第7話 ノウレッジ


 ダンジョンは意外と広く浅いそうだからか冒険者が多い。

“キンッ”

「なんじゃ!」

「有り金全部わたガフッ」

「なんじゃ、小童か、びっくりさせおって」

 こういう輩は多いみたいじゃから放っておこう。

 まぁ。身包み剥がされないようにな!

 このダンジョンとやらは下に行くほど強い魔物が出てくるしドロップといって、倒したら品物になって消えてしまう。スライムならスライムゼリーの様にな。不思議なとこじゃ。

 ワシはどんどん下に降りて行く。

 敵は強くなるが倒せないほどではないので気にしておらん。気になるのはお宝じゃ。

 この右手の呪いを解いてくれるかのぉ?

「ふあぁぁ」

 オーガが迫ってくるが遅すぎて欠伸が出てしもたワイ。ここらでちょっと休むかのう。

『サンクチュアリ』

 これで魔物も寄ってこんじゃろ。

 買い溜めしてた飯を食らって少し眠る。

 目が覚めると、

「やっぱヤオキじゃん」

「す、スズか!びっくりしたぞい」

 猫の獣人の冒険者のスズが目の前でワシをみていた。

「みんな、ヤオキがいるよ?」

「お。まじか」

 犬の獣人の冒険者のケンに、

「あー、ヤオキくんおっきくなってる」

 兎の獣人の冒険者のアカメ。

「おっきくもなるじゃろ、もう十五じゃぞ」

 頭を撫でてくるアカメ。

「三人ともやっぱりお宝目当てか?」

「うん!まぁ。まだまだだけどね」

「二年潜ってここまでだからな」

「二年?あぁ。出たり入ったりして二年か」

 そりゃそうじゃいくらなんでも二年もずっと潜るはずがないんじゃからのう。


「そりゃそうとここはなんだ?魔物が来ないとこなんてあるのか?」

「これは魔法で結界を作っておったのじゃ、ちょっと休憩がてらにの」

「へぇ、俺たちも使って良いか?」

「おう。ゆっくりしてけ」

 ケンは自分の剣を手入れしているし、俺は何故かスズとアカメにおもちゃにされとる。

「ちょっとみない間にイケメンになったねぇ!」

「そ、そうかのぉ」

「その分可愛くなくなった」

 スズがそう言う。が、可愛いは褒め言葉じゃないぞ? 

「ワシはかっこよくなりたいんじゃ」

「だめー!可愛いままでいてよ!」

「嫌じゃねー」


「そろそろ行こう!」

「「うん」」

「じゃあの!」

「あぁ、死ぬんじゃないぞ?」

「お互いにのぅ」


 ワシは右にスズ達は真っ直ぐ向かっていった。がどうやらワシの方があっとったみたいじゃ。

 下に続く階段を降りてまた探索を始める。こういった迷路みたいなのは昔っから得意ではないが、何故か当たりを引いている様でどんどん下に下がって行く。


 ドロップ品は一応アイテムボックスに入れてある。しかし最下層というのは深いもんじゃのう。もう二回も休憩しとるのに。


 五回目の休憩あとにようやく最下層らしき門が聳えておった。

「ここじゃの?さてやるか」

 扉を開けるとドラゴンがおるではないか?

『ん?お主一人でこんなところまできたのか?』

「ワシ一人じゃが」

『何とも豪気な男だな。してここに何の様じゃ?」

「あれ?最下層をクリアしたら願いを叶えてくれると言うのは嘘かの?」

『ワシにできる事ならしてやるがのう』

「じゃあ。これの解呪をお願いしたい」

『うーむ。これはまた難解な者に手を出しおったのぉ』

「そんなにか?解呪は出来なんだか」

『これを持って行け。その呪術と同期させたから何かあれば光るはずじゃ』

 赤いネックレスをもらった。

『それとこれもやろう』

「ドラゴンの鱗か?」

『武器に練り込めば強くて良い武器になるじゃろう』

 そうか、ここまでで鉄の剣もボロボロだしなぁ。

「ありがとう。そんじゃあの!」

『これ、こっちからでらんか』

「ん近道でもあるのか?」

『ダンジョンにはダンジョンコアというものがあってそれにさわれば制覇達成となる。そうするとそれにさわれば帰れるのだ』

「そっか!ありがとうなのじゃ」

『それではの強き子よ』

 コアに触ると光り輝き外に居た。


「へぇこうなるのか」

 さて、少しは前に進んだみたいだ。

 今日はまだ雨季かよ。雨の降るところを通りながらギルドに行って濡れた体にクリーンをかけると受付でドロップの買取をお願いしたら解体場での買取をお願いされたので解体場へ行く。

 解体場は綺麗でドロップ日ばかりを買い取っていることがわかる。

「これ買い取ってもらえますか?」

「はいはいどうぞ」

 アイテムボックスから大量にドロップ品を出すと一旦止められて大勢で仕分けをし出したまだあるんだがのう。

「しめて金貨237枚と銀貨65枚なりますが、まだおありでしょうか?」

「まだあるぞ?だしていいか?」

「ちょっとお待ちを」

 片付けてから、

「どうぞというのでまた大量に出すと仕分けが始められた」

 こりゃ貯めると厄介じゃのう。

「しめて「まだあるぞ」わかりました」

 ようやく全部出し切って、金貨1037枚と銀貨73枚になった。

「ありがとうのう」

「こ、こちらこそ」

 疲れ切った男達を後にして宿屋に戻る。

 はぁ、ワシも疲れたのう。

 この日はよく眠れた。


 翌朝は雨季が上がったのか、青空が顔を出しておる。

 よし、東に行くとするか。

 スズ達に最後会いたかったがまぁまた会えるでのう。


 重い腰を上げて東に向かう。

 またちまちまと村や街に寄りながら東に向かう事二ヶ月近くかかったが。ようやく知識の街ノウレッジに入ることができた。

 じゃがどうしようかと思っておったら兵士が来て連れていかれる?ワシ悪い事何もしてないけど?

「連れてきました」

「ありがとう」

 青いマント姿の女性だ。

「誰じゃ?」

「私は時の魔女メルルと同じ様な者だ」

「おぉ、それはありがたい!でな」

「その呪いはやはり作ったものを殺める事でしか解呪出来ない」

「なんじゃ、そうなのか」

「だがお前は頭がいいな、まずはこの街に来ることを選んだ」

「だからすぐにここに呼んだ?」

「そうだ。時間の無駄だからな」

「分かったのじゃ。次は北に向かうのぅ」

「…なぜだ?」

「アリアを連れ去ったのが北にかかわるやつなら探せばいるかもしれないしな」

「正解だ。今は中央と北が戦争をしている。その関係だろうな」

「おぉ。分かった!ありがとうのぅ」


 そこで、青の魔女と別れ北に向かう。たびとはこうも辛いものなのじゃな。じゃが面白いのう、いろんな奴がおるもんじゃて。


 北に向かうには二ルートある。

 森を突っ切るか街道とだ。

 やはり街道を通って行くかのぉ。

 

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