ジュサの半生

「ノール」


 後ろから声をかけられた。

 馬車が出て行くのを、他の子供達も見送っていた。今回は、ただの人の出入りではなく、別れを伴うものだ。もちろん、彼ら年長組の子供達が売れるとは限らないのだが、それでも、収容所内には、どこか湿っぽい空気が漂う。

 俺はゆっくりと振り向いた。声をかけてきたのは、ジュサだった。


「行きましたね」

「行っちまったな」


 俺達は、閉じられた扉を見つめていた。

 今日、出かけていった子供達は、二度と戻ってこないかもしれない。そうなれば、もう会うこともないだろう。二度と会えないということは、死んだも同然だ。前世の日本で、それを自覚している人がどれだけいただろうか? こちらの世界には、電話もなければインターネットも存在しない。別離の重さが違うはずもないのだが、こちらの人達は、より深く実感しているように見える。


「まあ、売れ残るかもしれませんけどね」

「ははっ」


 ジュサは、寂しげな笑みを浮かべた。


「そいつは、喜んでいいのかどうか、迷うな」

「やっぱり複雑な気持ちになるものですか?」

「そりゃそうさ」


 ジュサは近くの椅子に腰を下ろした。


「俺だって普通に人の子だからな。こうやって、顔つき合わせてたガキ共が、いきなりいなくなっちまうんだ。正直、好きな仕事とはいえねぇな」


 テーブルに頬杖をつきながら、彼は率直に語った。


「でも、奴隷商人の手伝いをしているのは、自分で選んだからではないんですか?」

「そいつはな……怪我して冒険者をやめてから、俺を引き取ってくれたのが、ミルークの旦那だったからだな」


 どうせこの後も暇だ。俺も椅子を引き寄せて、その上に座った。


「そういえばさっき、コヴォルに言ってましたね。トパーズまでいったって」

「ああ、あれか」


 ジュサは苦笑しながら、説明した。


「ギリギリ許される嘘かと思ったんだ。上級冒険者になるための仕事そのものには成功したわけだしな」

「嘘をついた理由は……聞くまでもないでしょうけど」

「お前ならわかるだろ? トパーズまでいける冒険者なんて、そんなに多くない……まあ、思い出作りだな。一流の冒険者に剣を教えてもらう。ガキの見る夢をかなえてやりたくなったのさ」


 コヴォルも、そこまで馬鹿じゃない。というか、気は短いし、物覚えも悪いし、計算もできないのだが、人の心や物の道理がわからない子供ではない。

 これから、貴族の家に買われていけば、騎士になるなんて夢は、きっと木っ端微塵に打ち砕かれる。でも、もし自分にも機会があったなら。騎士とまではいかずとも、せめて冒険者とか、戦士とか、そういう夢に近い場所に立てたとしたら。ほんの入り口だけでも、目にしておきたかったのだ。

 となれば、その手合わせの相手は、強ければ強いほどいい。だからジュサは、ちょっとした嘘を口にしたのだ。


「そういえば、まだ詳しく聞いたことがなかったですね。冒険者だった頃のお話ですが」

「ああ、そういやそうだな」


 ジュサは、自分の左手を見つめながら、話し始めた。


「俺も普通の農民の子供だった。でも、戦士に憧れた。コヴォルと同じだな」


 ジュサ・トリコロマが故郷の村を飛び出したのは、彼が十三歳の頃だ。それまではずっと農民の息子として、父の仕事を手伝って暮らしていた。だが、ちょっとしたきっかけで、家族と仲違いしてしまう。それで彼は決心してしまった。村に立ち寄った商人の見習いという形で、外の世界に踏み出したのだ。

 行商人というのは、旅をする上で必要なことならば、何でもしなければならない。キャンプを張り、食事を用意し、そして盗賊や野生動物から身を守る。ほどなく、ジュサも剣を持たされた。当時の彼には、それが嬉しくてならなかった。

