第10話 体調不良

気持ち良く飲んで、結構酔っ払った私は、良い気分で岡山のゲストハウスに戻った。

いつもは寝入りが悪い私だけれど、この日はすぐに眠りが訪れた。


そして翌朝、起きた時にはチェックアウト時刻になる直前だった。

慌てて荷物をまとめる。

そうしている間に、ゲストハウスオーナーが清掃にやって来た。



「あ、急がなくていいですよ。」


「それより、忘れ物しないようにしてくださいね。」



優しい。


また来よう、と思った。

岡山の観光地ってイメージが無かったんだけど、オーナーの話では、結構色々あるみたいだ。

ホラースポットも...それはいいや、行かない。



岡山駅から電車に乗る。

向かう先は、愛知県名古屋市だ。


まず、相生駅で乗り換え。

続いて、姫路駅で乗り換え。

さらに、米原駅で乗り換え。

そして、大垣駅で乗り換え。


初日に下りでやったのを折り返す形だ。

移動時間は合計で5時間45分にもなったけれど、苦痛には感じなかった。

楽しい思い出のおかげかもしれない。



名古屋駅に到着した頃には、日が暮れていた。

さすがにお腹が空いていた。

先にホテルにチェックインして荷物を置き、外に出る。


‘名古屋めし’


美味しい物が多いと聞いている。

私に残された日数は、あと2日。

となると、今日、できるだけ多く食べたい。


ターゲットは、ひつまぶしと手羽先。

これを1つの店で両方食べられる、という情報を私は得ていた。


その店に入る。

元々少食な私は、ひつまぶしを「ミニで」と注文した。


美味しかった。

手羽先も。

私は元々チキンが大好きだ。


でも高かった。

これはしょうがない。


満腹になってホテルに戻る。

明日は本格的な観光をしよう。

そう思っていた。



お腹が...お腹が痛いンゴ...。



私は普段、1日1食だ。

それが、今回の旅行では、2~3食にしていた。

ところが今日に限っては、昨夜たくさん飲み食いしたせいか、朝からあまり食欲が無かった。

夕食まで何も食べていなかった。


それが悪かったのかもしれない...。


私はトイレとベッドを往復する事となった。

ところが、今回宿泊したホテル、部屋の中にトイレが無い。

シャワーも部屋の外で、しかも共用だ。


値段が安い所を選んだので、しょうがない...。

こんな事態は想定してなかったよ...。


トイレからベッドに戻った瞬間、刺すような痛みがお腹を襲い、中身を絞り出すような波動が来る。

健康なら大した事のないトイレまでの距離が、とても辛かった...。

そしてシャワーを浴びるタイミングも、見出せなかった...。

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