TSハーフエルフ(仮)

あれっくま

第1話


「…何鼻の下伸ばしてんだ。」

隣に立つスレンダーな猫獣人が、小ぶりながら形のいい胸を惜しげもなく晒しながら、

冷ややかな視線と共に声をかけてきた。

「…お前は乳ならなんでもいいのか。」

「応、おっぱいに貴賎なし、と言うしな!」

「…元男の乳でもか。」

「当然!!」


そう、この獣人、スカウト(偵察兵)のオーリーは元々男…オスである。

男だった時は、全身に毛の生えた細身の人間の身体に、精悍な顔つきの猫(100%猫)の頭が乗ってる様な風体だったが、

今は人間女性に猫耳と尻尾を生やして、毛皮の手袋とブーツを履かせたような姿になっている。

肝心の部分は体毛が薄く、ピンク色の部分が少し見えている。上の方なんてつるっつるの素肌そのままである。

…ちょっとは隠せ。……いや、やっぱ隠さなくていい。


「…女性の気持ちが少し理解できるな。毛皮が無いのは落ち着かん…」

そう言って少し顔を赤くしながら片手で胸を隠す姿がうひょぉぉぉぉぉぉ

…という俺も今は女の姿(の筈)なんだが。


鏡が無いので判らんが、短い赤毛はそのまま。

戦士として鍛え上げた身体は腰が大きく括れ、尻の大きさを際立たせている。

我ながら、あんまり柔らかそうな尻ではない。

…胸は結構誇っていい大きさだと思う。…おっぱいよりも、その下の筋肉のほうが多分大きいだろうが。

それでも余裕で挟めるだろうし(何が。

あぁ、言い忘れてた。俺はライル。傭兵だ。


「あ、あのぉ……」

向こうで何やら四苦八苦しているのが、この『奇跡』最大の功労者、

精霊術師にして伝承学者、神官の資格もあるハーフエルフ、セシルだ。

彼が文献を解読し、それが『性転換の秘薬』のレシピである事を解明した。

調合に必要な薬品の入手ができた(彼と親交のある小人族の集落の特産品だった)のも、

高度な設備や触媒の使用許可が出た(錬金術ギルド幹部が学友だった)のも彼が居たからだ。

また、PT最年長でもあるんだが、見た目がどう見ても10代の少女にしか見えない、というのが

長所でもあり欠点でもある。(本人はもう、女と間違われるのは諦めているらしい)


今回の作戦でもセシルだけは薬を使わずに女装するだけでいいんじゃないか、という話だったんだが、

変装術に長けた熟練偵察兵も帰還していない所から、魔法的な何かで男女を識別している可能性がある為、

全員性転換薬を使う事になった。


あぁ、作戦の話をしてなかったな。

錬金術ギルドで独占販売している性転換薬の『粗悪品』が出回っているんだそうだ。

性転換薬の製法はギルドが管理し、それを王国が保護しているのでギルドに無断で製薬・販売する事は許されない。

で、王国の護法隊が調査した結果、その製造・販売をしているらしい商人と、その拠点までは判った。

だが、肝心の『証拠』が掴めない。

そこでギルドの諜報機関が潜入を試みたが、全員帰還しなかった。

救出、あるいは証拠を押さえるための二次部隊を派遣する事になったのだが、回せる人員が居ない。

で、半ば身内に近い、うちのチームに声がかかったらしい。


何で性転換してるかだって?

何でもその商人、病的なまでの『男嫌い』らしい。

屋敷を含めた敷地内は男子禁制、入ったら命の保障をしないとまで言ってるそうだ。



「あっ、あのっ!」


ん?


「あの、胸が…胸が服に収まりません…」


え。

オーリーと二人で一瞬顔を見合わせてから振り向くと、そこには…何この冗談みたいな爆乳エルフ。

顔も身長も前と殆ど変わっていないが、(当然)男の時はまっ平らだった胸が…おっぱいが…

片方の房だけで人の頭ぐらいある。顔を埋めたい。

「服は元々新しく調達する予定ではあったが…これは、特注になりそうだな。」

猫獣人改め猫耳ちっぱいクール娘は、さして驚いた様子も無く淡々とそう言った。

「オーちゃん…君はあのおっぱいの素晴らしさが判らないのか。あの大きさでありながら垂れる事無くピンと張った形、

 高級な陶器のように、染み一つ無く、それでいて血管がキモくない、白く美しい肌、そして巨乳にありがちな

 デカくて下品なモノとは比較する事すら憚られる、雪山に咲く一輪の花の様な乳首を!!」

「黙れ変態。(ばきっ。 あとオーちゃん言うな。(どすっ」

ぐふっ…頭だけでなく、的確に肝臓まで狙ってくる辺り…くっ、このツンデレめ、ちょっと顔が赤いぞ。


「・・・・・・(ぽっ」

「そこの天然も、乳を褒められて喜ぶな。」

「え、いえ、そんな喜んでなんて…」

片手でしっかりと胸元を隠しながら言うと、胸のことを気にしてる風で何か可愛いな。ふふふふふ。

「…はぁ。…服を調達してきて貰わねばならん、女性陣を呼ぶぞ。」

「は、はい。」

がすっ

「いてっ」

「貴様もさっさと起きろ。視線が不快だ。」

「くっ…もうちょっと下からのアングルを楽しみたかった…」

どがすっ!!

「ぶげふうっっっっ…」

か、踵は…結構痛い…

「っちょ、オーリーさん!?流石にちょっとやりす…」

「 問 題 な い 。この程度でこの馬鹿がどうにかなるか。」


悶絶する俺の腹を更にぐりぐりと踏みつけながら、そうキッパリと言い放った。

やばい、何かに目覚めそうだ。



「何騒いでんの、そろそろ変化も終わっ…た…」

と、部屋に入ってきた長身黒髪の女、ジェシカがそう言い掛けて凍りついた。

ちなみに今、俺は全裸で床に仰向けになってる状態、オーリーが同じく全裸で俺の腹を片足で踏んでる。


「「「・・・・・・・・・・・・・」」」

「…ごゆっくり。(ぱたん。」


「ちょっと待てぇぇぇぇ!貴様今何を想像した!? 私はライの変態行為を諌めていただけで

 わざわざ間を置かれる様な真似は一切してないぞ!」

こいつがこんなに慌てるのも珍しい、けど、いい加減足はどけてくれ。


・・・・・・・・・・・・。

説得力、無いよなぁ…


ガチャっ。

お、また来た?やっぱ冗談だったのかな。


「百合SMと聴いて来ましたにゃ!!!(扉バーン。」

ドヤ顔で現れたのは金髪碧眼の猫耳娘、シンシア。PT内での性別間違われるランキング第二位である。

要は乳がぐふぅっ!?


「…何故お前まで踏む?」

「いや、今物凄い失礼な事を考えられた気がしたのにゃ。」

「きっ…気がしただけで踏む…な…(げふっ」

というか心を読むな。


このちびっ子は乳も色気も無い代わりに、基本スペックがチートだ。

完全に不意をついて背後から飛んで来た猛毒付ダートを、空中で掴み取れるぐらい勘がいい。

更に、身長が140ちょっとしかないくせに、厚刃のバスタードソードをまるで小枝のように振り回す上、

正規兵複数人相手に無双できる程の剣技を使う。

これで乳と色気と…何より性格がまともなら、仕官の口もあるんだろうがなぁ…


「馬鹿やってないで、採寸するわよー。」

おお、救いの女神が。

「ジェシカー、とりあえずコイツ等を俺の上からどけてくれー…」

「はーい、じゃセシルからね。…ってでかっ!」

「そんな…珍獣でも見るような目で見ないでください…」

「そんじょそこらの珍獣よりすごいかもよ?おおーふわふわ~~(もにゅもにゅ」

「あっ…そんな、もま、ないで…んっ…採寸を…っ…」


・・・・・・・・・・・・。

眼福ではあるんだが。

「スルー、か…」

「…私は降りたぞ?」


するとこの重圧は?

「♪~~~♪♪~~(ぐりぐりぐり。」

「コラ。」

「♪♪♪~~~♪~(ぐりぐり、ぐりぐり。」

「降りろ。」

「~~~~♪~~♪~(ぐりぐりぐりぐり、ぐりぐりぐり」

この野郎。

「…光になれェェェェェェ!!!!」

人の腹筋の上でツイストを踊っていやがる馬鹿猫の足首をガッと掴むと、そのまま壁に向かってブン投げた。

が。

「うっにゃー♪ほっ、にゃっ!」

事もあろうに『壁に』すたっと着地した挙句、くるっとバク宙してから着地しやがった。

「ねぇねぇ!もっかい投げて!」

と言いながら駆け寄ってくるチート馬鹿猫。

「・・・・・・・・・・・・・。はぁ。」

あぁもう、いい笑顔だなぁド畜生が。

屈託無くじゃれ付いてくる大馬鹿猫の首根っこをひょいっと摘むと、出来立てほやほや(間違ってないよな?)の

俺の乳の上に落とした。

「おおおおおお~~~♪おっぱ~~い♪」

「好きに触ってていいから、大人しくしてろ。」

「はーい♪」



「測定終ー了ー。」

そう、何か誇らしげにいうジェシカ。

カップサイズ…そんな概念があったのか…くそう。

胸囲は俺が2位だったんだが、バストサイズ(トップ-アンダー)では3位だった。

1位は言うまでも無くセシル。2位がジェシカだ。

「うん、何を悔しそうにしてるのか判らないけど、充分誇っていいサイズよ?私がその上を行っただけで。」

「むかーーーー。」

対照的に冷静なのがオーリー(とシンシア)。

「でかくても動き難いだけだろう…」

「ライのおっぱい、揉み応えあるよ?(むにむに」

「お前はいい加減離れろ。」


「じゃ、仕立て屋行って来るわね。セシル以外は既製服のサイズを直すだけだろうからすぐ終わると思うけど、

 服が届くまでどうする?私の服貸そうか?セシル以外。」

「…うう…そんな目の敵にしなくても…好きででっかくなったんじゃないですよぅ…(しくしく」


「問題無い。」

え?と思ったら、もう普段の野戦服を着終わっているオーリー。

「体格は然程変わっていないからな。…んきゅっ!?」

平然としていたかと思ったら、突然可愛い声を上げて背を丸めた。

「…乳首。」

「うっ…」

「擦れたんでしょ。」

「・・・・・・・・・・・・・」

顔を赤くして俯くクール系美女。いいのういいのう。

「感度いいのねー…。シンシアのブラ借りる?」

「っ……要らん、服が届くまで包帯でも巻いて置く。」


「そっちの筋肉は?」

「夕方ぐらいまでには届くんだろ?」

「と、思うけどね。」

「なら俺もいらん。外出する予定もないし。というかだな…」

「?」

視線を落とすと、金色のふわふわした塊が俺の胸にへばりついている。

…シンシアが、ベッドに座っていた俺の胸にしがみつく様にして熟睡していた。

「…離してくれそうに無い。夕方まで俺も寝てるよ」

「過保護ねぇ。」

「こいつを連れて行こうって言い出したのは俺だ。世話ぐらい見るさ」


「あ、あのー…僕は?」

両手で隠しても上下から溢れ出る乳を持て余しながら、セシルが恐る恐る声をかけた。

「・・・・・・・。」

ジェシカの手から無言で手渡される『シーツ』。

「…これ、です、か…(めそめそ」

がーん、という書き文字が背後に見えそうな顔のセシルに、流石にちょっと苛め過ぎたと思ったのか、

少し済まなそうに説明する。

「えーと、嫌がらせとかじゃなくてね? その胸に合うサイズの服は流石に持ってないし、

 多分…頼む分の服も特注になると思うのよね。」

「えぇぇぇぇ…じゃ、僕、何日かシーツ一枚なんですか?」

「なるべく急がせるから。ね? …あ、ぱんつは私のお気に入り貸したげるから。」

「うぅ・・・・はい・・・」


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性転換薬は高価で貴重なため、元に戻る分の性転換薬は持って来ていない。

ギルド本部に戻ってから支給される手筈になっているので、その行程の分の衣服…普段着も含め、

一人当たり3~4枚の寸法直しと調整を頼んだ。女性陣の潜入用の衣装も、だ。

オーリーの服は仕込みポケットだらけだし、俺の服もあちこちに補強を入れてある。

素材は持ち込んだとはいえ、かなりの手間の筈だ。


…にも関わらず、夕方どころか、昼過ぎには衣類を持った服飾職人一同が宿を訪れた。

……仕事早すぎだろ…


「セシルのサイズを厳密に測りたい?」

「…うん、このサイズの服を作るのは初めてだから、って。どうする?」

「如何するも何も、採寸しなければ服が作れないんだろう。頼むしかあるまい。」

「そうなんだけど、さぁ…」

「何か気がかりな事でもあるのか?」

ジェシカはちらっと、宿の入り口付近のテーブルで控えている、若い女性の集団を一瞥すると言った。

「私も魔法学校で女ばっかりの所にいたから、何となく判るんだけどさ…タチが2人、残りがネコだね。」


ぶっ。

思わず俺とオーリーは二人揃ってコーヒーを噴出しそうになった。

「セシルの貞操が危ない、とでも言うのか?」

「んー…流石にそこまではやらないと思うけど…」

「なぁ、もしかして冗談みたいな速度で服を仕上げて来た理由って…」

「私が持っていった服の寸法を見て、実物が見たくなったんじゃない? …で、どうする?」


「「「・・・・・・・・・・」」」


「断ろうにも、理由が無いわよね、服は要るんだし。」

「いいんじゃねぇのか?まぁいい経験になるだろ。」

「他人事だな…。我々の監視下で採寸する、何かあれば割って入る、でいいだろう。」

「おっけ、んじゃ伝えてくるから、部屋で待ってて。」



そして室内。

「あのっ、ジェシカさん!?何かあの人達目付きが怖いんですけど!?本当に採寸だけなんですよね!?」

ガチビビリ入っているセシルの頭を撫でながら、ジェシカが優しくこう諭す。

「…大丈夫よ、天井のしみを数えている間に終わるから。(ぎゅっ」

「そっ…それ!全然大丈夫じゃないですよね!?」


「そろそろ始めても宜しいですかー。」

「ええ、どうぞ。」

「「「「「「はーい」」」」」

「…それはそうと。」

嬉々としてセシルへ殺到しようとする少女たちの先頭、リーダー格の娘の肩をがっ、と掴んでこちらを振り向かせると、

真紅の昇竜のオーラを背負いながら忠告した。

「…節度、って言葉はご存知ですね?」

一瞬で凍りつく少女達。

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ、という擬音まで背負ったジェシカに対し、リーダーの娘は何とかこう答える事に成功した。

「はひぃ!…もひろんでごらいまふっ…」

(噛んだ)(盛大に噛みましたね)(噛むだろうなぁ、流石に)(噛んだけど一応言えたね)(私もあの声で罵られたい…)

「そう。」

肩を掴んだ手を離すと、擬音を背負ったままにっこりと笑うと、こう宣言した。

「じゃ、手早くお願いね。」

「「「「「「Yes.Mam!!」」」」」」


「肌しろーい、もっちもちーー」「本当、化粧ノリよさそうよねぇ…」「おおおお、このサイズでこの張り…」

「腰ほっそーい、抱きしめたーい」「足細いのに、すっごい引き締まってる、いいなー」「・・・・・・(すりすり」


「あ、あのこれ、採寸なんですよね?」

「「「「「「採寸でーす。」」」」」


「…放って置いていいのか?」

「釘は刺しといたし、大丈夫でしょ。」

「釘っていうより生木の杭に近かった気がするけどな。…おお、絡み合う少女達…。」


30分後。

「「「「「「ありがとうございました~~♪」」」」」

「では、明日の昼までにお届けしまふね。」

(噛んだ)(また噛んだよ…)(普段噛まないのにねー)(あの娘年上好みだからなぁ。隠れMだし)(あの手で…はぁ…)

「「「「「「ではまたー。」」」」」」


「…良かったのか?酷い事になってるぞ?」

「まぁうん、腕は確かみたいだし、いいんじゃない?」

「そういう問題じゃない気がするんだが…」

と、無責任に語り合う三人の視線の先には、半裸、というより辛うじて肝心の所は隠れている程度の格好で、

全身を紅潮させ荒い息をつく少女(元男性、年齢100歳over)の姿が。


「ううっ…汚された…穢されてしまった…(しくしくしくしく」

orzなポーズが似合うな、セシル。

つーか、お前まで物理法則を無視して、暗がりとスポットライトを背負うんじゃ無い。



翌日。

宣言通り、昼少し前にセシルの衣類一式を抱えた少女が1人で宿を訪れた。

速攻でベッドの陰に隠れたセシルに対して、平然と持ってきた服を広げて、着付けの時の注意等を始めた。

「…襲ったりしませんって。仕事はちゃんとしますよ。」

「昨日は仕事じゃなかったんですか。」

「半分か…三分の一ぐらいは仕事でした。あーちゃんは。」

「……貴方は?」

「趣味でした(きっぱり」

「うわーーん!」

「隠しもしないの?あんた達…」

エリスンと名乗った衣服職人の少女は、呆れ顔のジェシカに向かって一応釈明する。

「ウチの職人が全員ソッチ趣味なのは、公然の秘密って感じですから。

 それに、本気で嫌がる相手には手を出したりしませんよ。」

「ぼっ…僕は本気で嫌でしたよっ!」

「え、そうだったの?すっごく反応いいし、てっきり誘い受けなのかと…」

心底意外そうに言う彼女に愕然とするセシル。


「あ、そういえば、お姉さん達も季節祭、参加するんですよね?」

思わずエリスン嬢を凝視してしまう、俺とジェシカとセシル。オーリーは眉一つ動かさない。

…馬鹿猫は『お祭り?お祭りっ?』という擬音が見えそうな位目をキラキラさせて俺を見上げた。こっち見んな。

というか、いい加減俺の胸から離れろ。

「!? …違いました?」

「いや、そのつもりだけど、言わなくても判っちゃうの?」

「やだなー、この時期にウチに夜会着を注文するなんて、季節祭参加のため以外無いじゃないですか。

 普段着と仕事着も一揃い、ってのは珍しいですけど。前のは痛んでいたんですか?

 ウチは古着の補修とかもやってますよ?」

思わずオーリーと顔を見合わせた。

…すいませんそれ潜入用です。祭りがあること自体忘れてました。

『薬のうわさを聞いた商人とその護衛』って設定で館内に入り込んで、俺とセシルでターゲットと話をしている間に、

他の面子で屋敷内を捜索する予定でした。


「前の服はねー…こういう仕事だから。酷い匂いが付いちゃったんで、捨てたのよ。」

ジェシカ、ナイスフォロー!ついでに色々聞いておこう。

「この街の季節祭って、そんなに大掛かりなのかい?俺の故郷の季節祭は、露天が出てパレードがある程度だけど。」

「その辺は同じですねー。それ以外に、この街の名士っていうか、商家の屋敷が解放されて、振る舞い料理が出るんですよ。

 中でも、カリオス家の振る舞いは凄いですよー、料理も美味しいし、お酒飲み放題だし。秋の時のミートパイおいしかった…

 それに何と言っても、あの屋敷、男子禁制だから、ちょっと飲みすぎても安心ですし。」

すっかり井戸端会議モードになって楽しげに話すエリスン嬢。対照的に、再度顔を見合わせる俺とオーリー。

そこ、潜入予定の所だよ…


「そーいえばこの間、カリオスさん所から変な仕立て依頼が来たんですよねー。あ、言っちゃっていいのかな。うーん。」

ちらっとセシル(の胸)に視線を投げかけると、こう続けた。

「ま、いっか。昨日じっくり堪能させてもらったし、先払いだったって事で。(わきわき」

それは支払いの代わりになるのか。というかそんな理由で顧客の事情言っちゃっていいのか。

「女装用の服を頼まれたんですよ。デザインが女物で、寸法が男物の服。それも何着も。」

「女装…?」

「そー、あの屋敷にはそもそも、男の人はいない筈なんですよ。男装用の服は昔何度か配達した事があるんですけどね。」

先に潜入した諜報員達の為の物だろうか。…女装させる意味が判らないが。

ギルド直属の腕利き諜報員だ、生きているなら脱出か、外部との連絡を試みるはずだが…

交易の要衝、経済都市とはいえ、一地方都市の商人の館程度の警備を突破できないんだろうか。

しかし、何故女装。まさか既に殺されていて、死体を運び出すためのカモフラージュとして服を?

…いや、その為にわざわざオーダーメイドで服は作らないだろう。


「…エリスン、と言ったか。貴女はカリオス家の屋敷に入ったことがあるのか?」

静かにそう切り出したのはオーリー。俺と同じような事を考えていたのか、目付きが鋭い。

「ぇ…はい、ありますけど…」

剣呑な空気を感じ取ったのか、半歩後ずさりながらエリスン嬢が答える。

「屋敷の中の様子について、教えてもらえないかな?」

オーリーよ。そんな『断ったら喉笛食い千切る!』みたいな顔で頼んでも無理だと思うぞ…。

「ヒッ!?…だ、駄目ですよ、何をする気か知りませんけど、人の家の中の様子を勝手に…なんて…」

…ほら、ガチで怯えてる。


「んじゃ、報酬前渡しでどう?好きなだけ揉んでいいわよ。」

そんな空気をぶった切って、セシルの両手を後ろでガッチリ掴んだジェシカが、セシル(の胸)を彼女の目の前に押し出した。



「何なりとお尋ねください、お姉さま!(もにゅもにゅ」



一瞬の躊躇も無く乳に手を伸ばす、というのは流石にどうかと思うぞ…

「ひうっ、ちょっと、何で僕なんですかぁぁぁっ! 胸ならジェシカさんだっておっきいでしょ!?」

「そこに乳があるからよ。」

「訳が判りません!!…っひにゃぁぁっ!先っちょは駄目ぇぇっ!」


「斬新過ぎる交渉術だな…」

「情報が手に入るなら、問題無い。」

ん?問題ない、って割には声が沈んでるな。

「どうした、何かあるのか?」

「いや…」

何でもズバズバ言うこいつが、言い淀むとは珍しい。

元諜報部所属だし、囚われている(と思いたい)諜報員の安否が気になるんだろうか。

「死人のためにオーダーメイドの服は買わないだろう。大丈夫、生きてるさ」

「い、いや、そうじゃなくてな…」

「ん?」

「優しく微笑んだつもりだったんだが…そんなに私の顔は怖かったか?」

「ぶっ」

噴出した俺に向かって、やや頬を赤くして、上目遣いで抗議するクール系美女。いいねぇ。

「うん、まぁ、目が真剣なまま、口元だけ笑ったら普通は怖いんじゃねぇかなぁ。」

なるべく軽い調子で指摘する。そうか、あれ笑ってたのか…笑いとは本来(以下略)、って嘘じゃないんだな…

「そ……そう、なの、か… 研究の余地があるな…」

何かガチで凹んでるっぽいんだが。研究とか、真面目な奴だ。



有力な情報提供者により、内部の間取りと衛兵(全員女!)の配置が判った。

作戦はこうだ。

祭り当日に全員礼装して堂々と正面から侵入、ある程度会場が出来上がった頃合を見て、

シンシアが気分が悪い、と言う事にしてシンシア・ジェシカ・オーリーが内部へ。

それを、なぜか精霊魔法の威力が馬鹿みたいに強くなっているセシルが『精霊の耳打ち』の魔法で監視(音だけだが。

問題が起きたら俺とセシルが陽動、または救出に向かう、という手筈だ。

…行き当たりばったりとか言うな。

探索・罠対策のオーリー、魔法の罠の対処・構造物の専門家ジェシカ、危険感知の馬鹿猫。大抵の事には対処できるはずだ。

待機組の俺は、いつもの武器装備が持ち込めないから、戦力にはならない…まぁいざとなればその辺の椅子でも振り回すがな。

セシルはと言えば…

「胸がでっかすぎて、足元が良く見えないです…(涙」

元々運動神経が余り良くない上に、体格が変わったせいで、何もかもが危なっかしい。

隠密行動は無理だ、と言う判断。

あとは、火力の上がりすぎた精霊魔法の制御に自信が持てない、だそうだ。

まぁ、うん…本来、小枝が弾ける程度の威力の筈の『精霊の礫』で、木が一本丸ごとウッドチップになったからなぁ…

ついうっかり人間に向かって撃ったりしようものなら、大惨事だ。

さぁ、後は季節祭当日を待つばかり。


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大きく開かれた門。

ごった返す着飾った人々。

屋敷へと続く通路脇に立つ、木々にまで派手な装飾が施され、篝火に照らされて、まるで異界の様な雰囲気を醸し出している。


「「うわー………」」「これは、また…」「派手ね。」


領主の屋敷、と言われても納得できそうな巨大な建物、その正面には馬車のまま入れそうな大きな扉。

その向こうには、正面には上に続く階段、部屋を囲むようなテラスのある、テニスコートが2面ぐらい取れそうなエントランス。

そしてその『左右に』それぞれ、その倍の広さのあるダンスホールと大食堂がある。

この門に一番近い建物には、その2部屋と大厨房(催事用で、普段は使わないらしい)しかなく、2階はバルコニーとテラスだけ。

商人の私室やゲストルームのような生活空間は奥の別棟にあるらしい。

事務所や倉庫などはさらに別棟だ。

…やっぱ、ここの領主の屋敷よりでかいんじゃないのか…?


肝心の建物も、今は煌びやかな装飾に飾られていて派手だが、内装や調度品を見ると精緻で上品な印象を受ける。

かなり金を掛けてあるのだろうが、無闇にピカピカしていない辺り、いい趣味をしてる。

「はー…」「おー…」

すっかり惚けている金髪銀髪の二人に引き換え、黒髪二人は至って冷静だ。

「一般客にまぎれて、私服の警備員が配置されているな。柱の影、2人一組だ。」

「みたいね。白い羽飾りを何処かに着けてるのがソレかな。」

「飾り…ああ成程、確認した。連絡通路付近が手薄だが…通路側に配置されていると思うべきだな。」

ああ、頼もし過ぎる。今回は俺の出番無いかな…だといいなー…。

「…あんたまで浮かれて無いでしょうね?」

「流石にそれは無ぇ…わよ」

一応、見た目は女なんだから、と女言葉や立ち振る舞いは教わったんだが。

「違和感バリバリ。」

「うるせぇ。そもそもこんな場所自体、柄じゃねぇんだよ。」

「せいぜい、ちゃんとお嬢様をエスコートしてね?」

本人は気づいていない様だが、既に場内の視線を独り占めしているセシル(の胸…だけじゃないか。)を顎でさすと、

手筈通り、シンシア、オーリーを連れて離れていった。


お嬢様、か。

確かに、祈るようなポーズで目を輝かせながら、天井のシャンデリアや彫刻を眺めている様は、良い所のお嬢様に見えるな。

ん?

人ごみを縫うように、セシルに向かって歩いていく小さな影。

見た事の無い顔だが、その『表情』はつい先日見た覚えがある。

目の前にセシルの乳を差し出された、エリスン嬢の表情だ。


熱に浮かされたような潤んだ瞳のまま、少女は手を伸ばし…セシルの乳を鷲掴みにしようとする…その直前で、手首を掴んだ。

「えっ…ぁ…」

「正面から堂々と痴漢行為を働くとは、いい度胸だな。」

オーリーを真似て、口元だけでにやぁっ、と笑みを浮かべて不埒な少女を見下ろす。

「ぴぃっ!?」

そんなに怖いか。…確かにちょっと凹むなコレ。

「えっ、あれ?どうしたんですかライ…ライさん。」

今頃正気に戻ったセシルが驚いたような顔でいう。遅いわ。

ん?天然なこいつをお嬢様、俺がその護衛って事にすれば楽じゃね?

俺もあんまり御淑やかにしなくて済むし。OK、それでいこう。

「お嬢様に痴漢行為を働こうとした者を捕らえました。如何しますか?」

「…こんな、小さな子がですか?」

確かに小さい。ギリギリ10代って所だろうか…酒も置いてる祭りの飯場に、1人で来てるのか?

「お嬢様、小さくても、罪を行えば罪人です。」

『お嬢様』、の所でセシルの眉がぴくっと動いた。通じたかな?

「放してあげて下さい、ライ。あなたも、もうこんな事をしてはいけませんよ、ね?」

と、セシルは子供に諭すように優しく言って、頭を撫でてやった。

…ナイス演技…本当に良い所のお嬢様みたいだ。

って、ん?

痴漢未遂少女(仮)が…耳まで真っ赤になって、涙を目に一杯に貯めている。大丈夫なのかコレ。倒れないだろうな。


「は…はいっ、お姉さまっっっ!!」


きゃるーーん、とかいう不可解な擬音が視界をよぎった様な気がするが、きっと気のせいだ。

気のせいだって事にしておいてくれ。

こっちが倒れそうだ。この街にはこんな娘しか居らんのか。

あーっと、まぁ、考えて見れば、季節祭ってのは『男女の出会いの場』でもある訳で、

そんな日に男子禁制の屋敷に集まってる時点で…え゛、と言う事は今ここは、そっちの趣味のお嬢さん方の出会いの場なのか?


「じゃぁお姉さま!、手なら触れてもいいですかっ?」

「えっと…手ぐらいなら構いま…」

あ、おい馬鹿やめろ。

「やったぁ!!」

耳がキンキンするような声を上げながら、セシルの左腕にしがみついた。

交渉の基礎ぐらい教えておけばよかったか…

奴らは、一歩譲れば全力で前ダッシュしてくる。こちらが優位なら一切譲るな、が基本だと言うのに。

そして…あぁ、もう手遅れか。

周囲に居て様子を伺っていた女達が一斉に、やれ髪を見せてくれ、服の出来を見せてくれと次々と押し寄せて、

その度に全身あちこち撫で回されている。

よく見ると、最初の痴漢未遂の子が肝心の所はガードしてくれているようだ。が…


あぁもう、面倒な…まだ騒ぎを起こすには早いんだがなぁ。


ガァン!!

