73『理論はシンプル。エンタメが内容を勝手に複雑化させる』
「体重のコントロールと言うのは究極的にはシンプルで、摂取したカロリーと、消費したカロリーとの差、で決まります」
とりあえず場が持たない、と言うか秋水の胃が持たないので、自動販売機から秋水が飲み物を買ってきて、2人に渡してから秋水の講義、ではなく女子中学生からの尋問が再開された。
ちなみに、紗綾音は炭酸のジュースで、沙夜はホットココアである。
そして秋水は何故かブラックコーヒーを選んでしまい、買ってから何故自分はカロリーがない飲み物にしてしまったのかと崩れ落ちそうになった。今日の秋水は随分とナイーブなのである。
ジュースを受け取った紗綾音は、わぁい、と無邪気に喜んで、ホットココアを受け取った沙夜は、お金が、と財布を取り出そうとしていた。そういう所だぞチワワ。
奢りだから、と軽く言って秋水は椅子に座る。
「摂取したカロリーが消費したカロリーを上回ったら太ります。逆に下回れば痩せます。原理はこれに尽きます」
「そうなの?」
「はい。貯金と一緒ですよ。1万円貰ったら、使う金額が1万円より少なければ貯金できますよね? それと同じです。貯まるのはお金ではなく脂肪なだけで」
「太る方で説明されてもなぁ……」
「1万円貰って、使う金額が1万円を超えてしまえば、自分自身の貯金を取り崩しますよね? それと同じで、摂取したカロリーより消費するカロリーの方が多ければ、自分自身のカロリーの貯蓄、つまり脂肪を取り崩さざるを得なくなるのです」
「おお、そっちの方が分かり易い」
ぷしゅりと早速ジュースのフタを開けている紗綾音は、感心するように、そして興味深そうに聞いてくれている。授業態度もそれくらいならば先生も喜ぶだろうに。
一方で、ホットココアの成分表示をマジマジ見ている沙夜の方は、何だか鬼気迫るものを感じてしまい、今日は秋水の方が腰が引けてしまっている。いつもとは立場が逆転してしまった。
早くこの店から立ち去りたい。
と言うか、この店はバイク用品を取り扱っているバイクショップである。
何でこんなところでダイエット講座的なことを話さないといけないのか。
「……ちょっと待って棟区、異議あり」
「意義を認めます。弁護人、どうぞ」
すっとホットココアから視線を外して秋水を見てきた沙夜が、何故か裁判所風味に聞いてくる。
その裁判所風味を感じ取ったのか、続いて何故か裁判長風味に紗綾音が進行を努めた。引っ込んでいて欲しい。
「それって脂肪の話だよね? 例えばほら、筋肉とかだって増えるじゃん。筋肉ってアレ、ほら、えっと、運動して大きくなるんだから、カロリー関係ないよね?」
「答弁どうぞ、被告……きゃー」
誰が被告人か。
とりあえず茶々を入れてうるさい紗綾音の頭をぐりぐり撫でる。
しかし、残念な話だが、現実というのは残酷な第2弾開幕である。
「筋肉を大きくすることに運動は欠かせませんが、残念ながら運動だけでは筋肉は肥大化しません。タンパク質などの栄養素が必要になります」
「えっと、あれか、プロテインとか鶏むね肉とかか」
「よくご存じですね。そうです、そうやってタンパク質などを使い、使い込まれた筋肉を修復と強化を行って、筋肉は大きくなるのです」
良く誤解されるのだが、筋トレそのものは筋肉を成長させない。
むしろ、筋トレというのは筋肉を傷つける行為であり、有酸素運動に至っては最終的に筋肉を分解してしまう行為である。
筋肉を大きくするのは実際には休息を取っている時間であり、その時に栄養を使って筋肉を大きくしているのだ。だから筋肥大に必要なのは、1に休息、2に栄養、3に筋トレ、とか言われる。
筋トレだけでムキムキになるなら、ボディビルダーは誰も苦労していない。
そして、今回問題なのは、その栄養である。
「……待って、つまり、タンパク質のカロリーが?」
「はい。タンパク質は1gで4キロカロリーですね。つまり筋肉の成長もカロリーの話からは逃げられません」
「かは……っ」
再び沙夜がテーブルに沈んだ。次はどうしたと言うのだろうか。
「やめて棟区くん、死体蹴りは良くない行為なんだよ、追い撃ちは慎重にしてあげて」
「それは申し訳ない……で、この場合はよろしいのですか? 何だか良く分からない状況ですが」
「まあ、私はなんか弱ってるサヨチ見てちょっと楽しくなってきてるけど」
「鬼ですか?」
ホットココアを持ったまま撃沈してしまった沙夜を庇っているのか庇っていないのか良く分からない悪魔、ではない、紗綾音を見てから、秋水はかしゅりとブラックコーヒーのフタを開ける。
カロリー計算なんて基礎中の基礎なんだけどなぁ、と思いつつコーヒーを一口飲んで、ふと思いつく。
「そして糖質も同じく1gで4キロカロリーです」
「ぉぁ……っ」
「棟区くん、今のは本当にただの死体蹴りだよ?」
テーブルに突っ伏したまま沙夜は奇妙な鳴き声を上げる。さっきから何なのだろうか。
所々でゲスいことを口にしながらも、紗綾音はよしよしと沙夜の背中を撫でている。
そして、その目の前には厳つい大男。傍から見たら絶対に誤解を受けそうな光景である。早く帰りたい。
「あの、渡巻さん」
「おおっと、一応だけど私だってダイエットしてる身なんだからね。あんまりキツい言葉パスされると泣いちゃうからね」
「いえ、その、竜泉寺さんは、どうしてこんなにダメージを負ってらっしゃるので?」
「……あー」
どうにも不必要なまでに心理的ダメージを受けている沙夜が何事なのか、その事情を知っていそうな紗綾音の方へとこそっと聞いてみれば、紗綾音は何とも微妙な表情である。
若干言い辛そうに、えーっとね、と言葉を一度濁してから、ちらりと沙夜の方を見て。
「サヨチの趣味、お料理」
その一言で秋水は察してしまい、あー、と間の抜けた声を上げる。
それはそれは、なんと言って良いのやら。
「ちなみに得意なレパートリーは中華系」
よりにもよって脂質糖質パラダイスの中華料理と来たか。中国料理ならまだ良かったものを。
しかし、手料理であるならば、カロリーの調整はいくらでも出来ると思うのだが。
それは勿論、意図的に油をギトギトにすることも出来るのだが、それとは反対に油の使用を控えたり、糖質の多い食材を避けたりすれば良いだけの話である。
カロリーの話をここまで気にするなら、それくらいしても良さそうなのに、と秋水はちらりと撃沈している沙夜を見る。
「あと、サヨチには食べ盛りな弟くんがいてね、脂っこいの大好き」
「そんな無理に弟さんの食事に合わせなくても……」
「家族全員分一気に作った方が楽なんだよ!」
ばこん、とテーブルを叩きながら沙夜が跳ね起きた。怒りの内容が主婦の発言である。
秋水と紗綾音は、そんなこと言われてもな、みたいな表情でお互いの顔を見合ってしまう。
「で、他は!?」
ぱんぱんとテーブルをタップして視線の外れた秋水の気を引く。機嫌の悪いウサギだろうか。
はい、と姿勢を正しながら秋水は素直に沙夜に向かい合う。紗綾音の方は苦笑いである。
「他にカロリー制限で気をつけるのは!?」
「ないですよ」
ダイエット的な話題に凄く食い付いてきているところで大変申し訳ないのだが、秋水の方はすでにネタ切れである。
そもそも秋水はダイエットに対してあまり興味がなく、そこまで詳しいというわけではないのだ。むしろ興味があるのは増量の方だ。
続きを促してくる沙夜へしれっと答えてから、秋水はコーヒーをもう一口飲んだ。
「……え、ないの?」
「ないですよ」
きょとんとしてしまった沙夜に対し、秋水はもう一度同じ言葉を繰り返して念を押す。
