280 帝国四天王ドミトリー3

しばらくすると手足の動かせないドミトリーのバーサーク化が解けた。


正気を取り戻したドミトリーに向かって俺は言った。

俺:「俺の勝ちで良いな。」


ドミトリーは横を向いてチっと舌打ちをした。


俺:「良いな!」強い口調で聞き直す。


ドミトリー:「ああ、俺の負けだ。早く殺せ!」


俺:「殺しても良いんだけれどね、出来れば皇帝に伝えてほしいんだよ。もうカルシア王国に手を出すなってね。」


ドミトリー:「いうだけ無駄だ。あの皇帝は聞く耳なんて持っていないんだ。」


俺:「やれやれ!そんな奴になんで真面目に使えてるかね? 貴方は俺を殺せば帝国兵が死ななくなるとか言ってたけれど。あれだな、その皇帝を殺さないと王国は永遠に攻撃され続けるってことのようだね。」


黙り込み唇を噛み締めるドミトリー。


俺:「仕方がないね、、、、俺がその皇帝をやってしまうしかないか? 」


ドミトリー:「お前、単身帝都に乗り込んで皇帝を打てるとでも?皇帝に会うこともできずに死ぬぞ!このバカ!」


俺:「俺の領地に単身乗り込んで、俺を殺そうとしたあんたに言われたくないね!それに単身で乗り込むなんて一言も言ってない。」


ドミトリー:「しょうがねーだろう。ゴーレムマスターがこれほど強いとは思わなかったんだよ。だいたいこの町に俺を殺せる奴がいるとは思わなかったんだからな。」


俺:「うーーーーん。あんたほど強かったらそう思うのも無理はないかもしれないが、運がわるかったな。ゴーレムマスターはゴーレムを使うだけと思ってたのだろうけど俺はゴーレムを使うことが本業ではないんだよ。俺は魔法使いでね。」


ドミトリー:「早く殺してくれ、手も足も動かない身で生きていく方が辛いからな。その上皇帝に意見しろとは何事だよ。良い加減にしてくれ。」


俺:「その手も足も 俺は魔法で直してやることができるんだぜ。もしあんたが和平を結ばせることができたらその手足 俺が魔法で治してやるよ。それに俺なら帝都を焼き尽くすことができるやつを呼び出すことができるんだぜ。見せてやるよ。」


俺はボーボリアンをドミトリーの目の前で召喚してみせた。現れたボーボリアンは俺にこう言った。

ボーボリアン:「もっとちょくちょく呼び出してくれよ。だいぶご無沙汰してたじゃないか?」


俺:「すまない。ボーボリアンチョット忙しくてね。」


ドミトリー:「なんだこいつは!精霊?精霊なのか?」


俺:「炎の上級精霊ボーボリアンさ。ボーボリアン、君にカーネリア帝国の帝都を燃やし尽くしてくれと言ってたらできるかね?」


ボーボリアン:「わかった、今やってくるよ。」


俺:「待て待て、やらないで良いんだ。できるかどうか聞いただけだから。」


ボーボリアン:「なんだ。できるよ。簡単さ、やる気があるから聞いたんだよな。面白そうだから今からやってくるよ。」


俺:「チョチョ、チョット待って。そうじゃなくて こいつができないと思ってるからこいつに言ってくれば良いんだよ。できるって。」


ドミトリー:「わかりました。精霊さん。貴方なら出来るのは一目でわかりました。もういいです。やらないで帰って下さい。」


ボーボリアン:「なんだつまらないな。俺は燃やすのは 大好きなんだぜ。やらなくていいのかよ。」


俺:「そういうわけだから今日はこれで帰っていいよ。ボーボリアン。」


ボーボリアン:「しょうがないね、今度はちゃんとした用がある時に呼んでくれよ」


俺:「わかった。ありがとう。」

ボーボリアンは姿を消した。


俺:「わかったでしょう。ドミトリー、君は馬に乗せて帝都方向に放ってやるよ。皇帝の説得が成功したら手足の治療をしてやるから頑張って説得してくれ。それじゃあな!」


俺はドミトリーを馬の背に積んで放ってやった。ドミトリーはやるともやらないとも言ってないが 俺はやってくれればいいと思っているだけだ。

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