手近なテーブルに拳を叩きつけてから叫ぶ。

「全員、お嬢様から離れろ!」

ううっ、女の声ってドスを聞かせにくいなぁ。

しかし効果はあったようだ。セシルに絡みついた女達が1人、また1人と恐る恐る離れて行き、人混みに紛れる。

最初の子を除いて。

「離れろ、と言ったのが聞こえないのか。」

「っ…お姉さまが、触れても、いいと、おっしゃい、ました。」

あぁあぁ、膝笑ってるし。悪い子じゃない様だな。ガードしてくれたし。

「好きにしろ。」

少女は無言で、縋る手に力を込めた。

…そこで頭を撫でたりするから、誤解されるんだぞ、セシル。



ざわざわざわざわ。

俺とセシル(と痴漢未遂。後で名前ぐらい聞いておくか。)の周囲は、2mぐらいの距離で人垣に囲まれている。

さて、どうすんだこの雰囲気。

「お疲れのご様子ですが、宜しければ、別室でお休みになりますか?」


!?


背後・至近距離から聞こえた声に、咄嗟に振り向いて銃…は無いんだった。

間抜けな格好で構える俺の前に、やけに長いスカートを履いたメイドが立っていた。

…気配は無かった。どっから沸きやがった、このメイド。


「御館様が、お疲れになったお客様の為に、別室を用意しております。ご案内しますか?」

見た目はどう見てもメイドなんだが、何故か俺の本能が『コイツは危い』と告げている。

何だコイツは。

「あ、あの…」

「・・・・・・・・・・・」

「ライ、お言葉に甘えましょう。少し、その…」

そう言ってセシルが怯えた様に辺りを見渡す。

あぁ、俺らがここに居たら、祭りどころじゃないか。

「…判りました、お嬢様。」

警戒は崩さないまま、そう答えると、セシルは少しほっとした様子で件のメイドに声をかける。

「すいません、それではお願いします。」

「はい、ではこちらへ。」

メイドが奥…別棟へ行く通路を指し示すと、そちらの人垣がゆっくりと割れて通路が出来る。

気のせいか、妙に熱っぽい視線が俺とセシルに注いでいるような気がする…どうしてこうなった。



「(何やってんのよあの二人は…)」

「(不慮の事故だ、仕方があるまい。)」

「(あーもー、あの子、そういう趣味の娘を集めるオーラでも出てるのかしら…)」

「(否定は出来んな。で、どうする?直ぐに追うか?)」

「(そうしたい所だけど…あんまり直ぐだと、関係を疑われないかしら。)」

「(可能性はあるな。では、当初の予定通り、アレを使うか。)」

「(…アレ?)」

オーリーが無言で顎で指した先には、テーブルの上の料理をすべて消し去ろうか、という勢いで料理を口に放り込む

シンシアの姿があった。

…ぶっちゃけ、かなりみっともない。


「…何してんの、あんたって子はぁぁぁぁぁぁ!!!」

ジェシカは怒声と共に、流れるようにテーブルの上に金属製の大皿(数分前には大量の料理が積まれていた)を引っ掴むと、

それをそのままシンシアの頭頂部に叩き付けた。


ぱっかーーーーーん。


聴く者に爽快感すら与える快音を響かせた大皿は見事に凹み、その衝撃を受けたシンシアは「うぎゅぅ…」という呻きと共に

テーブルの上に突っ伏した。

その光景を見て目を点にしている小柄なメイド(皿を下げに来た様子だ)に、若干の怒気を孕んだ声で尋ねた。

「別室が、あるのよね?」

「はっ、はい、ございますっ!」

「案内して。」

「え、えっと、今主任に許可を…」

口を大きく開けた赤竜のオーラを背負いながら、同じ言葉を繰り返すジェシカ。

「案 内 し て 。」

「はいぃぃぃっ!こちらへどうぞっ!」

顔を引きつらせながら、連絡通路へ小走りで向かう小柄なメイド。

そして、先ほどとは違い、物凄い勢いで道を空ける群集。


(あいつ、魔法使いじゃなくてスタンド使いなんじゃないのか…?)

オーリーは、シンシアを抱きかかえながら、そんな事を思わずには居られなかった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



小部屋に通されるのかと思いきや、どんどん建物の奥へと歩いていく長スカメイド(仮)。

先導しているんだから、当然こちらに背を向けているんだが…全く隙がない。

仕掛けたら『何か』が絶対出てくる。根拠はないんだがそんな気がする。

ここで騒いでも意味がないし、オーリーたちが何とかしてくれる事を祈ろう。

それはそうと、何処まで行くんだ?

既にかなり奥、本館にあたる建物の、半分ぐらいまでは来ている筈だが。

罠?…んな訳無いか。騒ぎを起こしたとはいえ、自衛の為だったんだから非難される謂れはない筈だ。

ギルドの使いだという事がバレてるとも考えにくい。

祭り目当てで集まってくる旅人も居るんだし、少なくとも一つ前の街を出て以降、

人目のある所でギルドの名前を出してもいない。

「あの…随分奥まで来た様ですが、休憩できる部屋というのはまだ先なのですか?」とセシル。

…うん、まぁ、聞いた方が早いよな。

……何か変だな、考え方が妙にまどろっこしくなってる様な気がする。


「はい、もう少し先です。館主ディアナ・カリオスより、当館で不快な思いをした御詫びに、と、

 貴賓室へ御案内するように言われております。」

貴賓室ゥ!?

まだ騒ぎが起きてから数分だぞ?その館主ってのは、騒ぎのあの場に居てこのメイドに指示を出したのか?

ソレっぽい人物が居たようには思えないんだが…

そうでなければ…やっぱりこちらの目的がバレてる?

動くべきか。とはいえ、この長スカートのメイド、得体が知れない。慎重に行くべきか…

そんな事を考えていたら、突然立ち止まってこちらを振り返るメイド。

仕掛けて来るのか…にしては殺気が無い?


「こちらになります。」

「えっ!?」

やべ、声出た。

一つのドアの前で、精緻な装飾の施されたドアノブに手をかけたメイドが、無表情のままこちらを見ている。

そうだよな、休憩できる部屋へ案内されてたんだよな。あれー?

「ライ、どうかしましたか?」

この天然は気にもしていない様だが…俺の気にし過ぎか。

「い、いえ、何でもありません。」

「随分緊張して御出でのようですが、護衛の方ですか?」

今までの事務的な口調ではなく、やや柔らかな口調でメイドが言った。こんな声も出せるのか。

「はい。(…という設定です。)」

「ご心配なく、お客様に害をなす者は、当館が責任を持って排除します。お任せ下さい。」

まさか、その貴方と戦わなきゃいけないかもしれない、とは言えないし。

「はい、お気遣い有難うございます。」以外、言える事は無いよなー…



「では、どうぞ。」

ガチャッ

ドアの向こうは、やはり豪華だが派手ではない、趣味のいい客間、といった所か。

かなり広く、入り口からは見えないが奥に寝室も別にある様だ。すげぇ。

その部屋の窓際に置かれたテーブルセット、その椅子に誰かが座っている。

腰まである黒髪に、紅を基調に銀糸の刺繍を施したドレス。美的センスなんて物には縁の無い俺が見ても『絵になる』美女。

そんな印象だった。


女性がこちらに気づいたのか、ゆっくりと立ち上がってこちらに微笑む。

そして優雅に一礼すると、こう言葉を紡いだ。


「うほ、ナイスおっぱい。顔埋めてぇ。」

「「「・・・・・・・・・・・・・・・。」」」

…え?おっぱい?


すっぱーーーーーーーん。

刹那、何処からか現れた純白のハリセンが、女性の顔面を真正面から凪いだ。


「御館様、初対面の相手に本音と建前を間違って言うのは止めて下さいと、何度も申し上げた筈ですが。」

目の前に居たはずのメイドさんが、いつの間にか窓際で、ハリセンを振り抜いた姿勢のまま、冷たい声で女性に告げた。

その脇でひっくり返った女性は、仰向けに倒れたまま平然と言い返す。

「いや、ごめーん。あんまりにも衝撃的だったもんだからつい。」


よっ、と勢いをつけて起き上がった女性は、立ち上がり軽く埃を払うと言った。…鼻の頭を真っ赤にしたままで。

「みっともない所をお見せしてしまって、申し訳ありません。

 当館の館主で、交易商をやっております、ディアナ・カリオスと申します。以後お見知り置きを。」


そう言って優雅に礼をする館主さん。…綺麗だ。

ついさっきまでのコントと、鼻の頭が赤くなってるのを除けば、貴族の令嬢で通るだろう。

年の頃は見た所20代後半、30代と言うには肌の張り艶が良すぎるかな、という所。

…ん、立場的に先にセシルが挨拶を返さないといけないんだが…口をあけたまま呆けてやがる。

仕方が無いので背中をちょいちょい、とつついて声をかける。

「お嬢様、ご挨拶を。」

「えっ、あ、はい。

 リーリアのセシル。セシル・ローレンと申します。」

少しぎこちなく礼をするセシル。胸が気になるのか。

そーいえばこいつのフルネームって初めて聞いたな。


…って、何故こっちを見る。護衛って設定なんだから、俺は空気でいいんだよ。

そこのメイドも名乗ってないだろ。そういうもんなんだよ。

「(じー・・・・・)」

こっち見んな。

「えーっと…そちらのお嬢さんのお名前は?」

沈黙に耐えられなくなったのか、ディアナさんの方からフォローされてしまった。

「…ライです。」

「おふぅ…肉体派の娘がひらひらの衣装を着て、ぎこちなく挨拶するのって萌えるよね!」

すぱぁん。

間髪入れず、今度は頭頂部にハリセンを振り下ろす長スカメイド。

「重ね重ねの失礼、申し訳ありません。御館様こういう残念な人なんです、どうかご容赦ください。

 本館の警備とメイド長を兼任しております、クレアと申します。御用の際はお気軽にお声掛け下さい。」

「…ねぇクレア、メイド長として、館の主に対してコレは酷いんじゃない?」

頭頂部にハリセンをめり込ませたまま、そう言って非難するディアナさん。

頭から下ろせよ…


うーん…違法製薬と無許可薬物の販売、の罪人には見えねぇんだよなぁ…

それ以前に、主人とメイドなんだよな?この二人。

何か『駄目な姉とそれをフォローするしっかり者の妹』にしか見えねぇ。

(オーリー、上手くやってくれるといいなぁ)

