285 帝国軍再度襲来
我が領地に帝国軍が入ってくる手前でミスリルゴーレムは列を成して陣取った。
それは高さ30mの壁によって帝国軍の侵入を遮る長城のようだった。
帝国軍はその長城の手前で進軍をとめた。そして2つの軍は睨み合いの状態になったのである。
ドミトリー、ガンビット、バンビーノの3人は武器と防具を身につけた臨戦体制で俺の傍らに控えていた。ゴーレムの壁の1kmほど後方に俺とエンビーはいた。彼等は先に行った俺とエンビーがここに居るのを探して馬に乗って追いついてきたのだった。
俺:「ドミトリーさん、協力してくれるつもりなのは嬉しいんですけれど、ここに来られるのは少しやりにくいんですが。」
ドミトリー:「それは、俺たちが足手纏いだと言うことかな。」
俺:「そう言うことでもないんですけれど、僕らは即座に移動しますのであなた方を置き去りにすることになります。戦場近くにあなた方を置き去りにするのが心苦しいのですよ。2人は空を飛んだりしますのであなた達は追いかけてこれませんし、あなた方を掴んで飛ぶことも難しいですからね。」
エンビー:「アグルと手を繋いで飛ぶのは私一人で満席なのよ。ごめんなさいね。」
俺:「ですから近くの村とかが襲われないように村の周りを固めてもらった方が嬉しいですね。」
ドミトリー:「そうなのか、機動力が違いすぎると言うことか。わかった俺たちは近辺の村の守りにあたるとしよう。」
ドミトリー達は過ごすごと後方に引き返していった。だが戦争時には盗賊とかが跋扈するものだ。だからドミトリー達が見回りとかをしてくれるだけでも村人の安全には大いに役立つものだと思う。
出城にはアゴンが、ロゴラにはアポンと第3騎士団がいつものように守についていた。
帝国軍と直接対峙しているのは俺とエンビーとゴーレムで有る。ロゴラの街の住民は平常通りだ。
ゴーレムマスターに任せておけば帝国軍はここまでは来れないとタカをくくっている。
戦いは遠くで起こっていると言う感覚だろう。まあ間違いではないだろうけれど。
さて今回の戦いだけれど俺としては敵の補給線を断つ作戦に出ようと考えている。ここで睨み合いが続いているうちは兵士10,000の食料は運び込まれまた備蓄拠点も存在するはずだ。
食糧もなく勝ち目も薄ければ敵は撤退するだろうと考えた訳だ。その方が敵の兵士の死者が少なくて済むだろう。
というわけで俺はステルスと隠密を使い敵後方に移動する。補給部隊の通り道を遡って敵の食糧備蓄拠点を探し出した。攻撃開始。静かに警備の者を片付けて倉庫に侵入。物資を根こそぎストレージにぶち込んだ。そしてドアを設置して帰還した。エンビーに首尾を報告。俺に泥棒をさせたら無敵かもしれない。
敵の本陣の貯蔵庫にも同様に侵入して物資をいただく。奴らはたちまち食糧不足となった。
後は撤退を待つのみだろう。
2日後帝国軍は撤退を開始した。追撃は行わない。ハイ!さようなら。多量の食糧を頂きましてありがとうございます。
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