第9話 倉敷と岡山で美味しい思いをする

エロい女だと思われるのは不本意だ。

まあ...実際は...エロいんだけどね...。



「明日はどのような予定ですか?」



とオーナーに尋ねられたので、「特に決めていません。」と答えた。



「明日はうち、他のお客さん来ないんですよ。倉敷を案内しましょうか?」



私はすぐに「いいんですか?」と応じた。


なんかありがたい。

1人であちこち行くのは好きだけど、男性と一緒に観光地を回るのは今まで殆ど経験がなかったから。



翌日、倉敷の美観地区へ。


「美観」と言うだけの事はあった。

大原美術館に入る。

ヌード絵画の前で立ち止まるオーナー。



「ちょっと...」



私は恥ずかしく感じ、とても見ていられなかった。

オーナーの袖を引っ張って、次に行くよう促す。



「こういう作品は嫌いですか?」



なんて訊かれたけど...どう答えていいかわからなかった。

私には芸術はよくわからない...。


美術館を出た後、オーナーが現地を歩いていた人に声を掛け、おすすめの飲食店を教えてもらった。

こういうのは私1人だとできない事だ。

人見知りだからね...心強い。


その人に教えてもらった店のフルーツパフェは、言われた通り美味しかった。

食事代は、オーナーが奢ってくれた。


この店を出た後、思う存分写真を撮った。

柳の木と川の美しさが印象的で、満足いく風景だった。



夕食は岡山市に戻ってから、という事にした。

昨日とは別の居酒屋に行った。


ここでもオーナーは、店員や周囲のお客さんと色々喋る。

「出身地はどこですか?」と私に話が振られ、「韓国から来ました」と言うと、「おー、日本語上手いですね。」なんて言われ、隣のお客さんが揚げだし豆腐を奢ってくれた。

これがめっちゃ美味かった。


さらに、「ヒラ」とかいう、ほぼ岡山でしか食べないという、謎の魚の煮物が出て来た。

これもクセがなくあっさりしていて、とても美味しかった。


岡山の地酒も美味しく、気分良く酔った。

満足したので、支払おうとしたら、「1000円ピッタリでいいですよ。」とオーナーに言われた。

さすがに全くお金を出さないのは自分としてありえないな、と思っていたところに、この金額を言われ、「本当にいいんですか?」と1度は言ったけれど、とてもありがたい気持ちになった。


このオーナー、なんだかイイ匂いがする。

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