「食事のカロリーは、脂質が1gに9キロカロリー、糖質とタンパク質が1gに4キロカロリー、その合計値です。それ以外にカロリーはないと考えて下さい」
もう一度コーヒーを流し込んでから、秋水は早々とカロリーの話をまとめに掛かった。
いや、まとめるも何も、カロリーコントロールの話などタンパク質と脂質と糖質の点さえ押さえておけば、後は消費カロリーの話しかないのだ。
「でもほら、ビタミンとか、えっと、カルシウムとか他にも栄養素ってあるじゃん? あれにもカロリーあるんでしょ?」
だと言うのに、不思議なことに紗耶の表情は何処か不満気である。何が不満だと言うのか。
いや、まあ、何となく気持ちの部分は分かっている。理解出来ているかどうかは別として、分かってはいる。
ああ、母がダイエットをするとか言い出したときのことを、思い出す。
ダイエットには秋水の知らない色々な手法がある、らしい。
野菜を先に食べると良いとか、この栄養素が代謝を促進させるだとか、痩せやすくなる食材があるだとかなんだとか。
何だかそんなことを言い出した母を、同じくダイエットをいきなり始めた妹が興味津々といった様子で聞いていて、父は俺の夕飯終わったわみたいな顔をしていた。
ちなみに秋水は反射的に鼻で笑ってしまった。
野菜を先に食べると良いのか。そうか。口に入れた物が一瞬で消化されて栄養吸収のフェーズに入るなら有効かもな。ちなみにそれ血糖値とか満腹感の話じゃないか。
代謝を促進させる栄養素。そうか。栄養不足になるよりは良いけれど、代謝によるカロリー消費を目的にするなら早足で100歩くらい歩いた方が効率良いけどな。なになに、体温を上昇させるとな。ならやっぱり歩けよ。
痩せやすくなる食材って何だ。それは要するにタンパク質か水分か食物繊維ということで、腹持ちが良くて食事量を抑えられるから摂取カロリーを下げられるという意味であり、痩せやすくなる、という意味では決してない。国語の授業かよ。
そもそも痩せるも太るも行動による結果だ。食材のせいにするんじゃないよ。小手先のテクニックの前に根本を見直すのが先じゃないか、わはははは。
笑いながらツッコミを入れる秋水の背後で、ゆらりと母が立ち上がり、妹がアブローラーを振り上げていたのを秋水は気がついていなかった。父は脱走していた。薄情者め。
しこたま家庭内暴力という児童虐待を受けたと言うのに、それすら懐かしい。
どうでも良いようなことを思い出し、一瞬だけ秋水は遠い目をしてしまったが、おい話聞けよ、みたいにぷくっと脹れた沙夜の表情を認識して慌てて意識を戻した。
何故だろう。
最近、妙に、昔のことを、思い出す。
「それらにカロリーはないですよ。PFC……タンパク質と脂質と糖質に気をつけていれば、カロリーコントロールは完璧です。もう少し気をつけるなら、その3つの栄養バランスが何とか、と言う話もありますが、それは1つ上級の話ですから」
「炭水化物……そう、炭水化物は? なんか昔、体のエネルギー源は炭水化物って聞いたことある!」
「炭水化物は糖質と食物繊維をまとめた呼び方で、エネルギー源となるのはその中の糖質なので、言ってる意味は一緒です」
「何でそんな複合名称なんて使うのさ!」
「カルシウムやマグネシウムや鉄分をまとめてミネラルと呼ぶじゃないですか」
「……ほんとだぁ」
しゅんとなる沙夜を、何故かケタケタと紗綾音が笑っている。
その様子を見ながら、と言うよりも、沙夜にカロリーの説明をしながら、秋水は何となく納得してしまった。
何でこんなところでダイエット講座的なことを話さないといけないのか、なんて思っていたのだが、なるほど、何だかんだと言ってこれは自分自身のためにもなっている。そんな納得である。
冬休みで太ってしまったと嘆いていた紗綾音から、どうやって太ったのか、何を食べていたのか、そんな話を聞きたかったのだが、冷静に考えてみれば、そんな話は聞くまでもない。
カロリーコントロールはPFCコントロール。以上である。
太るも痩せるも、その基礎となる理論はシンプルなものなのだ。
太りたいなら摂取カロリーを増やし、消費カロリーを減らせば良いのだ。
ただ、秋水は筋肉を落としたくない。
なら食え。
それだけだ。
そもそも、『簡単な太り方』 で検索を掛けた内容は、ほとんど秋水は熟知している内容だった。
食べる内容のカロリーを増やすのだ。とにかく食うんだよ。これである。
ああ、だったらカロリーのないブラックコーヒーじゃなくて、おしるこを選ぶべきだったか。水分補給の観点からすれば頭のおかしな話であるが。
ふ、と秋水は小さく笑った。
お、と紗綾音がそれを目敏く見つけた。
「おっと棟区くん、なんか嬉しそう」
「そうですか?」
「それを聞き返すかね、あはは、きゃー」
呆れたように、しかし笑い飛ばしてくるチワワの頭をぐりぐりしてから、秋水は考える。
食事自体のカロリーアップは大前提とする。各食事に卵を1つ追加するだけでもだいぶ違うし、栄養のバランスも大幅には崩れないはずである。
そして各食事のカロリーアップと平行して、間食を挟むとしよう。
秋水自身は食道楽にはあまり興味がないせいで、必要以上の間食を取らないのが常である。それこそ、ブラックコーヒーではなく、おしるこ缶にするべきだったのだ。
まずは自分自身の食生活を洗い出し、記録を付けてみよう。
そして、間食を挟める時間がないかを確かめてみよう。
減量と増量の違いはあれど、それはかつて、鬼となった母と妹にボコボコにされた後、待って冷静になって落ち着いて話し合おう、と秋水がダイエットの前提を鬼に説いた内容と同じであった。
「ちなみに竜泉寺さんは、間食はしますか?」
昔のことを思い出しながら沙夜に質問してみると、再び彼女はきょとんとした表情になった。
学校では秋水に対して怯えた表情ばかり向けていたと言うのに、何だかすっかり素の顔である。まあ、怖がられるより、ずっと楽だ。
「え、間食?」
「はい。普段の食事以外に、なにかを口にされることは?」
「ええっと……あんまりない、かな」
「そうですか」
「一応これでも気をつけてるから、バカスカ食べたりはしないって」
「それでは一度、自分が1日に何を食べたり飲んだりしているかを書き出してみることをお勧めしますよ」
「え、なんで?」
「人間の記憶と言うのは、意外に都合が良いものですから」
「いや棟区、別に私、暴飲暴食キャラじゃないから、気をつけてるから」
悪人面した大男に対しての恐怖感は何処に行ったのか、沙夜は不服そうに頬を膨らませた。
その隣のチワワが、え、そのココアはノンカロリーじゃないよ、みたいな顔をしている。
そうである。
1週間前に飲み食いしたもの全て思い出せ、が無理なように、人の記憶というのは案外適当なものである。
1日で口に入れた食べ物と飲み物を全部書き出す。
それが母と妹にボコられた秋水が、命乞いとして提案したダイエットの内容である。
いやそんな食ってないし飲んでないわ、とそれでもぷんぷんとしていた母と妹であったが、1週間後には2人揃ってしょんぼりと萎れていたので、この方法は一定の効果がある。
思っていたより食べたり飲んだりしている、それを人間は忘れてしまうのだが、脂肪は忘れずしっかりと蓄える。だから太る。
痩せてしまうのはその逆で、思ったより食べたり飲んだりしておらず、それを人間は忘れてしまうが、結果はきっちり痩せてしまう。
そのことを書き留めて、しっかりと 『見える化』 する。
運動や基礎代謝という消費カロリーの話は別として、摂取カロリーを 『見える化』 するのはダイエットの第一歩である。
そして、太るための第一歩も、やることは同じのハズだ。
