第22話 女子


 手を繋がれて歩いておるワシは何でこんな目にあっておるんじゃ?

 女子のリーダー格のヒスイ、運動神経のいいダイヤ、一際お嬢様なマリン、ちびっ子のトパの四人にどこかしら掴まれておる。

「なぁ、何でついてきたがるんじゃ?」

「一目惚れです」ヒスイ

「優しさに惚れたから」ダイヤ

「王子様に助けられたら」マリン

「うちがいっちゃん好き」トパ

「はぁ、ワシはまだ世帯を持つ気はさらさらないぞ?しかもトパは子供だろう?」

「トパは十八だ」

「嘘だろ?」

「お主らは?」

「私が二十歳、ダイヤも一緒」

「私は十六です」

「マリンが一番下なのか?しかもみんなワシより年下」

「ワシはは二十二になる」

「じゃあ旅を辞めて私達と一緒に暮らしましょう」

「ワシは安らぐ場所をみつけに旅を続けとるんじゃ」

「安らぐ場所は作るのではないですか?」

 マリンに痛いところをつかれる。

「それでもワシは旅をしたいんじゃ!」

「どこまでもついていきます」

「ヒスイとダイヤは冒険者か?」

「そうです。これでもBランクです」

「何で捕まった?」

「罠に嵌められて」

「そうか。他の二人は?」

「トパは冒険者Bランクで他の奴らに嵌められた」

「マリンは何でじゃ?」

「私は攫われたのです」

「冒険者なら旅はいいかもしれんがマリンはお嬢様だろ?帰らないといけないんじゃないのか?」

「はい!一度はご報告に行かねばなりませぬ」

「街はどこじゃ?」

「ちょうど次の街にある商会なのです」

「じゃあ、帰れるな」

「嫌です」

「ワシはまだ一人がええんじゃ」

「私はもう決めましたから!」

「私も」

「トパも妾でもいいぞ!」

「私もお願いします」

 なぜ急に四人も連れて行かねばならんのじゃ。また逃げるかのぅ。

「また逃げたら私は自死します」

「なんでじゃ?」

「好きな人に逃げられるのはもう嫌ですから」

 逃げられんじゃないか。

「私は意地でも追いかけますけどね!」

「トパも!」

「私もです」

 よく見ればみんな汚れて足が血豆でもできているのか歩き方が変じゃの?

「エリアヒール」

「回復魔法まで使えるのですか?」

「あとクリーン」

「きれいになった!」

「わかったから離せ、とりあえずは一緒に行く」

「「「「やった」」」」

「じゃが、ワシより好いた男がおれば」

「いません」

「いるわけないでしょ?」

「王子様はひとりなのですわ」

「トパはヤオキがいれば十分」

「はぁ、とりあえずはマリンからじゃの?父上を説得してからついてくるんじゃ!じゃなきゃだめじゃぞ?」

「わかりましたわ!」

 それからは女子三人よればかしましい。

「綺麗な銀髪ですわよね」

「ただの白髪じゃがのう」

「若いのに落ち着いてる」

「本当は100歳じゃ」

 などと喋りながら次の街が見えてきた。


 ようやく街に着いたから宿に泊まるがマリンは家に帰るんだぞ?

「はい!頑張ります」

 ようやく一人になれたな。

“コンコン”

「ヒスイです」

「入って良いぞ」

「はい!」

「すいませんでした」

 いきなり土下座から入ってきたぞ!

「な、なにがじゃ?」

「ヤオキ様のご意向を無視してついてきてしまい申し訳ありませんでした」

「あぁ。それについては諦めたからいいぞ」

「本当ですか!ならばぜひ」

「では、着いてきたくばついてくればいいが、ワシは何も変わらんし変わる気がせん」

「それは私達への気持ちもですか?」

「いや、それはもう情が移ってしまったからのぅ、どうしようもない」

「では!一緒にいていいんですね」

「好きにせい」

「はい!好きにします!」

 ヒスイは飛びついてきてクンクン匂いを嗅いでいる。

「はぁ匂いでもう」

「匂いフェチか!ヒスイ!一人にしてくれるか?」

「お相手なら」

「違うから風呂に入りたいだけじゃ」

「わ、わかりました。私も一緒に」

「だー!ワシも男じゃ避妊ができないならやりたくてもやれんのじゃ」

「避妊はクリーンでできますから」

「ヒスイ」

「あぁ、ヤオキ様」

「ヤオキ様が、はぁ!」


 やってしもおた。久しぶりすぎてハッスルしすぎたのじゃ。

「すー、すー、」

 眠るヒスイを置いてシャワーを浴びて湯に浸かる。


 婆さんすまんのう。


「昨日はヒスイだけだった!今日は私!」

「トパはその次!」

 順番も決まっておるのか。

 せめてマリンの父親はまともであってほしい。


 今日はギルドに更新と売却に来ておる。

 ワシはそのままAランクあとはみんな下がってCランクスタートじゃ。依頼をまともに受けなかったり失敗すると下がるのはしょうがない。捕まっていてもそうだな。

「いくらまで予算はありますか?」

「へ?」

「大量に売る予定なので聞いといた方がいいと思って」

「はぁ。でしたら五千万まででしたら」

「これくらいですかね」

 俺がカゴに山積みにすると受付嬢が急いでギルド長を呼んでくる。

「『黒の旅人』様ですねお待ちください!」


 王金貨五枚分を仕分けしてくれている。しかもほしい素材だけ厳選しているところが職人だなぁ。

 

 終わりましたこちらはお返しする分と王金貨五枚になります!またのお越しをお待ちしております!

「あ!これドラゴンの巣から持ってきたんだけど返してくれるかな?」

「あ、ああ。ありがとうございます。私の息子のも取り返していただき誠にありがとうございます」

 ギルド長の息子もドラゴン退治に行ったんだな。気のいいドラゴンなのに残酷だなぁ。


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