もう、どうでも良くなってきた俺だった。


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さして広くない、装飾もない部屋で、三人は一言も声を発することなく、黙々と身支度を整えていく。

オーリーは大きなフリルのついたスカートを脱ぐと、その内側から武器や手袋、小物類を入れたサスペンダーを取り出して

身に着ける。

シンシアも同じくスカートを脱いで鉈の様な肉厚の小刀と投げナイフの付いたベルトを、

ジェシカは脱がずに、中から発動体の短杖と自在護符の篭手を取り出して身に着けた。

そして、三人の足元には両手・両足の親指をそれぞれワイヤーで縛られ、猿轡をされた小柄なメイドが転がっていた。

…何故か頬を紅潮させており、熱っぽい期待に満ちた視線をオーリーに注いでいる。


「…そう言えばこの娘、作業着の下に防具の様な物を身に付けていたから、手加減なしで拘束したんだが…

 やけに呆気無かったな。」

「この娘が?そんな体術の心得がある様には見えないんだけど…」

「下になんか着てんの?(ぴらっ」

止める間もなく、メイドのスカートをめくり上げるシンシア。

そこには、小さな南京錠の付いた金属製の下着のようなモノが、肉付きのいい下半身を強調する様に取り付けられていた。

チラチラとピンクの『何か』が見える股間のスリット部分からは、汗とも尿とも違う、やや粘性のある液体が溢れ、

太股を伝って、膝上まである靴下に吸い込まれていた。

「「「・・・・・・・・・・・・・」」」「(・・・・・・・♪)」


メイドがビクビクッ、と身体を震わせるのを合図に、三人は一斉に口を開いた。

「「「よし、見なかった事にしよう(するぞ)(するわよ)」」」


「んふーーー!!!んんーーーーー!!!!!」

部屋を出ようとすると、別人のように暴れだすメイド。

「んー…、おいてかないで、って言ってる感じー。」

「あんまり騒がれても困るわね…」

「…黙らせるか。」

そう言ってワイヤーを取り出すオーリーを見てひらめいた。

多分この娘、そーいう趣味なのよね…見られてイったみたいだし。

「オーリー、ちょっと耳貸して。」

「ん?、何だ?」

もしょもしょもしょもしょ。


「なっ…私に何の役をさせる気だっ!」

耳まで真っ赤になってる。…オーリーって、こういう事の耐性って無かったっけ?

「雇われて働いているだけの一般人なんだし、手荒でない方法で無力化できるんなら、それに越した事は無いじゃない」

「……絞めた方が早い気がするが…」

「意識を取り戻した後に騒がれるでしょ。」

「むぅ……」


意を決したのか、オーリーが大股でメイドに歩み寄ると、乱暴に襟首を掴んで立たせ、椅子に座らせると、

素早く首にワイヤーを2周させ、それを背もたれに縛り付けた。

突然の仕打ちに、顔は不安そうなのに目は嬉しそう、という奇妙な表情のメイド。

何処からか取り出した細いナイフを首筋にピタピタと当てながら、無感情を装ってこう言った。


「…暴れると『絞まる』わよ。私が戻るまで良い子にしてらっしゃい。

 良い子にしてたら『御褒美』をあげるわ。」

パシッ!

言い終わるや否や、平手打ち。

「…返事は?」

ぶんぶんぶんぶんぶんぶんぶん。

頬に手形をつけたまま、放置プレイキターーーーー、とばかりに、喜色満面、首が取れそうな勢いで頷くメイド。

無表情のまま踵を返し、部屋を出るオーリー。


……ちょっと、廊下の警戒もしないまま出て行っちゃったわよ(汗

一応平静を装ってシンシアと一緒に部屋を出ると…壁際で顔を覆ってしゃがみ込んでるし。

「オーリー?」

「いや、大丈夫だ。大丈夫だが…何か…とんでもない地雷を踏み抜いたような気がする…」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「リーリアのオーレン、といえば150年前に活躍したという救国の英雄、ルドルフと同じですね。何か係わりがおありですか?」

英雄ルドルフの話か。

よくもまぁこんなにスラスラと話題が出てくるもんだ。商人ってのはみんなこうなのかね。

「え?ルドルフは私の父…………」

何故こっちを見る。というか何故不思議そうな顔をしてるんだ?

「……父方の先祖?です?」

だから何故疑問系なんだ。お前の故郷の話なんて聞いた覚えは無いし、こっちを見られても困るんだが。

「えっと…ご先祖様、なのですか?」

ほら、ディアナさん困ってるし。

「はい、えっと…多分…。父も母も、あまり自分の事を話してくれないんですよ。ただ…」

「…何か不審な事でも?」

「いえ、実は私の父の名前がルドルフって言うんですよ。」

「それは…先祖の英雄の名前をお継ぎになったんでしょうか」

「えーっと…150年…だと…どうなんでしょう?」

だからこっち見んな。

「私のお父さん……物心ついた時から、姿形が変わってないんですよね…」

!?

「え?セシル…お嬢様って今、お歳…」

「…はい、126歳です。」

「え。」「!?」

笑顔のまま硬直するディアナさんとクレアさん。

うんまぁ、セシルってパッと見、10代前半だからなぁ。


「物心ついた頃って言うのは、何歳頃なんですか?」

「それは人間と同じ、3歳頃です。成人するまでは大体一緒なんですよ。」

思わず顔を見合わせる、セシル以外の3人。

「30歳の時にローレン嬢が生まれた、と仮定しても…」

「単純計算で153歳?ですか…英雄ルドルフが姿を消したのが、156年前という話ですから…」

「同一人物という可能性は、無くは無ェですね。」

そこへ首をかしげながらセシル。

「でも、お父さん、人類種の筈なんですよね…耳尖ってないし、身体もがっしりしてますし。」

「「「!!??」」」


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滑る様に廊下を進み、扉に耳を付けて室内の様子を探るオーリー。

その後ろを、なるべく音を立てないように続く。

その私の後ろを(足音どころか、気配すらしないけど)シンシアが付いてきている。…筈。

いつも思うんだけど、この子が敵じゃなくて良かったわ。

基本、お子様脳なんだけど、頭が悪いわけじゃない、むしろ頭は切れる方。

身体能力はチートだし、セシルが言うには『無意識に精霊魔法に近い物を使ってるみたい』だそうだし。

…何者なのかしらねぇ…

何て事を考えていたら、その本人にちょいちょい、と裾を引かれた。

振り返って『何?』と首を傾げて尋ねると、ハンドサインで『こっち』『人の気配』『下』『少し遠い』?

指差す先は、通路の突き当たりの壁。

全く根拠がなくても、この子の『何となく』は馬鹿にならない。

頭の中にある建物の平面図と実際の光景を照らし合わせて、『この向こうが何か』考える。

この向こうには、通路を左に曲がった先にあるドアから入れる部屋があるはずだ。が、『下』と言うのは解らない。

こちらの様子に気づいたのか、オーリーが音も立てずに戻ってくる。

無言でハンドサイン、『説明』

頷いて、シンシアが先ほどと同じサインを繰り返す。

続いて私が『先』『部屋』『内部』『調査』。

『了解』『待て』

オーリーが踵を返すと同時に、私は通路の先を警戒、シンシアは振り返って今まで通って来た通路を警戒。

『無音』『鍵・罠無し』のサインの後にドアを開けたオーリーと共に、部屋に滑り込んだ。


一応施錠してから部屋の中をざっと見渡すと、どうやら物置のようだった。

窓は無く、入って左側・正面の壁には棚が設えてあり、そこにはラベルのついた木箱が並んでいる。


「妙ね。」

曲がり角からドアまでの距離と比べて、ドアから室内右側の壁までの距離がやや短い。

多分80~90cmぐらいの空間がこの向こうにある。

「何かあるのか?」

「多分、その壁のどちらかの端に隠し扉。」

「了解。」

疑問の声すら上げずに壁を調べ始めるオーリー。女になってても頼もしいわ…


ガタッごそごそっ

物音に気がついて振り向いてみると、予想通りシンシアだった。

入り口付近の木箱を開けて、中を漁っている。

「あんたは…何してんの。」

「んー、なんか、一個だけ綺麗な箱があったから、何が入ってのかな、って。」

言われてみれば、置かれている木箱の殆どは、うっすら埃が積もっているにも拘らず、

シンシアが開けた箱の蓋には全く埃がない。

「…変なの見っけ。……櫛?」


5cmx8cmぐらいの薄い金属板で、短い側の一端が長さがバラバラの櫛のようになっている。

それを見たオーリーが、壁の右端を指差しながら言った。

「恐らくここだ。板と板の隙間が少し広い箇所がある。金属と擦れた様な跡もある。」

「…この櫛っぽいのが鍵って事かしら。」


金属板の櫛の側を隙間に入れて軽く押し込むと、ガチャリと音がして、壁の一部が手前に浮いた。

やば、本当に開くとは思わなかった。

慌てて一歩下がると、オーリーに向けてハンドサイン『先行』『調査』。

間髪入れずに返ってくる『了解』。

後一応振り向いて、シンシアにも音を立てないように指示する。


オーリーが慎重に隠し扉を開けると、向かって左側へ降りていく石段が見えた。

幅は狭く、人一人が通れる程度だろう。予想通り。

オーリーは不用意に覗き込むような真似をせず、耳と鼻をピクピクさせながら、手鏡で石段の下の様子を見探る。

振り向かずに出したサインは『明かりあり』『人影無し』『微かな音』『生活臭』

…ビンゴ、かな?

