283 アグル男爵領の発展

筆頭執事アルゴが俺の元にやって来て小作人用の農地が足りなくなって来たので井戸と水路を作ってくれるように申し出て来た。男爵所有の農地は南へ南へと拡張させている。


新たに農地として道路と水路の整った区画を増設することにした。俺はエンビーと一緒に次席執事のテクノを伴って領地の南農地の更に南を見に行った。


碁盤の目のように道路と井戸と水路を整備して間の土地を鉄人ナイトに耕させる。そうすることで小作人ようの農地が出来上がってゆく。今日は1日農地の拡張に費やした。


男爵領の穀物農産物生産量は自給量を上回り販売して利益を得る域にある。そのための商人達との繋がりもアルゴやテクノが上手く構築してくれていた。城壁の内側の住人もかなり増えてきて城壁内の商業区の店舗数もかなり増えている。


豊かな人間は城壁内に住み城壁内の安心な店で買い物をするし、そうで無い人は城壁の外のいかがわしくも安価な店で買い物をする様に棲み分けができだしている。城壁街の集団住宅に住む領民は身分証を見せて城壁内に出入りができるが、城壁の門番にチェックを受けなければ入れない。

そうすることで城壁内の安全を担保しようとしているのだ。


そのかわり城壁の外には住民予備軍のバラックやテントが乱雑に建ち露天に店を出す者もたくさんいる。そこに住むものは領民では無く税も払っていない代わりに戦争時には守られることは無い。

税を払っていない者まで守ってやる責任は領主の俺には無いと思っている。


もっとも城壁の側にまで敵軍が攻め寄せる前に俺は殲滅するようにしているので大抵の場合は安全な状態だ。それがわかっているので住む者も多い訳ではあるのだ。


ゴーレムマスターと呼ばれる俺の領地には帝国の様な徴兵制度がない為に徴兵を逃れて俺の領地にやってくる者がどんどん増えている。


城壁内では仕事も多いため就職にも有利だ。だから領民になり城壁内に住みたがる人間が増え出している。

農地が増えて農作物を盗む者も現れて小作人達の中から自警組織を作って見回りをする必要も出てきた。


また20人から始めた警察組織も人員を増やしている。

アポンとアゴンに冒険者ギルドの設立について検討してもらっていている。農地の夜警の仕事とか狩りの仕事とかは需要がありそうだ。


近郊の村には帝国から独立して保護を求めてくる村も出てきている。つまりは俺の領地に向こうからなりにきていると言うことだ。


アルゴとテクノにシタダロウスの協力を取り付けて領内に組み込む手続きに取り掛かった。帝国の支配の為の領主や官吏は追い出さなくてはならないだろう。もう村民が自主的に追い出しにかかっているらしいのだが、しつこく残っているものは追い出すのに手を貸してやる必要もでてくるかもしれない。


これは帝国を刺激して軍による攻撃を誘発しかねないかも知れなかった。俺はドミトリーにこの件に関して意見を求めた。ドミトリーは難しい問題だなと言いながらも村人の自主性を尊重するのは悪いことではないのではないかと容認してもらえた。

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