第40話 残った課題

 残る課題はあと一つ。


「この絵、どうしようかな」


 凛ちゃんが修復してくれたキャンバスを前にしながら、腕を組む。


「ごめんなさい。修復してたら、どんどん菜月さんの絵柄じゃなくなっちゃったみたい」

「ううん、十分だよ」


 凛ちゃんのおかげで、コンクールの締め切りまでには描き直せるかもしれない。

 だけど私が神山くんを好きになってしまった以上、きっとどんなに手直しをしても日向先生はOKをくれないような気がする。


「締め切りまで、だいたい十日かあ……」

「あたしに出来ることなら、なんでもするわ」


 うーん。でも、一人で描くには限界がある。

 また一から描き直したら、最低でも完成までに一ヶ月はかかる。

 だけど、亜衣に会うためにはどうしてもコンクールに出品しなくちゃいけない。

 なにか、いい案がないかな? 

 というか、題材から考えなおさなきゃ。

 テーマは『友だち』だから、それにぴったりの絵を描くにはどうしたら……。

 そのとき、ピン! とひらめいた。


「そうだ。合作しようよ、凛ちゃん」

「合作!?」

「友だち同士で絵を描くのも、テーマに合ってると思わない?」

「……たしかに! 二人で描けば、時間も短縮できるわね」

「やろうよ、凛ちゃん!」

「ええ! やりましょう!」


 私たちはうなずきあうと、同時にスケッチブックへ飛びついた。


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