177 山籠り3
そんな毎日を10日ほど繰り返し、俺の飛行スピードは少しは速くなっていた。
アポンは相変わらず成果が出せないでいたが、
エンビーは、10キロくらいの石を動かせるようにまでなっていた。
自分を持ち上げて飛ばすまでにはまだまだ訓練が必要だが結果が目に見えているのは
精神的な支えになるものだろう。
エンビーはやる気充分だが、アポンはもう根を上げた感がある。
エンビーは山で魔法の練習をしたがり、アポンは下で狩りをしたがった。
エンビーにとってもアポンにとってもその方が良いということになり、
エンビーは山で、アポンは山裾で1日を過ごすことになった。
アポンにとっては魔獣を狩って経験値を稼ぐ方が成長に役立つのかもしれない。
回復魔法が使える剣士とかって、それだけでもかなり強い。
魔法が色々使えるに越した事は無いのだろうが、ファイヤーだけでも充分だ。
エンビーは、大魔法で魔力を使う経験値を稼ぐ事で魔力量を増やし、
賢者の石の成長を促すのが1番だろう。
大魔法の魔力消費量を利用するのが、1番効率的だ。
だから俺とエンビーのやることは二本立て、大魔法で魔力消費、
あとは個別に 俺は飛行訓練、エンビーは魔法訓練だ。
最近は魔力ちょうだいと言ってはキスをして来る。嬉しいけどね。
今日も2人は熱々の訓練を続ける。
大魔法を受け続けている谷はだいぶ深くなっちゃった気がする。
最近ワイバーンが相手では、物足りない気がする。
この先には、サンダーホークやファイヤーイーグル、大型の飛竜がいるんじゃないかと
師匠は言っていた。
そろそろそいつらと闘ってみようか?
サンダーホークは雷撃を使う大型の鳥型魔獣。飛行スピードは飛竜の倍くらい早い。
ファイヤーイーグルも炎魔法を使う以外はおんなじだ。
飛竜はスピードこそ遅いけれど防御力はめちゃ強い。
俺: 「エンビー、もう少し奥の魔獣と戦ってみたいから、移動して良いかな。」
エンビー: 「イイわよでも大丈夫なの?」
大丈夫っていうのは魔獣に勝てるかって事かな?
そう言われてみると、俺が勝てなかったらエンビーも危なくなるんだった。
俺: 「うーーーん、もう少し此処で訓練しよう。」
俺は考えた挙句にそう答えた。
鳥型魔獣は高スピードで飛べる。それは俺が一方的に攻撃される事を示している。
俺が奴らより飛ぶのが遅ければ。そして多分遅いのだ。
戦う前に敵の情報を得る事が大切だと考えた。
ステルスと隠密で敵の能力を偵察に行こう。
それが大切な事だ。敵を知り己を知らば、百戦危うからず、、だ。
飛行訓練の時に遠くまでとんでみることに、隠密とステルスを使いながら。
そしてサンダーホークを見つけた。
サンダーホークは大きく翼を広げた端から端までで、10mは有りそうだ。
群れを作らず1匹で行動していることが多いようだ。
かなりの早いスピードで飛んでいるが、これが全速力とは思えない余裕の飛び方だ。
とても戦いになりそうが無い。
一方的にやられるか、まぐれが当たればラッキーという所だろう。
もう少しスピードを上げてから挑むことにしよう。
気づかれないようにその場を離れて帰ることにした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます