第40話 残った課題
残る課題はあと一つ。
「この絵、どうしようかな」
凛ちゃんが修復してくれたキャンバスを前にしながら、腕を組む。
「ごめんなさい。修復してたら、どんどん菜月さんの絵柄じゃなくなっちゃったみたい」
「ううん、十分だよ」
凛ちゃんのおかげで、コンクールの締め切りまでには描き直せるかもしれない。
だけど私が神山くんを好きになってしまった以上、きっとどんなに手直しをしても日向先生はOKをくれないような気がする。
「締め切りまで、だいたい十日かあ……」
「あたしに出来ることなら、なんでもするわ」
うーん。でも、一人で描くには限界がある。
また一から描き直したら、最低でも完成までに一ヶ月はかかる。
だけど、亜衣に会うためにはどうしてもコンクールに出品しなくちゃいけない。
なにか、いい案がないかな?
というか、題材から考えなおさなきゃ。
テーマは『友だち』だから、それにぴったりの絵を描くにはどうしたら……。
そのとき、ピン! とひらめいた。
「そうだ。合作しようよ、凛ちゃん」
「合作!?」
「友だち同士で絵を描くのも、テーマに合ってると思わない?」
「……たしかに! 二人で描けば、時間も短縮できるわね」
「やろうよ、凛ちゃん!」
「ええ! やりましょう!」
私たちはうなずきあうと、同時にスケッチブックへ飛びついた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます