第2話

教室に行くとまだHRは始まっていないようで、仲の良い友達同士で集まり他愛たあいもない話に興じるクラスメイト達の姿があった。

席に座ると直ぐに幼馴染の元恋人が近寄って来た。

元と言ってるがまだ別れていないので二股掛けてる恋人かNTRた恋人と言うのが正解かもしれないが俺の中では元恋人である。


茂武しげたけ遅かったね。」

「そうか~?HRに間に合ってるし問題無いだろ?」

「そうだけど・・・なんか今日は雰囲気も違うような気がする」

「変わらんだろ」

「う~ん、なんか昨日までと何か分からないけど大分違う様な気がするけど・・・」

「気のせいだろ、俺は何時もと同じナイスガイだぜ!!」

「そうだよね~気のせいかも」


多分は勇者10%の魅力的な何かだろう、さっきからクラスの他の女子もこちらをチラ見している。

それと、20年間の冒険で貫禄的なものがにじみ出ているのか?

悪いことではないだろうからとりあえずは様子見でいよう。


「おは~モブ茂武、今日も人生謳歌じんせいおうかしてるか!!」

「おう、おはよう」


出たな元大親友と言う名の間男のくそ野郎め。

二人に対峙しても嫌悪感はあるが、G虫と同レベルの嫌悪感である。

それだけ興味が無いのだろう。

好きの反対は無関心というが言い得ていると今なら思える。

Gが嫌いだからと言って四六時中Gの事を考えているかと言えばそうではない。

むしろ見れば嫌悪するが、見ていないのに考えることもない。

俺にとってのこの二人はそんなレベルである。

あ~そう言えば、忠野茂武ただのもぶと言い始め、モブと言うあだ名を付けたのは元大親友だったな。

元から見下していたのだろうな~今ならそう感じる。



「それで、何か用か?」

「え?・・・特に用事は無いが・・・」

「そうか、そうか、俺も色々と忙しくてな用が無いのなら俺のことは放っておいてくれ」

「機嫌悪そうだな・・・分ったよ、OKだ」



タカタカタカ・・・間男の裕斜ゆうたは立ち去った。

NTR幼馴染の紗姫さきが何か話したそうにこちらを見ている。



「あ~忘れない内に紗姫さきに言う事あったんだった。放課後で良いから時間をくれ、少し話したいことがある」

「うん・・・分かった・・・今日は機嫌悪そうだしHRももう直ぐだから席に戻るね」

「おう、それが良いと思うぞ」



タカタカタカ・・・NTR幼馴染の紗姫さきは逃げ出した。








放課後


紗姫さき、何処か人の居ないところで話したいが、屋上で良いか?」

「いいよ、行こうか」

「おう行こう」



二人とも無言で屋上へ移動し二人向き合って対峙している。



「それで、話したいことって何?」

「別れよう!!」



紗姫さきがフリーズしている。

凍結魔法とか使っていないが大丈夫かこいつ




「え?何?如何いうこと?」

恋人関係解消別れるってこと、理解できたか?」




混乱後またフリーズ

遅延魔法ちえんまほうでも掛ったのだろう。




「何で?」

「理由か・・・お前に好意も興味が無くなった。これじゃ駄目か?」

「え?な・・・え?好意も興味も無くなった?」

「そうだ」

「何で行き成り?」

「そうだな~1つ正直に答えてくれたら別れるのは考える」

「なに・・・かな?」

「俺に何か隠しごとないか?」

「ないよ・・そんなの・・・ない!!」

「そうか、じゃあいいや、別れよう」

「え?答えたら別れないって・・・」

「いやいや、正直に答えてくれたら別れるのは考えると言っただろ。正直でもないし、考えても結論は変わらん。じゃあな。」


俺は呆然ぼうぜんと立ち尽くす紗姫さきをその場に残し帰途きとに就いた。


★~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~★


何が起こったのだろう。

茂武しげたけが別れを告げて来た。

「お前に好意も興味が無くなった」って言われた。

あんな冷たい目の彼を私は知らない。

「俺に何か隠しごとないか?」と尋ねられた。

一瞬心臓が跳ねた驚いたが冷静を装い「ないよ」と答えた。

裕斜ゆうた君との事は茂武には知られていないはずだ・・・でも、朝の茂武しげたけの様子から知っている可能性は高い、だから別れを告げていたのだろう。

それ以外に思い当たる事は無いからだけど・・・

カバンからスマホを取り出し裕斜ゆうた君へとメッセージを送った。

茂武しげたけに私たちの事知られているかもしれない」と・・・


★~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~★


は~スッキリした。

授業中の尿意を我慢していて休み時間開始と共にトイレに駆け込み解放した瞬間位スッキリした。

「ざまぁするか?」って聞かれたら朝の段階までならYesだろうが20年の異世界大冒険でどうでもよくなったので今はNoである。

好意も興味も無いのは本音だし、復讐ふくしゅう?その労力が勿体ない。

別れてしまえば俺の居ないところであいつ等が腰をぶつけ合おうが何を何しようが関係ない話だ。

家が隣だし、クラスも同じなので、視界に入るのはもう諦めたが、関わりを断つことは必要不可欠だった。

今は無関心であっても流石に裏切りを許せるほど俺は懐は深くない、どちらかと言えば狭いだろう。

神様からの有難いお守り《証拠》があるので、向こうがこちらに仕掛けてこない事を祈るばかりである。

二人の為にも【神】と名乗った何かへ祈って感謝しておこう。

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