 そうして三年が過ぎた頃、ジュサはそろそろ、また我慢の限界にきた。雇い主の行商人には、さほどの才覚がなかった。それで商売がうまくいかず、その分、ジュサやその他の見習いに払う給金を減らすようになった。

 上前をハネられ続けるのも面白くない、ということで、ジュサは少し早めとは知りつつも、独立を宣言した。そうしてそのまま、冒険者ギルドに立ち寄り、登録を済ませたのだ。

 はじめのうち、ジュサは貧乏に苦しんだ。とにかく、稼げる仕事がない。それも当然で、経験の浅い、信用も実績もない若者に、期待する依頼人などいないのだ。

 ではまったく仕事がないかというと、そうでもなかったが、それは冒険者というより、傭兵の仕事だった。それも、練度の低い若年兵を安く雇って、どんどん死なせるようなものだったのだ。それに飛びついたジュサは、サハリア南部の砂漠地帯を中心に、およそ三年間に渡って、死と隣り合わせの日々を送った。

 だが、彼はそこを切り抜けた。


「普通なら、修羅場くぐって、強くなったとかいうところなんだろうな。でも、俺は、限界がわかっちまった」


 砂漠の戦場は、過酷だった。サハリアの部族間抗争。有力な豪族同士が、頻繁に争いを繰り返しており、ジュサは何度となく、激戦の中に放り込まれた。そこでは、彼より優れた剣技の持ち主など、ありふれていた。ジュサは、負けた。それも何度も。

 だが、ジュサの最大の武器は、剣などではなかった。無尽蔵のスタミナと、生き抜く意志がそれだったのだ。砂漠の戦場で敵になったのは、兵士より、激変する自然環境だった。昼は灼熱、夜は極寒。時折吹き荒れる砂嵐は視界を塗り潰す。喉の渇きは、いつも収まることがなかった。短期間、南方大陸に渡った際には、仲間達がどんどん疫病に倒れていくのを目の当たりにもした。

 そんな中、ジュサは、負けても負けても、とにかく逃げ延びた。そしてついに、雇い主が敵の氏族と和解する日まで、生き切った。

 ある程度まとまった金を手に、ジュサはフォレスティアに戻った。


「この時、迷ったんだよなぁ……そのまま冒険者を続けるか、いっそ商人になるか」


 ジュサには、それなりの元手があった。加えて、フォレスティアでの商人としての経験、そして三年間にわたる傭兵生活で身につけたサハリアについての知識。だが、結局は、夢を捨て切れなかった。


「わかってたのにな。自分じゃ一流にはなれないって」


 それでも未練があったのだ。この時点で、まだ彼は、一度も迷宮に挑んだこともなかった。もっと冒険者らしいことをしてみたかったのだ。それに、まさか騎士になれるとは思っていなかったが、彼にはサハリアでの経験があったから、国軍も自分に値打ちを見出してくれるのではないかと考えていた。

 結局、彼は冒険者と行商人を兼業するようになった。二十歳からの数年間は、まさにジュサの人生の黄金時代だった。既に剣技も熟練者の域にあり、商人としての知識や経験も、なかなかのものになった。一時期は金回りもよく、派手に遊んだこともあったのだとか。

 だが、どうしても越えられない壁が、いつしか彼を苦しめるようになった。


「フォレスティアの正規兵になる試験に、三回連続で落ちてから、荒れちまってなぁ」


 これは半ば不運で、半ば自業自得だった。彼が合格できなかった理由は、技量ではなかった。

 一つは顔で、彼は見ての通り、潰れたカエルのような、なんとも見栄えのしない造形をしている。入団を志望した近衛兵団、そして海竜兵団は、何れも国軍の花形で、彼のような外見の、それも平民出身という出自の人間は、あまり好まれなかった。

 もう一つの理由は、年齢だ。普通、国軍の正規兵になるには、二十歳前の入団が一般的だ。その後、一般兵としての定年は二十年、指揮官ともなれば二十五年から三十年の勤続年数がある。その後は、国家から土地の貸与などの補償を受けて、老後を過ごすことになるのだが……

