第14話 旅へ


「ではの!」

「むー、また旅しますからね!」

「機会があればじゃな!」

 アリアはライラに連れられて帰っていった。

「ワシはこれからまた北に向かうよ」

「何か用事さね」

「また戻るって言った街があるからのう、ここからの方が近いんじゃ」

「そうかい、それじゃあここでお別れさね」

 タバコを深く吸い込むメルルに挨拶をして船に乗り込む。

「達者でのう!」 

「元気にやんなよ」

 手を振って別れを告げると船は動き出すすぐにトップスピードになり遠くにメルルが見えた。

「さて、今回は獲物でも仕留めるかな!」

「は?お前はうちの客だろ?大人しくしとけ」

「あはは金は取らんよ」

「まじか?なら暴れてもかまわんよ」

 現金なやつじゃのぉ。

「船長左舷方向から海竜が近づいてきてます。

『チェインアロー』

 鎖の付いた矢の魔法だ。刺さって逃げられない海竜を釣り上げる?海竜はマグロの形をしていた。

 解体して船長に頼んで魚醤を持ってきてもらった?。食ってみると美味い!船長達も恐る恐る食って美味いと感激していた。

 これからは漁になるだろうな!

 流石に亀は撃退だけだったが結構な手傷を負わせたので少しは大人しくなるかな?

 後はどんちゃん騒ぎだ、海竜と呼ばれていたのは竜魚と呼ばれるようになって、俺に釣られ放題だ。

 船長は焼いて食うのが気に入ったのか焼いて食っている。他の船員たちも、解体して冷凍庫には竜魚がパンパンだ。

 四日の航海も何事もなく、いや、竜魚があったが、いつもより楽な航海だったらしい。

 久しぶりに魚が食えたのは何よりだった。

「おい!お前ならいつでも歓迎だぜ」

「気が向いたらまたくるからな!」

「あぁ。待ってるよ」

 がっしり握手を交わして街を出る。

 街を転々と北に向かうと、木札をもらった街に着いた。

 木札を見せると青い顔をした兵士からここの領主が、木札のやつが取りに来ないならそいつが悪いと報奨金など全部持って行ったらしい。

 兵士に怒ってもしょうがないので領主の館まで来た。

「お会いになるそうです」

 金貨が一枚投げられた。

「お主の働きは素晴らしい者じゃったが取りに来ないお前が悪い!これは手間賃じゃ、下がるがいい」

「ほう。命が惜しくないと見えるが?」

「な、お、脅しとは卑怯な真似をするな!これは正当な報酬をとりに来なかった「取りに来ただろ?鐚一文負けないからそのつもりでもう一回言うてみろ」」

 自分の命が惜しいのか金貨12000枚持ってきおった。

「これがその時の明細でございます」

「なっ!」

「3000枚足らんではないか?」

「い、いまはない!3000枚くらい負けんか」

「そうは行かぬ!3000枚用意しろ!」

「うぬぬっ」

「それともワシを殺すか?この様な手口を使う悪党はガルシアも気に食わんじゃろうな」

「…が。ガルシアさま?」

「ここの盗賊団を潰したのは俺とアリア・ガルシアだ。それを無碍にするとはガルシアも怒るだろう」

「す、すぐ3000枚用意しろ!」

「はい!」

 この執事が出来るやつだな。ガルシアにそう伝えておくか。

 金貨1万5千枚確かに受け取った。

 それじゃあな、と外に出ると大量の兵士が出てきて敬礼しておった。

 やはり、執事と取り替えだな。 

 宿できくとこの街の名はウィルソンだった。

 また街を転々とし北の城塞都市ガルシアに戻ってきた。

 まずギルドに行くと長いことギルドに来ていなかったため更新を済ませるとAランクに上がっておった、いいことじゃ。

 そして城の方に向かう。

「ヤオキ!」

「アリアにライラも久しぶりじゃな」

「また旅の話を聞かせて?」

「おう。まずは船でのぅ…」


「それでは、そのウィルソンの領主は首じゃな。して執事がまともだったと」

「まあな、ちゃんとしておったのは領主以外全員だったのが良かった点じゃ。

 で、これがその明細とアリアの取り分じゃ。金貨7500枚がアリアの取り分じゃて」

「えっ!こんなに?」

「アリアが助けたいと思ったからワシも動いたんじゃ平等に折半じゃて」

「あ、ありがとう」

「どういたしましてじゃ」

「それで次はどうするんだ?」

中央を突っ切って南の町に戻ろうかと思うとるが、さてどうなるやら?」

「中央には大きなダンジョンがあるわよ、いってみたらいいんじゃないか?」

「ほう。それはいい情報をもらったのう」

「わたしも「アリアはまだ修行が足りないでしょ」はい」 

「いつか一緒に行けたらいいのう」

「はい!」

「さてこんなところかのぉ、ライラからは何があるか?」

「いや。何もないとは言えないが、まぁ、用心することだね」

「分かった」

 城を出るともうすぐ夕方じゃったので宿に泊まる。

 風呂に入ってさっぱりしたところで晩飯を食べゆっくり休んだ。


 次の日は快晴でいい旅日和じゃがつけられておるのがわかる、

「何様じゃ?」

「黒の旅人と思うが違うか?」

「はて?そんなことも言われた覚えがあるなぁ」

「ならば勝負せい!」

「なぜじゃ?自分より弱いやつと勝負してどうする?」

「な、なにを!この野郎がふ!」

「だから言うておろう、自分より弱いものと勝負してなんになると」

「やぁ!」

「グハッ」

「一人は残れよ、身包み剥がされるぞ」

「グッ!」

「ガハッ」

「最後の一人はちゃんと残しておいてやる。ちゃんと皆を守れよ?」

「は、はい」


 武者修行というやつか、この世界にも強さを求めるものがおるんじゃな。それよりワシは土いじりがしたいのう。

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