第27話 不穏な呼び出し

「さっきの絵、神山くんよね?」


 美術準備室に入るなり、ストレートに切り出された。


「なんでわかったの?」

「気づいてなかったの? あたし、何度も声をかけたのよ」


 ぎゃー! 絵に集中しすぎていて、ぜんぜん聞こえてなかった!


「ど、土曜日に、お芝居を見せてもらったから……」

「お芝居? そっか。神山くん、まだ演技を続けていたのね」


 そうだ。凛ちゃんはオーディションのことも知らないんだった。


「なんで、そういう大事なこと、あたしに教えてくれないのかしら」

「凛ちゃんが心配してたってことは、神山くんに伝えておくよ」

「なんかヘンな感じ。前は、あたしが彼の一番の友だちだったのに」


 うう、よけいなことを言っちゃった。


「凛ちゃん、ごめん。私……」

「だから今度は、三人で遊びに行きましょう?」

「え?」

「あたしたち、お友だちでしょ? 仲間はずれなんて、ひどいわ」


 ぽかん。


「そ、そうだよね。私たち、友だちだもんね」


 全身から力が抜ける。よかった、凛ちゃんは最初から怒ってなかったんだ


「それより。菜月さんがコンクールに出品するなら、今度こそ本当にライバルね」

「う、うん。一緒に頑張ろうね」

「ええ。絶対に負けないわ」

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