 ジュサが重い腰を上げたのは、二十七歳の時点だった。これも無理はない。冒険者と商人を兼業する彼のスタイルは、それなりに稼げた。名誉では正規兵に遠く及ばないが、収入だけなら、ずっと勝っていた。おまけに、軍隊では生活態度が厳しく問われるが、自由な冒険者の立場であれば、それも関係ない。

 国軍は、正規兵としての入隊後、戦死などやむをえない事情のある場合を除き、二十年は現役として活躍することを求める。ジュサの場合、退役できる年齢が四十七歳と、少し高すぎた。あとは、長年の自由人としての生活習慣が、見た目にも滲んでいたのだろう。

 それで彼は、最終的に、この道を諦めた。


「どうせなら、一流の冒険者になってやろうと思い直してな」


 そこから彼は、努力した。戦って、戦って、戦い抜いた。

 冒険者としてのランクも、アクアマリンからアメジスト、そしてついにジェードにまで登り詰めた。ここから先は、上級冒険者の領域だ。

 彼は、同じ目標を持つ仲間を集めた。寝食を共にして、一緒に危険を乗り越え、いつしか彼らとは友人になった。

 しかも、それだけではなかった。


「こんな俺が、って思うだろ? 顔だけは自信がなかったんだ。なのに……あれは奇跡だったな」


 同じパーティーに属する女性の一人が、あろうことか、ジュサを見初めた。生まれて初めて向けられる好意に、ジュサは有頂天になった。

 女を抱いた経験がなかったわけではない。だがそれは、戦場で稼ぐ売春婦達だった。一時期などは、あまりに性欲に悩まされるので、本気でそのためだけに奴隷を購入しようかと考えるほどだったという。だが、そうしたところで、結局はむなしいだけだと、彼はよくわかっていた。

 それがどうしたことか、突然の奇跡が舞い降りたのだ。この時は、やっぱり国軍の兵士なんかにならなくてよかったと思ったらしい。近衛兵団の一員というブランドがあれば、人並みに結婚もできたかもしれないが、所詮それは、家と家との取引だ。だが、目の前の彼女は、損得抜きに、自分を見てくれている。こっちのほうが、ずっといいと思ったのだ。

 それだけに、彼は密かに、冒険を恐れるようになった。しかも、危険なのは彼自身だけではない。一緒に迷宮に潜る彼女にも、死の可能性があるのだ。

 だが、冒険者をやめよう、これからは商人として生きていこう、とは言い出せなかった。彼女とどこで、何のために出会ったか? ジュサは忘れなどしなかった。一緒に上級冒険者になるために、手を組んだのだ。臆病風に吹かれた自分を見せたら、去っていかれるに違いないと思った。


「俺が三十の時だな。ちょうどいい機会が巡ってきた」


 とある貴族が、領内の遺跡の調査を行った。事前調査では、たいした危険もないとされていた。それで、貴族の子息が調査隊の指揮をとることになった。襲爵のための点数稼ぎをさせるつもりもあったのだろう。

 だが、そこで彼らは行方不明になった。定時連絡もなく、追加で派遣した部隊からの音沙汰もない。しばらく後になって、ボロボロになった生存者が、正体不明の魔物の存在を口にした。

 状況の悪化に、貴族はなりふり構わず、冒険者ギルドに助力を求めた。あいにく、その支部の一流冒険者は、出払ってしまっていた。そこで依頼を引き受けたのが、ジュサのパーティーだった。


「この依頼で、貴族の息子を救出すれば、上級冒険者と認定すると、そう言われたんだ。まだあと一年くらいはかかるかと思っていたから、これはチャンスだった。俺達は喜び合ったよ。この仕事が終わったら、結婚しようってな」


 だが、そういう時に限って不運が舞い込んでくるものなのだ。


「現地に踏み込んでみて、あちこち歩き回ったが、どうってことない、普通の遺跡だった。二十人からの兵士が行方不明になるような、とんでもない化け物なんて、いやしなかったんだ。だが……遺跡の奥で、横穴が見つかった」


 この世界の迷宮の多くは、長い歴史を持っている。魔物が跋扈するような危険な迷宮は、どれも一千年以上も前のものだ。それもそのはず、迷宮とは、女神に敵対した各地の魔王が用意した場所。自分の配下の魔物を養うための施設だったのだから。規模は様々だが、中に潜む魔物の強さは、外の世界とは比べ物にならない。

 ジュサ達は、そんな危険な場所に踏み込んだ。とはいえ、今回の依頼は、魔物の討伐ではない。貴族の息子を見つけ、生死にかかわらず、連れ帰ればいい。迷宮だって、これが初めてではなかった。十分やれると判断したのだ。

 だが……


「見つけた貴族の息子は、怯えきってたよ。配下の兵士はほぼ全滅。どこでどんな死に方をしたのかなんて、誰も把握しちゃいなかった。俺達はとりあえず、そいつを立たせて、出口のほうに引っ張っていったんだ。それで、もう少しで帰れるってところだった」


 暗闇の中に輝く、赤い双眸。明らかに人より高い位置に輝くそれに気付いた時には、既に惨劇が始まっていた。

 爪で引き裂かれたのだろう。後ろのほうを歩いていた、貴族の護衛が、まず殺された。鉄の鎧もお構いなしだ。敵の姿が見えないのもあって、ジュサ達は恐慌状態に陥った。だが、モンスターの歩く速度もかなりのもので、断続的に後ろから悲鳴が響いた。

 それでも、遺跡の出口に近いところで、追跡が止んだように思われた。一安心して、そっと脱出しようとした瞬間、石造りの暗い廊下の向こう側に、そいつは姿を現した。


「よく見えなかったが、鳥みたいな……ああ、そういうんじゃない、こう、サハリアにいるダチョウみたいな奴が、こっちを見ていたんだ。もちろん、何倍もでかかったけどな」


 その魔獣は、ジュサ達に向かって突進した。外への通路は狭かった。一斉に出ようとして、彼らは詰まってしまった。そうこうするうちに、その魔物は肉薄してくる。

 そこで殿を務めたのが、ジュサの彼女だった。


「俺はやめろと叫んだんだ。だが、あいつは、いいから行って、としか言わなかった。俺は迷ったが、時間を無駄にはできないと考えた。まず貴族のガキを蹴り出し、全員を外に出した。その上で、あいつを助けに戻ったんだ。だが、その時にはもう……」


 さっきの場所に、人の気配はなかった。ただ、血に濡れた彼女の胸当てだけが転がっていた。

 だが、それを悲しんだり、憤ったりする余裕はなかった。


「そいつは、物陰に潜んでいやがった。俺が、彼女の残した装備を見て、そちらに注意を向けるのを知っていた。その場に彼女の死体はなかったが、だからこそ、俺は不安になった。そこを狙われたんだ」


 それでも間一髪、ジュサはギリギリのところで振り返ることができた。だが、魔物の爪は、ジュサが掲げた盾ごと、左腕を引き裂いた。

 残った右腕と剣だけで、ジュサはよく戦った。だが、明らかに相手は力強く、また素早かった。勝ち目がないと判断して、彼は逃げに転じた。状況判断こそ、彼の得意とするところだ。最初に浴びた一撃以外に傷を負うことなく、彼は無事、遺跡の外に脱出した。

 結果、依頼は達成できた。貴族の息子を、生きたまま、依頼主に引き渡せたのだ。だが、ジュサ達は大事な仲間を失った。

 目的を達成して、パーティーは解散となった。仲間のうち、何人かは、上級冒険者になり、トパーズの勲章を手にした。また何人かは、これをきっかけに、冒険者をやめた。ジュサは、どちらかというと、後者だった。


