杖の威力

32階層、エンビーは昨日手に入れた賢者の杖を持ってハイテンションだ。


エンビー: 「今日はこの杖で、いつもの3倍連射よ〜」


アポン: 「今日は、頼むよエンビー」


エンビー: 「あなたもね、頼りにしてるからね〜」


アゴン: 「先制攻撃任せたぜ、とどめは俺が刺してやるからよ」


イエロースパイダーを見つけるとエンビーがアイシクルランスの連射を始めた。


いつもより強力のようだ、スパイダーがボロボロになった。


アポンとアゴンが魔剣の攻撃、スパイダーの足が吹っ飛び体を剣が深々と傷つける。


スパイダーが魔石を残し消滅する。


アゴン: 「よっしゃー  いつもより簡単に倒せたぜ、


     エンビーの与えたダメージデカかったな。


     攻撃力だいぶ上がってるぜ」


エンビー: 「この杖はすごいわね、 買って良かったわ、


      魔力の消費も少ないわ」


アポン: 「この調子でどんどん行こうよ」


俺: 「いいね、次もいってくれ、俺は控えてるから」


エンビー: 「ドンドン 行くわよ〜」


調子に乗って32階層をクリアして33階層へ


33階層は2匹で現れる率が高くなる。


1匹は俺、もう1匹は3人で、戦力的には問題なくたおして進めた。


おそらくエンビーだけでも魔法の連射で倒せるだろう。


杖を持つ前の3倍連射をつずけられるのだから。


攻撃力も3倍強化されてるはずだし。


武器の違いは圧倒的に戦力を底上げする。


ガードの硬い魔物の皮膚でも攻撃力が強ければ何発も防ぎきれない。


33階層を抜け34階層へ、


エンビーを後衛に俺とアゴンとアポンが剣を振るう。


34階層は3匹同時に現れることもたまにある。


俺1匹、エンビー1匹、アゴンとアポンで1匹に相対して、


俺が倒して応援にむかうかんじ。


エンビーが杖を買わなかったらここまですんなりと


この階層までは来れなかっただろう。


俺が全部倒すのなら別だけど。


34階層は、アゴンとアポンにとっては、結構厳しい階層となった。


危険とまではいかないが、俺的には多少のハラハラ感を持って見ている感じだ。


電撃を受け損ねたら数の優位が傾く。


1対1ではやや不利か。


すかさず俺が魔法攻撃ファイヤーで援護、


2人は立て直しに成功した。


時々ポカをやってくれる時があるから目を離せんな。


俺も剣を振るって遊んでるわけにはいかなくなれば、


ブラックファイヤー1発でこいつらは瞬殺できるんだが、


2人の戦技の底上げのためには実践経験を積んでもらうのが1番だし、


何より本人たちがやりたがっているわけだしな。


できればアゴンに死地をくぐり抜けて勇者としてレベルアップしてもらいたいものだが


狙ってやれるものでもないところが厳しいんだよね。


エンビーは連射で圧倒できてるのでほとんど攻めっぱなしで倒せている。



34階層を抜け、35階層


だんだん3匹で現れることが多くなってくる。


剣で遊ぶのも飽きてきたので、ブラックファイヤーで瞬殺し


仲間を見守る。


エンビーが倒して魔力の補充を求めてきた。


魔力供給をしてあげてるうちに、アゴンとアポンも敵を倒した。


2人にヒールをかけてやる。


35階層もなんとか順調に進めそうだ。


アゴン: 「俺は死ぬほどガンバって、それからもっと頑張らねーと、、、」


アゴンの顔に思い詰めたような焦りの表情が浮かんでいる。


俺との間に戦力の差がありありと解るようになって


強くなりたいと言う思いに押しつぶされそうなのかもしれない。


アポン: 「アゴン、あんまり思い詰めても仕方ないよ。」


俺: 「そうだよ」


なかなか難しいことだからなー、勇者の証がレベルアップするのは。


エンビー: 「アゴン君は、とっても頑張ってると思うよ」


アゴン: 「そうかな?」


アポン: 「そうだよ」


俺も頷いた。


俺: 「アゴン、言いづらいこと言うけど、勇者ってさ、


   死線をくぐり抜けないと、進化しないんだよね。


   とても危険なことだと思うんだ。


   友として、わざとそうするなんて、それは進められないんだよね。」


俺を見つめるアグル。


俺: 「だから、少しずつでもいいじゃないか、少しずつ強くなれば。」


思い詰めたような顔をするアゴン。


俺: 「やめておけよ、、、無茶したからって、それで死にそうになったからって、


   決して進化しないと思うぜ。


   そんなに単純なことじゃないんだ。」


アポン: 「そうだよ、それにぼくたちSランク冒険者だよ。12歳で。


     十分すぎるくらい強いじゃないか。」


エンビー: 「そうよ、そんなに焦ることはないわよ。


      横に凄すぎる子がいるから、その気持ち解らないこともないけれど」


アゴン: 「そりゃそうだけどな、、、俺だって、、、、」


俺だって勇者を目指してるんだ、、、と言いたかったのだろう。


わかるぜ、俺だって賢者を目指してるからな。


俺: 「俺と一緒に冒険をしてれば、いやでも窮地に立たされることになるさ、


   無理しなくてもね。」


俺はアゴンの肩に手を置いた。


アゴン: 「そうだな、、、、」


アポン: 「そうだよ、僕なんて、毎回窮地にたたされてるんだから」


みんな: 「あっはははは!」


俺は最近考えることがある。


俺が助けに入ることでアゴンの進化の妨げのなってるんじゃないかって。

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