戻ってきてからも仲良くして頂いており、針のむしろ状態の今の俺にとって一服の清涼剤的な役割を担っている。

まぁ虫達に無視されても痛くもかゆくもないが、何とも言えないストレスは溜まる。

そんな今の俺の心のオアシス的な彼女だが、異世界ではかなり面倒を見てやった。

「今度は私が助けてあげますよ(にやり)」と彼女は言いつつ生徒会の仕事を割振ってくる。

昼休みは抵抗空しく弁当食いつつ手伝っているのが現状だ。


★~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~★


私はひじり天音あまね、生徒会長をしている。

神に依頼され異世界へと魔王討伐へとやってきた。

既に先行して勇者が10年前から魔王討伐を行っているとの話だがおかしい、平均5~8年で討伐できるはずが既に10年経過している。

神の予想よりも魔王が強かったのだろうか?

勇者が来るのを待つ間に情報を仕入れようと召喚された神殿、通称、召喚神殿と言う名前のまんまの機能のRPG的に言うところの始まりの地に居る。

管理している神官達に勇者の現状を聞くが濁されて教えてくれない。

そうこうしている間に勇者が来たとの知らせを受けた。



「いや~待たせてごめんね~ダンジョン籠ってて中々来れなくってさ~遅れちゃった(๑´ڤ`๑)テヘ♡テヘペロ

「あなたが勇者なんですよね」

「一応勇者やってます。忠野ただの茂武しげたけです。」

「私はひじり天音あまねです。よろしく」

「あ~どこかで見たと思ったら会長さん?10年前だから少し朧気おぼろげだわ~」



10年の月日を感じさせる。

彼は20半ばの年齢に達しており、大人で精悍せいかんな顔つきで戦闘を生業なりわいとしているからだろうか言動は軽いが、スキの無い所作をしている。

『カッコいい、私のドストライクだ!!』心で私は叫んだ。

学校で見かけた彼はそこまで好みでは無かったが今の彼を見て私は顔が赤くなっていくのを感じた。

異世界だからだろうか、それとも彼が無精ぶしょうだからだろうか、ひげが生えているがそれもまた彼のワイルドさをかもし出している様で私の心臓はキュンとしてしまった。



「どうした~顔赤いぞ~」

「な・な・何でもありまちぇん(;゚Д゚)

「かんだな」

「かんでません!!(//△//)顔真っ赤っか・・・それより、状況を教えてください」

「状況?」

「今、魔王討伐は何処まで進んでますか?」

「あ~居たね~そんな存在・・・冒険あそび忙しくて基本無視して忘れてたたわ」

「悪びれも無く目的忘れてませんか?」

「傷心旅行!!ついでに魔王討伐?」

「メインが傷心旅行って何ですか!!」



その後、そのことを詳しく聞き心の中でガッポーズをした。

彼は戻ってから別れるのは確定と言っているので、元の世界に戻ってからフリーとなるのだ。

とりあえず心の中で神に感謝を捧げておいた。

早速、私は『ラブラブ彼女に成るぞ計画』を脳内で素早く練り上げた。

ネーミングセンスが壊滅かいめつ的だなど生徒会メンバーに言われるがそんな事は無いはずだ。

素晴らしい作戦名である。

先ずは第一ミッションを発動した。



「私の事は天音あまねと呼んでください。茂武しげたけと私は呼びますね(ニコッ)」

「え?ひじり生徒会長・・・下の名前呼びとか中学生にハードル高くない?」

戦友ともになるのですから当たり前ですよ(ニコッ)」

「じゃあ名字で良いじゃん(〃ノω)σモジモジ|」

「あなた今何歳ですか!!」

「15歳と異世界で10年だから今は25歳だな」

「そんな立派な大人が何故モジモジして「名字で良いじゃん」とか言っているんですか。」

「分りました、下の名前で呼ばせて頂きます」

「何故敬語ですか!!同じ中学生ではないですか、敬語は不要です!!」

「ラージャ(`Д´)ゞ敬礼

「よろしい!!」

「では茂武、私の名前を読んでみてください」

「天音・・・さん・・・」

「さん付け不要(ビシッ)あ・ま・ね です。はい、Repeat after me.私の後に繰り返して

天音あまね(〃ノω)σモジモジ|」

Excellent!!すばらしいこれからよろしくね。し・げ・た・け」

「おう、よろしく・・・(睨まれる)・・・天音」

「はい、よく出来ました!!(ニコッ)」



第一ミッションクリアー後に詳しく状況を聞くと、魔王の討伐が遅れている理由を知り神官達が話をにごしたり訳が分かった。

簡単に言えば、倒せても冒険が楽しくて倒しに行っていない勇者と魔王出現期間はモンスターが増えるがそれにともないモンスター素材と言う資源が増えるので権力者は何時でも倒せるのなら利益を確保したいのだ。

そんな色々な思惑が絡み合い魔王は生かされていたのだ。



「とりあえずは、格上げだな」

「格とは何ですか?」

「天音はRPGとかゲームしたことある?」

「ありますよ」

「まぁ簡単に言うとレベル上げね」

「ああ」

「格を上げるとそれに応じて各種能力が上がる。」

「ゲーム的にはステイタスってことよね?」

「お!呑み込みが良いね。ステイタスオープンって言ってみて」

「それ、異世界来たら一度やってみたいことよね!!ワクワクしますね、自分の能力の数値化って。ステイタスオープン!!








「何も起きないよ・・・」

「そんな便利なもんは無い!!俺がやって出来なかったから同じ経験をして黒歴史を刻んでもらったかけだ!!(`Д´)ゞビシッ


彼には鉄拳制裁をしておいた。

その後、奈落と呼ばれる最難関ダンジョンに放り込まれ1年ほど2人で彼と共に過ごした。

あまりの鬼畜仕様のダンジョンだったが、モンスターハウス的な場所へ飛び込み弱音を上げる私に「あきらめたらそこで終わりですよ」と言いながら、私にも大量のモンスターの殲滅せんめつすることを強要する彼は真の鬼だった。


★~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~★



「茂武そろそろ反撃してもいいんじゃない?」


天音は帰って来てから直ぐに俺へコンタクトを取ってきて具体的に如何するのか聞いてきた。

その時俺は既に興味のない2人に何かしようと考えていなかったので、関係性を断つことだけを考えている旨を述べていた。

ただし、向こうが仕掛けてくれば別の話である。



「そうだな~先ずは手札を少し切るか?」



俺はスマホを操作して数枚の画像をある掲示板に投下した。



★~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~★

誤字修正

「え?【誤る】理由無いけど?」→【謝る】

名前のまんまの機能の【RPR】的に言うところの始まりの地に居る。→【RPG】

「Excellent!!ころからよろしくね。【し・げ・あ・き】」→【し・げ・た・け】

「そんな便利なもんは無い!!俺がやって出来なかったから同じ経験をして黒歴史を刻んでもらった【かけだ】!!(ビシッ)」→【だけだ】

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