沙夜に説明しながらも、自分も食事の記録を付けよう、とそんな決心している秋水を見て、はえー、と紗綾音が急に変な声を上げた。
「タケちゃんセンセのときもそうだったけど、棟区くんって食べ物のことめちゃ強だよね。将来は栄養士さんとか目指してたりするの?」
何を言い出すのか。
見れば紗綾音は感心した表情であるので、どうやら真面目に言ってるらしい。
沙夜の方は、なんの話だ、という顔をして、秋水も一瞬同じような表情をしてから、そう言えば担任の教師とタンパク質摂取の話をしたなぁ、と思い出す。
「いえ、筋トレを続けていると、この手の知識はどうしても必要になるので覚えただけです」
担任の教師に言った内容も、そして今言ったカロリーの話も、どちらも筋トレをする上では重要な知識である。
カロリーの方は正確にはPFCバランスという知識のダウングレード版だが、どちらにせよ身体作りに関しての知識だ。
だから、栄養学に詳しい、と言うわけではなく、どちらも秋水の得意ジャンルだから偶々知っていただけに過ぎない。栄養士や管理栄養士のことはそんなに詳しいわけではないのだが、それらを目指すにしては秋水の知識は圧倒的に足りていないことだろう。
いや、そもそも栄養士を目指しているわけではない。
ならば何を目指しているのか、と問われても困るのだが。
「あ、棟区くん筋トレとかしてるんだ」
「いやいや、トレーニングなしでこんなムキムキなの、どう考えたっておかしいでしょ」
「棟区くんなら何もしなくても筋肉ムキムキなのかなって勝手に思ってたよ」
「なわけない」
将来ねぇ、と思わず考えてしまった秋水を尻目に、チワワと飼い主が軽くコントをしている。
何もしなくて筋骨隆々になるなら、ボディビル大会なんて存在しないんだわ。口にこそ出さなかったが、秋水は心の中でツッコミを入れてから、残りのコーヒーを飲み干した。
そのタイミングで、紗綾音がからりと笑いながら口を開く。
「ま、ムキムキ過ぎて棟区くんぱっと見がヤバヤバだけどね!」
空気が死んだ。
正確には、秋水と沙夜の間の空気が死んだ。
おい、馬鹿、この駄犬。
沙夜の方を見ろ。そう言えばヤバそうな奴だった、みたいな表情じゃないか。
「…………」
「…………」
「お、怒らないであげて下さい……」
「怒りませんよ」
カロリーの話で何だかフレンドリーな喋り方になっていたのに、また敬語に戻ってしまったじゃないか。秋水が言えた義理でもないのだが。
紗綾音の無礼な発言よりも、沙夜との心理的な距離が一気に遠のいてしまったことに秋水は小さく溜息を1つ。
それから、努めて明るく笑みを浮かべた。
顔面ヤクザである秋水の作り笑い。
なお、完成度などお察し。
「ちなみにチワワさん、恐らくですが、そちらのジュースはココアよりもカロリーが高いのであしからず」
秋水のスマイルに一瞬ドン引いたものの、ぎょっとした表情で秋水から受け取っていた炭酸ジュースの成分表示を見て、一瞬だけきょとんと固まってから、謀りやがったなこんのフランケンシュタイン・モンスター・スマイル・マフィア、と紗綾音がきゃんきゃんと吠えだした。
今、絶対に100gあたりの成分表示と内容量の表示トリックに欺されかけたぞこのチワワ。
誰がフランケンシュタインの怪物ですかね、と呆れている秋水の正面で、そういや私ココア飲んでるじゃん、と今更ながらに気がついた沙夜が顔を蒼くしていた。
完全に流れ弾である。
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なお秋水くんのリュックの中には、体に蓄えたカロリーを消し飛ばす、そんな反則級の液体が。
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