111 ゴーモリンと果ての山脈とワイバーン

ゴーモリン  ギルド本館



「ただいま〜〜、」受け付けのモルネットさんに会って挨拶を交わす。


モルネット: 「久しぶりね、この前、リザトルさんも王都に行ってたんですっ?


       今度私も連れて行ってよ。」


アポン: 「ハハハ、きかいがあったら良いですよ。リザトルさんは?」


モルネット: 「今日はギルマス部屋に居ると思うわよ。呼んできてあげるね。」

 

リザトルさんがバタバタとやって来た。


リザトル: 「お前ら良く帰った来たな。もう旅は良いのか、また行くのか?」


アゴン: 「取り敢えず、旅は終わりだな。面白かったぜ。」


リザトル: 「じゃあ、またここで働いてくれよ。」


アゴン: 「任せてくれよリザトル師匠」


アポン: 「明日からまた此処で狩りをしますよ。変わったことは無かったですか?」


リザトル: 「ああ、此処はいつもどうりだ。お前達は王都で何事もなかったか?」


アポン: 「第三者王子にあの後また指名依頼もらったくらいかな?


     変わった事って。魔石を売ったら大金持ちになったとか?


     アグルが剣とか作れるようになったとか?そのくらい?


     あ、あとラッチオ湖でラッチー見たよ!伝説の水龍。」


リザトル: 「ラッチー見た! そんなのがいるのかって、どんなやつだ?」


アゴン: 「スゲーでかいの、30m級だって、長い首しかよく見てねーけど」


アポン: 「水の中から浮いて来て、乗ってるボートがドワーンて流されちゃったんだ。


     転覆しなくて良かったよ。夢中で漕いで逃げたんだ。」


アゴン: 「危なかったぜー、アグルが炎攻撃したら潜って逃げちゃった。」


リザトル: 「アグル、そいつと戦ったのか!」


俺: 「う、、ちょっとだけ。」


リザトル: 「スゲーな お前!」


俺: 「イヤ、凄くないよ、勝ったわけじゃないし。」


リザトル: 「龍の鱗でも取れれば良かったのにな、結構良い素材なんだぜ」


アポン: 「何も取れなかったよ、逃げるので精一杯。」


アゴン: 「俺なんか実はチビってたぜ。」


アポン: 「ほんとかい?知らなかったよ。」


アゴン: 「ああ、黙ってたからな。」


リザトル: 「まあ、無事にかえって来てくれて良かったな。


      これからは、ゴーモリンの柱になってもらわにゃならんからな。」


アポン: 「そんな、大袈裟ですよ。」


リザトル: 「そういえばアグル、タックドラスさんと狩に行く約束してたんだって? 


      ドラスさん一回来たぜ。王都行ったって言ったら帰って行ったなあ。」


俺はタックドラスさんとワイバーンを狩りに行く約束をしていたことを思い出した。


後でドラス師匠のところに行かなくてはいけないな。


アゴン: 「タックドラスさんと何処に何を狩りに行くんだよ?」


俺: 「空を飛ぶ魔法を作った時に、ワイバーンと空中戦しようって、


   果ての山脈のどこかにいるみたいな事を言ってたんだ。」


アゴン: 「ワイバーンか、俺たちじゃ勝てなさそうだな。」


アポン: 「僕たちじゃ、武器が届かないもんね。」


俺: 「多分俺とタックドラスさんだけで行くか、


   テスリーさんとエンビーを加えるかの二択だと思うよ。


   だからその時は、別行動になるけど許してね。」


アゴン: 「仕方がないな。やってやれないこともないけど


     ぶが悪いには違いないからな。無理に連れてげとわいえないよな。」


アポン: 「じゃあ、タックドラスさんの所に行ってみた方がいいんじゃない?


     できたら連れってもらえると僕は嬉しいんだけどね。


     俺、タックドラスさんに頼んでみてもいいかな?アグル。」


俺: 「俺は構わないと思うけど、飛べないとやられっぱなしになるかも?


   危険じゃない?」


アゴン: 「魔剣の魔法攻撃でなんとかできないかな?」


アポン: 「あとは攻撃しようとして間合いに入った時のカウンター攻撃くらい。」


アゴン: 「ワイバーンって、狩ってみたいよな〜」


リザトル: 「ドラスに頼み込んで連れってもらえよ。」


アゴン: 「善は急げだ、タックドラスさんのとこに頼みに行こうぜ!」


俺: 「う」


俺たち4人はリザトル師匠にさよならをしてタックドラスさんの家に向かった。


ゴーモリンの街並みを久し振りに眺めながら良い匂いのする店の横をすり抜けてゆく。


俺: 「師匠!失礼します。アグルです。いらっしゃいませんか?」


玄関の扉が開いて中から顔を見せたタックドラスは、「中に入れ!」と言った。


俺たち4人はドラスの家に上がり込んだ。


俺: 「師匠、留守中ご訪問いただきましてありがとうございます。


   王都より本日帰還いたしました。」


タックドラス: 「どうした、硬いな、普通に話せよ。」


俺: 「ごめんなさい。普通に話すよ。実はこの前のワイバーン狩りの件で


   アゴンとアポンも一緒に行きたいみたいで、


   ならば銀の流星4人で参加出来ないかなと思って。」


タックドラス: 「飛べないと厳しいけど覚悟があるならな、


        ほとんど参加できなくて、逃げてるだけになるとおもうよ。」


俺: 「俺もそう言ったんですけど、本人たちがやりたいようなので。」


タックドラス: 「自分の身は自分で守ってくれよ。」


アゴン、アポン: 「はい。覚悟は出来てます。」


タックドラス: 「わかった、連れて行くよ。」


俺: 「予定はまだ立ってないんですよね。」


タックドラス: 「テスリーに話をしてからシェアハウス伝えに行くよ。


        いつでも良いのか?」


俺: 「はい、僕らは今のところ何の予定も有りません。


   しばらく、適当に狩に行くので夜はいると思います。


   言伝してくれても大丈夫だと思いますよ。」


タックドラス: 「わかった、そうするよ。俺も自由だからさ。」


ワイバーン狩りの楽しみができた。アポンもアゴンも参加できて大喜びだった。


俺は少し心配だけど死にはしないだろう。大丈夫。

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