振り向いてシンシアについて来るように指示すると、オーリーの肩を軽く三回叩いて、前進を指示した。


石段を降りた先は結構広く、8m四方ぐらいの石造りの部屋。

中にはダブルベッドの他、簡素な丸テーブルと椅子が3つ置かれている。

換気口の類があるのか、空気は淀んでいない。

…監禁部屋、というよりは非常時のシェルター的な部屋の様な気がする。


「「・・・・・・・・・・・・・・・・・」」

気がつくと、二人が部屋の奥に向けて無言で武器を構えている。

居そうな気配もしないんだけど…まぁ、揺さぶってみますか。


「隠れていないで出てきなさい。5つ数えるまでに出てこなければ、部屋ごと吹き飛ばすわ。」

そう言いながら、左手の自在護符に『防壁』の印章をロードし、部屋の奥に向けて掲げる。

掌にぼんやりと光る魔方陣が見える筈だから、脅しにはこれが一番いい。

何か飛んできたり飛び掛られたりしたら、『防壁』が発動するしね。


「「・・・・・・」」


音もしないし気配もないんだけど…相変わらず二人は警戒を解いていない。

本当に居るのかしら?


「…ひとーつ。ふたー…」

「ま、待って、ギルドの人?助けに来てくれたの?」

相変わらず気配も姿も見えない中、聞こえて来たのは中性的な少年のような声。

「そうだ。『魔女の鍋に足りないものは?』」

今まで一言も発さなかったオーリーが、ボソッと符丁らしい言葉を呟く。


「…『塩と胡椒と愛情』。」

そう言ってベッドの陰から現れたのは、フリフリのネグリジェを着た細身の…青年?

「製薬ギルド情報部のクリサリスです。もう、助けは来ないのかと思ってました…」

「状況を。」

「はい、この部屋は私とアン…ドレの部屋です。見回り等は夕方まで来ませんから、大丈夫です。」

「そのアンドレ…フォロー要員はどうした?」

「えっと…多分、屋敷の中のどこかに居ます…」

目に見えて表情が厳しくなるオーリー。

「まま、待って下さい、彼…というか彼女はもう、別人になってしまったんです。」

彼…女?(汗

「僕とアン…アンドレは、この館の警備に捕まったあと、妙な水薬を飲まされたんです。

 ソレがどうやら、問題の性転換薬だったみたいで……」

そう言いながら彼(?)は顔を赤くして、やや俯きながらネグリジェをたくしあげた。


は い て な い 。 その上 つ い て な い 。


あと、あんまり関係ないけど は え て な い 。

「身体の半分だけ、女性化する効果があった様で…僕は下半身が女性化しました。」

という事はもしかして。…事前に見せられた写真だと、かなり厳つい顔のマッチョだった筈。

…あの顔のまま女性化してたら…いやだなぁ…

「何を想像してるか判りますけど、多分それと真逆の姿になっています。アンは腰から上が女性化したんですけど、

 完全に原形を留めていません。幼い顔立ちで、可愛らしい感じです。」

「腰から上っていう事は、腰から下は?」

「…男性のままです。元々彼は蹴り技が得意でしたから、戦闘能力は変わってないと思います。」

「それで、何故アンドレは監禁される事なく、屋敷内をうろついてる?」

厳しい表情のままのオーリーが、不審げに尋ねた。

「それは、その…」

「…言えないのか。」

真面目で献身的な元偵察兵としては、例え身体を作り変えられたのだとしても、任務を果たさずオロオロしている

彼が許せないのだろう。オーリーが彼の立場だったらきっと、生きている限り、どんな手を使っても脱出しようとする。

…ライルとは別のタイプの馬鹿だ。

 そんな性格だし、イラつくのは判らなくもないけど、救出対象を萎縮させても仕方がないでしょ。

「オーリー、落ち着きなさい。」

「………」

「あの、言えないと言う訳じゃないんです、言うのが…恥ずかしいだけで。」

「恥ずかしい?」

「はい…」

顔を赤らめて俯く様子は、本当に上半身が男のままなのか疑わしいぐらい可愛い。


「彼はその…凄く立派なんです、下半身と言うか、男性のアレが…」

はぁ?何が言いたいのコイツ。

「それでですね、この館に居る女性と言うのは多かれ少なかれ、男性の男らしい容姿が苦手なんだそうで…

 それでも、その、性欲ってのはどうしても溜まるようで…」

呆れた…そういう事。

「…都合のいい性欲発散の対象として重宝されてる、という訳か。では、何故自由に出歩けるにも拘らず

 ギルドと連絡を取ろうとしない?」

だからその、今にも喰いつきそうな顔を止めなさいってば。

「そ、それがですねアンは…厳ついなりとは逆に、可愛い物が大好きなんです。猫なんて見かけようものなら、

 任務そっちのけでデレデレになるぐらい。

 僕の事もその…可愛がってくれましたし…」

ホモか。

「可愛ければ、性別とか気にしないみたいです…」

尻を押さえてモジモジすんな。マジでホモか。まぁこの人なら間違われて襲われそうな気がしなくもないわねー…

「…それで?」

「はい、自分自身も『可愛くなれた』ってすっかり浮かれていまして…もう『ここが私の生きる場所だ』って…」

「要は、寝返った訳だな?」

「はい…で、でも、薬でおかしくなってるだけかも知れません。僕もあれから腰から下が思うように動かないんです。

 何とかゆっくり歩くぐらいはできる様になりましたけど、走ったりはまだ…」

「うーん、頭、脳も変化してるんだとすれば、錯乱してる可能性はあるわねー…」

「…私達は何とも無いぞ?」

「古代のチート薬師が作ったトンデモレシピで出来た薬と比較しちゃ駄目でしょ…」



「あの、例の帳簿の場所は特定しました、事務棟の地下です。錬金関係の施設も同じく地下で、

 錬金関係の倉庫の一部を改造して工房にしているようです。」

…取ってつけたように言われても。まぁ、仕事はちゃんとしてたのね。

複数のメイドから聞いたと言う帳簿の隠し場所の詳細を聞いてから、クリスを置いて事務棟へ向かう。

…ここでじっとしてる限り危害は加えられないらしいし、禄に歩けない人間を連れ歩きたくは無い。


襲い掛かってくるかもしれない元味方がウロウロしてると思うと、気が重いわ…



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


コンコン。


「失礼します、お館様、評議会議長とそのお連れの方がお見えです。別室でお待ちいただいておりますが、

 どうなさいますか?」

「すぐに参ります、と伝えなさい。」

「はい。」


「え。ねぇクレア。 …私、折角の祭りなのに、オッサン共の顔なんて見たくないんだけど。」

「…お館様、お客様の前でぶっちゃけないで下さい。」

…このメイドさんも大変だなぁ…


「わざわざ毎年、気を使って裏の搬入口から、しかも付き人も全員女性で揃えて来てくださるんですよ?」

「えー…でもオッサンはオッサンだしー。」

「色々便宜図ってもらったりしてますし、先代からの付き合いなんですから、いい年して駄々こねないで下さい。」

「オッサンと話すより、セシル嬢と話してる方が幸せだしー。」

「あ、あのっ、私ここで待ってますから、御用事でしたら先にそちらをどうぞ。」


「宜しいのですか、ローレン嬢。この後ご予定などは・・」

「特にありませんし、正直、人ごみで少々疲れております。それに、ディアナさんとお話しするの、楽しいですし。」


ディアナさんが音も立てずにスッと立ち上がり、セシルに歩み寄る。

…殺気も何も無いので黙って見てるが…何する気だ?


「……女神キターーーーーーーーーーーーー!!!!」

「ひいっ!?」

そう叫びながらセシルを抱きしめる痴…ディアナ。


すぱぁん!!


そして彼女の脳天にめり込むハリセン。…もう慣れてきたよ…

「おっけー、マイヴィーナス!ささっと済ませて来るから待っててね!クレア!お二人にお茶をお願いね!」

「…受け賜りましたから、さっさと行ってくださいセクハラ様。」

「はっはー、任して!」

…言うだけ言って出て行っちまった…


「ローレン様…」

すっかり目が点になっているセシルに、クレアさんが深々と頭を下げながら言葉を紡ぐ。

「主の無礼、どうか平にご容赦下さい…」






微妙な空気はなかった事にして、雑談を続けるライ&セシル&ディアナ。

暫くするとモブメイドが評議会の議長と議員数人が挨拶に来た、と呼びに来る。

ディアナとクレア退室、モブメイドは廊下に居るから用があれば呼んでくれと言って同じく退室。

精霊の耳打ちで聞いていた内容をライに話している途中で、ドアがノックされる。

お茶を持ってきた、と入ってきたのが、金髪金瞳ツインテール、足元までのドーム状のスカートを履いた娘アンちゃん。

…貴様かぁぁぁぁぁ!と正体を看破したら、『ここが私の世界なのぉぉぉ!!』と火病って襲い掛かってくる。

ライが小型拳銃を抜いて迎撃しようとするんだけど、元々白兵戦はあんまり得意じゃないので、

善戦はするけど蹴り倒される。

で、セシルに蹴りかかろうとした所で精霊の盾(自動発動)に弾き飛ばされる。

『盾』ってぐらいなので、普通はガッキーンと受け止められて終わりのはずなのに、

もう大林君が吃驚する位盛大に吹っ飛ばされてる。その上、壁に激突する事、数回。

セシル視点だと、普通は穏やかでほぼそこに居るだけで何もしない筈の家屋の精霊が、

『うちのお嬢に何しやがんだゴルァ』と殺る気満々で攻性防壁を張る姿が。(もちろん頼んでない)

セシルが認識できない後方、上方からの攻撃も精霊さんが複数でがっちりガード。


脳震盪でも起こしたのか、心が折れたのか、床に転がったままグスグス泣き始めたアン。

そこにディアナ&クレアさんが戻ってきて状況把握、生きて帰れると思うな(性的な意味で)と恫喝。

ところがどっこい、見ていたかのようなタイミングで『証拠確保、脱出する』という連絡が。

ライが怪我をして、ちょっと機嫌が悪いセシルが『精霊の礫(勝手に威力が超特盛化する奴)』を壁に向けて発射、

壁に直径5mぐらいの大穴が開いた所で「…私、手加減って苦手なんですよ。(微笑」

で、作戦終了。


ディアナ商会は莫大な制裁金とパチモノを作った薬師の身柄と、全レシピの引き渡しで決着。

クリス&アンは結局、ギルド諜報部を懲戒解雇>ディアナが雇用。

アンがライに怪我させた件は薬の副作用による錯乱と言う事でお咎めなし。


パチモノ性転換薬は男性を半女性化するだけで、元に戻す効果がなかった。

女性が飲んだらフタ化(時限)とかだったら凄くエロゲ。

身柄を引き渡された薬師は、監視付きで元に戻す薬の開発をする事に。お手本あるわけだし。


商人がPTMに一目ぼれするって展開も面白いかも知れん。





オーリー恋する乙女化。

任務終了後帰ってきたら『こんなにアッサリ解決してくるとは思わなかった』と言われる。

戻ってくるのが早すぎて、元に戻るための性転換薬の準備が出来て無い、と。

材料はあるんだけど、設備が使えない。

工業系ギルドの接着剤・特殊塗料や医療院の医薬品等、製薬ギルドの設備で無いと作れないものがある。

唯でさえ性転換薬の注文が殺到していたため、その辺の薬品の製造が後回しにされていたのだが、

いい加減、これ以上遅らせると人命にかかわったり、工業生産に支障が出るレベルになってきて、

他ギルドから王様経由でクレームが来た。

なので、他ギルドから依頼の『国家の維持に必要な』薬品の生産が終わるまで性転換薬は作れない。

在庫は1人分だけ>体型(と脳)が変わったため、長銃の扱いに支障をきたしていたライルが服用。

セシルとオーリーは職業柄あんまり困らないので、薬ができるまで2ヶ月ほど待つ事に。


その間に来てしまう発情期。

今までは鎮静剤で抑えていたんだけど、その薬が男性用だったので、女性化した為にあんまり効かない。

むしろ増幅されてすっかりにゃーんな状態になってしまい、ライルと逆レ気味に関係を持ってしまう。

人類種と獣人種の間には、まず子供はできない(天文学的な確率だけど、一応前例はある)ので、

「肉バイブとして世話してやんよ♪」というライルに対し、

「発情期の間だけだ、おかしな気を起こすなよ!?」と反発してみても、『やっぱりチンコには敵わなかったよ…』

と、完全に虜に。

長年一緒にあちこち渡り歩いてきた事もあるし、脳が女性化していることもあって、

肉体だけではなく、精神的にも虜になってしまった…という所でお薬到着。


男に戻って、今まで通り接しようとするんだけど、気がつくとライルの唇に目を奪われていたり、

夜に突然『抱きしめられたい』という衝動に襲われて悶々としたりと、すっかり憔悴。

旧知の仲でもある製薬ギルドの長に、『苦しまず逝ける薬くれ、飲むから。』と相談してギルド長、珈琲スプラッシュ。

ここまで薬品関係の法整備が進んでる国だからして、ファンタジー世界とはいえ、危険薬物の管理は徹底してる。

早々手には入らないから、作ってる奴の親玉に貰おう、って発想は解らなくも無いがちょっと待てと。

妹さんの『自分のために生きて欲しい』って遺言も、オーリーが仕事で見てきた暗闇も知っているギルド長としては、

何とか幸せなって欲しい。

んで、説得の末、性転換薬プレゼント。


「本能に操られるままでは無く、私の意志で、私の思いで貴方を愛したい、愛して欲しい…」

とライルに告白して、激しくイチャラブというのはどうか。…書けるのか俺。


オチとしては、設備増設により量産出来るようになった性転換薬を、いくら飲んでも男に戻れないセシルorz、

仕方ないから、里帰りして親に女になっちゃったって報告に行こうか、という流れかな。

んで、セシルの親の秘密関係の話に繋いで。




薬の製法:特定モンスターの希少部位を触媒(使っても減らない)にして、

錬金術ギルドの本部にしかない高度な実験設備を使って、伝説茸酒を原料に製造。


伝説茸酒の製法:セシルの旧友グリが、レプラコーンの隠れ里の、更に奥の古代の錬金術師の遺跡の最深部で、

世界で唯一(だろう、多分)1000年に一度しか見つからないとされる伝説の変種茸を原木栽培している。

何でわざわざ遺跡の最深部でやってるかというと、温度と湿度が丁度いいから、らしい。

それをグリの奥さんが加工したものが『伝説茸酒』。


それなりに沢山作れるが、6割が旧友の晩酌に、3割が隠れ里のご近所に配られる為、薬の原料にされるのは少数。

なので薬は非常に高価。

PTはレプラコーンの旧友から酒を分けてもらい、材料持込で調合して貰えるので格安(手数料程度)。

そもそも、レシピをギルドに持ち込んだ本人だし。


変異種ではない通常の茸酒は各種妖精族の間で当たり前に流通している。(地元の茸を使った、地酒的な感じで)




薬関連のサブシナリオ『もう一部屋栽培室が欲しい』

件のレプラコーン(グリ、と名乗る)から、セシル宛の手紙が届く。と言っても書いてあるのは文字ではなく、

メッセンジャー妖精を呼び出す簡易召還陣。

例によってグリからセシルの性別は聞いているはずなのに女性と間違う妖精。

この時、趣味が茸の栽培(と、茸酒)が趣味だ、とセシルの口からPTに伝えられる。

魔法に詳しい奴を連れて来て欲しい、という依頼だった。

魔法装置の研究とかもしてる魔法使いがPTに居るので、全員で観光がてら行くことにする。


現地に行くと、遺跡の未踏エリアに丁度いい部屋があるっぽい。

魔法の罠等があると思うので魔法使いを連れて来い、と言う事らしい。

途中、遺跡名物巨大ネズミとか罠に対処しながら進む。

罠が多く、オーリー大活躍。それに反比例するように、機嫌が悪くなっていくジェシカ。

曰く『魔法系の罠が一切無い、あるのは照明用のありふれた魔法装置等ばかりでつまらん』と。

オーリーも不審げに『機械式、しかも毒を併用したものがやたらと多い。』

毒・ガス類は劣化しているからセシルの解毒魔法で消せるけど、劣化していない状態だったら

専用の解毒剤が無いと対処できないレベルのものだ、とも。


「普通、こういう遺跡にある毒ってのは『恒常化』の魔法で劣化したり流れたりしない様になってる。

 が、この遺跡の罠にはそれがされていない。恒常化の掛かった毒矢の類は、いい値で売れるんだがな。」

「この時代の遺跡で、魔法が使われていないってのは珍しいですね。元々の製作者が居なくなった後に、

 別の誰かがこの遺跡を使っていたのでは?」

「わしらの隠れ里の更に奥の、こんな辺鄙な場所をか?わしらがここに住んで300年ちょっとだが、

 その間、ここに他所者が住み着いていたって話は聞いた事が無いぞ。」

グリが不審げに言う。

「仮に製作者以外の住人が居たとして、わざわざ魔法が掛かった装置を撤去して、機械式の罠を

 設置しなおす意味も判らんしな。」

…と、オーリー。

「めんどくさい。地図にある『良さそうな部屋』って、資料室なんだろ?なら、この建物の資料もあるんじゃないか?

 そこまで行って、探索してからまた悩もうぜ。」

「…そうですね。」「了解」「ふん。」「あんまり期待しない方がいいかなぁ…」






セシル:肩上までの跳ね毛、やや青み掛かった銀髪。

フルネームがセシル・ローレン。リーリア、という山間地の田舎町出身。

身長が150cmちょっとで細身、女顔というショタ好きホイホイ。

服もだぼっとした余裕のある服(男らしくない、細い身体のラインが恥ずかしい・隠せるので)がを好むので

益々女と間違われる。

耳のとがったハーフエルフだが、何故か両親の耳は尖っていないらしい。

密かに100歳超えてます。(なので、結構変な所に知り合いが居たりする。)

精霊術師で、各地の精霊信仰についての伝承を研究している。

伝承には詳しいくせに、人間の歴史には疎いらしい。

一時、大きい町の神殿で住み込みで働きながら研究していたら、そこの偉い人に気に入られて推薦され、

神官の試験を受けて、資格を得た。(葬式・結婚式・出生時の儀式等を行える)


女性化しても乳以外、外見は殆ど変化無し。

常時精霊視覚発動、『精霊の盾』自動発動、自己治癒自動発動、体液に治癒・状態異常回復効果あり。

精霊魔法の威力が一桁Up、精霊魔法による被害が一桁Down、精霊・妖精ホイホイ発動。

『乳サイズは爆』


セシルの両親。

父ルドルフ・ローレンは150年ぐらい前に活躍した英雄。多分戦死(行方不明)って事にしてかーちゃんと駆け落ちした。

 真相は一緒に戦ったPTMと、協力者数人ぐらいしか知らない。

母は『失われし生命の大精霊』こと、『かーちゃん』。

本名は封印してあるため、ルドルフと彼女の旧友以外知らない(セシルも知らない)し、

彼女の許可した人間以外はその名前を認識する事もできない。(目の前で言われても聞き取れない)

眷属である生命の妖精が『その肉を食うと不老不死になる』というデマのせいで、

激しくR18Gちっくに死に絶えたのを悲しみ、自らの名前を封じて姿を消した。

(実際には、体液等に治癒・解毒等の効果があるぐらいで、寿命を延ばすような効果は無かった。)


なので、この世界の回復魔法は非常に初歩的なものしか使えません。

高度なものも術式はあるけど、発動しません(術式に組み込む、大精霊の名前が封印されていて発音できない為)