「……何も手につかなくてな」


 それから二年ほど、どこでどうしていたか、自分でもよく思い出せないという。その時期、ジュサはまさに抜け殻だった。酒に逃げたりもした。かと思えば、一日中、宿屋に引きこもって、ずっと寝て過ごした。そうして無為な日々を過ごすうち、資金も底をついていった。

 金がなくなってからは、浮浪者になり、乞食になった。さすがにこのままではまずい。その危機感を抱いたのは彼自身ではなく、周囲の乞食仲間だった。彼らに勧められて、ジュサは無気力ながらに、日雇い労働に出かけて、苦しいだけの無意味な日々をやり過ごした。

 剣士としてのジュサは、既にピークを過ぎていた。日々の不摂生のせいもあるが、何より左腕の負傷が大きかった。治療はしたものの、やはり完全には元通りにならなかった。日常生活には不自由しないまでも、以前のような、激しい戦いには、もう耐えられそうになかった。


 そんな時、およそ今から五年前、ジュサはミルークと再会した。十年以上前の、砂漠の戦いで、少しだけ面識があった。ミルークはジュサの話を聞き、よく考えた上で、自分の仕事を手伝うよう勧めたのだ。


「そういうわけだったんですか」

「ああ」


 つらい話だったろうに、ジュサはケロッとしていた。


「だから、安易に冒険者になりたいとか、兵士になりたいとか、俺としては、言って欲しくないな。砂漠の傭兵時代のことは、今思い出しても、地獄としか思えない。もう一回やれと言われたら……そうだな、今なら迷わず捕虜になる道を選びたくなるくらいだ」

「でも、コヴォルには」

「そりゃな。俺もあいつの気持ちがわかるからな……でも、俺の助言、聞いてただろ? 剣なんかいらない、体を鍛えろって。つまりはそういうことさ」


 戦士の道じゃなく、ただの力持ちの召使として生きればいい、と言っているのだ。やがては現実相手に妥協できるよう、ジュサはクッションを用意してやりたかったのだ。


「ま、つまんない話だったな」

「いえ、そんなことは」

「ノール」


 ジュサは椅子から立ち上がりながら言った。


「お前は、人並み以上の才覚があるから、あれもこれもやってみたくなるんだろう。だけどな、死んだらおしまいだ。それだけは覚えておけよ」


 それだけ言うと、ジュサは管理室に帰っていった。


 さて、一人残され、俺は彼の半生を心の中で再現する。だが、そうしたところで、今日のありあまる時間を潰しきれるわけでもない。

 今日は仕事がない。読書もいいが、この収容所内の本は、もう読みつくしてしまった。退屈を紛らわせるには……そうだ。久々に鳥になって、空を飛ぼう。今なら、同室のウィストもいない。

 それで俺は、自分の部屋に駆け込んだ。さあ、飛ぼう……と思って窓際を見た。

 窓は開け放たれていた。暗い石造りの部屋の中に、北側の窓の青空がくっきりと浮かび上がる。だが、その窓枠の下のほうに、見慣れないものがあった。


 木彫りの置物だ。鮮やかな彩色が施されている。花畑の上で楽しげに舞う小鳥の姿を、削りだしたものだ。

 俺は手にとって、じっと見た。これは誰が……?

 ウィストの私物だろうか? それはない。こんなわかりやすい忘れ物はしないだろう。なら、あいつなりのプレゼントのつもりだろうか? それもない。買ったとすれば、この前の外出の時だろう。だが、何かくれるにしても、ちゃんと手渡しする。第一、こういうものを贈る趣味はない。あいつは現実的だから、何かおいしい、甘いお菓子を持ち帰る。

 だが、俺が気になるのは、このデザインだ。鳥。そして、花。

 まさか、やはり、ドナは気付いていたのだろうか? だが、どうやって? いったい、どこまで知っている?


 俺は、内心の疑問を膨らませつつ、そっとそれを窓枠に戻した。

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