精霊たちも、大精霊が人間に力を貸したがってないのが判るので、簡単には手を貸してくれない。

できるのは、外傷の治療、毒消し程度。内蔵まで損傷するような大きな怪我を直せる魔法は、現在は使えません。

そのせいか、医療・薬学は発展してます。(必要に迫られて)

薬学ギルドがやたらと力を持ってるのも、それを保護する制度が充実してるのもそのため。


普通は大精霊(他の世界で言えば神)と人間の間に子供ができるなんて事は無いんだけど、

万物の源、精霊魔法の行使の際の代償としても使われる『生命力』を司る為、子供ができちゃった。

ルドルフが現在も40代前半のの姿で生存しているのも、かーちゃんの生命力を間近で受け続けている為。(性的な意味で。



ライル:赤毛のオールバック、顔はちょっとごつい。

身長は170程度でガッチリ体系。体育会系おっぱい星人。

『おっぱいに貴賎なし』が座右の銘なので、ちっぱいでも巨乳でもOK。

傭兵、というより武装した何でも屋。主武器はライフルとハンドガン、サブに手斧。

    長期行軍に適した革鎧と厚手のマント装備。

元々猟師の息子だったらしい。


女性化すると、髪型は変化無し、何処にでも居そうな陽気なおねーちゃん、になる。

元々鍛えた肉体に自信があった為か、裸を見られても気にしないというか、隙あらば脱ぐ。

『…(鏡で自分の身体を見て)筋肉つけ過ぎかなぁ…』だそうです。

『乳サイズは筋肉補正が無いと 並 』

オーリー:黒毛に手足の先と首・胸元の一部が白い、猫獣人。全身もふもふ、顔はちょっと人っぽい猫。

 身長は160位、細身で引き締まった体形。体脂肪率が低く水に浮かないが、泳げる。

 所々にハードレザーが縫い付けられた濃紺の野戦服を着ている。

 武装はクロスボウと刃渡り40cm程の曲刀。

 他に拳銃に投げナイフ、ワイヤーソー等を服のあちこちに色々仕込んでいる。

 暗視能力あり、敏捷性・瞬発力に長ける、聴覚・嗅覚にも優れるという、種族特性を生かした偵察兵。

 (RPGにおける盗賊的な職業)

 

発情期になったら、その地域の成人となら誰とでも子作りOK、生まれた子供は、その地域全体で育てる、という

激しくフリーダムな部族で生まれた為、親は不明。

同じ時期に生まれた、病弱な妹(血縁不明)の治療のために人間社会へ出てきたが、高額な治療費を稼ぐ為に、

手っ取り早く稼げる軍に志願、諜報部に配属され、種族の特性もあってガンガン稼いでガンガン出世した。

が、社会の暗部を見せ付けられるような仕事ばかりで精神的に参っていたのも事実。

そこに、高度医療の甲斐も無く、妹が病死したのを機に、妹の遺言でもある『自分のために生きる』為に軍を退役、

その後、傭兵をとしてあちこち放浪していた時にライルと知り合う。


その時のコネで、薬学ギルド長とは知り合いだったりしてもいいかな。

乙女化イベントの相談相手には良さそうだし。ギルド長。


女性化すると、綾波っぽい髪型の黒髪で、細面・ややきつめな目つきのクール系美少女になる。

肘から先、膝から下が毛皮に包まれていて、猫耳・尻尾もあり。それぞれ根元が黒、先が白。

裸を見られても余り気にしないが『毛皮が無いと言うのは何か、落ち着かんな』だそうです。

『乳サイズは 貧 』


ジェシカ:黒髪ロング(切るのが面倒で放って置いたら長くなった、らしい。手入れはしている)

 身長172のモデル体型紋章魔法使い。マジックアイテムの研究家。

 大型の魔法装置、遺跡の研究が講じて、建築物にも詳しくなった。

 胸もそこそこ大きいが、実用本位の女っ気の無い服装を好むので、胸元が開いたような服はまず着ない。

 精霊魔法も初歩程度は使える。紋章魔法は紋章を刻んだ物や触媒が必要(お金が掛かる)なので、

 お金には煩い。PT共有資産の金庫番でもある。お買い物上手。

『乳サイズは 巨 』


シンシア:金髪碧眼ショートヘアの猫獣人ハーフ(?)、メス。

 猫耳と尻尾が生えていて、瞳孔が縦に割れてる(暗視能力あり)以外は人間と変わらない。

 とても剣士には見えない、ラフなパンツルックにバスタードソード+30cm程度のダガー。

 140ちょっと、と言う身長もあいまって、下手しなくても玩具の武器を持った子供と間違われる。

 ルッキーニ+エーリカな性格。

 おっぱい好き、ほっとくと寝る、気がつくと居なくなってて何かやらかしてる、というお子様脳。

 だが有能、というかチート。

『乳サイズは…あるんだけど無い、無いんだけどある、程度。一応スポブラ装備。』


妖精・人間・獣人のいいとこ取り、を目指して作られた合成人間。実年齢3歳。

ライルと初めて会った時は、実は初の実践投入試験(要人の暗殺)の時だった。

要人が作戦エリアを通るまで待つのが我慢できなくて、勝手に街中をふらふらしていた所を迷子として保護した。

親とか家とかいう概念自体あんまり良くわかってなかった>孤児か育児放棄された子、と勘違いして、

そのまま連れて行って、現在に至る。

シンシアを作った組織が今どうなっているかは不明。



服飾職人あいうえおか6人組。

大前提:全員百合or両刀。

服飾のギルドがあるので、その配下の専門学校で知り合った娘達が集まってやっている服屋です。

元々は既製服の店頭販売が主だったが、『若い娘6人の店』と評判になって野郎が殺到したため、

オーダー専門、サンプル服を持っていって寸法直し、又はデザインから全てオーダーのみの店に切り替えた。

カリーナのデザインとエリスンの刺繍、他の娘達の丁寧な仕事もあって、地元では評判。

ただ、オーダーという性質上、値段が高い。


 アリス :リーダー、濃い緑の髪。客先回り・採寸担当。タチだが隠れM

 専門学校で知り合ったネコ達と離れがたくて、親の店を継いだ、服屋の次女。

 長女は生地等の仕入れであちこちを飛び回っているらしい。多分登場しない。

 イリアナ :双子その1、茶髪。裁断・お針子担当。二人まとめて誑し込まれた、アリス・エリスンより1歳年下の双子。

 ウルスラ :双子その2、赤毛。同上

 エリスン :突っ込み担当。普段はお針子、仕事があれば補修か刺繍担当。アリスと同い年。

 アリスに最初に垂らしこまれた。アリス以外の娘とするのは抵抗があるらしい。真面目。

 オルレシア(レティ:外回りが多いアリスに代わり、職場を仕切るお姉さん。濃い目の茶髪。アリスより1歳年上です。

   洗濯・ボタン付け等の仕上げと、補修が専門。タチ。怒らせるとドS。

 カリーナ :デザイン・型紙起こし担当。天才的なデザインセンスと製図能力を持ち、

 この店の評判を支える、欠かせない人材。だがドM。

 アルビノ(銀髪赤眼)で肌が弱く、昼間はあまり外に出られない。

 放って置くとセルフ緊縛プレイをしながら仕事をして窒息しかけたり、

 下半身裸+大量の洗濯バサミをつけたまま仕事をして風邪を引いたりと

 お馬鹿な真似をやらかすので、彼女の仕事場兼用の私室だけは、鍵が破壊されている。

 彼女が言うには『背徳的な気分のほうが仕事が進む』らしい。

 客先では流石に自重する。


商人ディアナ・カリオス

 腰までの黒髪ストレート、黒目。長身で、可愛いというより綺麗、というタイプ。

 年齢29歳。

 ガチ百合。黙って座っていれば美女で通るんだけど、口を開けばセクハラトーク、

 立ち上がったと思えば辺りの女性の乳尻太腿を撫でたり揉んだりしゃぶったりしようとする。

 非常に残念な美女。

 変態淑女的な性格で、女性が居れば身体には触れるし口説こうとはするけど、

 恋人ありの相手にはセクハラ止まり、本気で嫌がる娘にはボディタッチ無しで口説くに止める等、

 駄目な人なんだけど一線は越えない。


 仕事に関しては有能で、裏にも表にも顔が利く。

 というか裏ルートで女の子を物色>変態淑女的に愛でる>そのまま自発的にメイド等として館で働き始める、

 というのが日常茶飯事と化している。その為、館に居る人間は全員女で、出自が非常にユニークな娘が多い。

 勿論、普通に町の職業斡旋所から紹介されてきた、ノンケの娘も居ます。


長いスカートのメイド:クレア

 髪型とかは考えていないけど、エロゲで良く居る、長身のツンデレ系剣道タイプかにゃー。するとポニテか。

 28歳、ディアナとは学生時代の先輩後輩の間柄。

 警備主任兼、ディアナの護衛兼、館のメイド達の人事・統括もこなす、芸多彩なメイド長。

 スカートの形状は、長いエプロンを前と後ろに付けてる感じで左右がスリット状になっています。

 (重なり合ってる部分があるので、立っている時は普通のスカートに見える)

 その内側に武器類を仕込んである。(ハリセン・多節杖・ダガー・投げナイフ数本等。)


小柄なメイド:名前考えてない

 露出癖、自縛癖。貞操帯と縄ブラ(日によって股縄と縄ブラ)標準装備。

 ノリと勢いで下半身むっちりにしたから、上半身が残念って事にしよう。今決めた。

 …むっちりした尻が紅葉まみれとか、鞭跡とかエロいよね。…よし、被虐癖も付けよう。

 というか今回の拘束事件でさらに性癖に目覚めるとか面白いかも知れん。んで、オーリーに懐く、と。

 髪は…ショートとかツインテとか、幼く見える髪形…前髪ぱっつんのおかっぱとかどうだろう(提案)

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TSハーフエルフ(仮) あれっくま @AREX507

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