109 超振動の鉄剣と魔剣とオヤジ達

アギンは超振動の鉄剣を朝日にかざし、ニヤリと笑った。


今日はこの剣で俺もボアの首を飛ばしてみたい。


腹の底から笑いが込み上げてくるのを堪えて、


超振動の剣を振ってみる。仮想のボアの首が跳ぶ様が脳裏に浮かぶ。


「フハハハハ、」堪え切れずにわらいがもれてしまった。


「やったるぜーー!」アギンの声が響いた時、アググとアペンが集まって来た。


アググ: 「あ、ずっりー 自分ばっかり剣振ってる〜」


アペン: 「俺たちは魔剣使お。魔剣!」


アググ: 「そうだな、魔剣使わせてもらうぜ、兄貴」


アペン: 「俺は氷雪の魔剣にするよ」


アググ: 「じゃあ俺は炎の魔剣だな」


アギン: 「後 新しいナイフな!切れるぞ〜 これ!」


3人: 「へへへへへ、、、、 」


そこにアポンとアゴンそして俺が朝練を終えて合流した。


アゴン: 「何笑ってるの?きもちわりーーな。」


アポン: 「剣とか持っちゃって、ちゃんと立ち回りができないと危険だよ。」


俺: 「ちゃんと罠にはめて、動けなくして切るんだよ。」


アギン: 「心配しすぎだよお前ら、俺たちだってそこそこ経験積んでるんだからな」


アググ: 「そういう事」


アペン: 「それじゃあ、行こうか。」


アゴン: 「昨日と同じでいいのかよ」


アギン: 「皆んなそろっている事だし3つに分かれてみるかい?」


アググ: 「そうだな、昔みたいに親子水いらずで狩りをしようか?


     エンビーちゃんは俺たちと一緒ね。」


俺: 「エンビーはオカン達と婆と一緒するんだって、偉くない!」


アペン: 「一人でオカン達と婆に混じるなんて根性あるね。」


アギン: 「アグル惚れられてるなあ。」


アググ: 「こりゃあ本気だな。」


アゴン: 「何か変なのか?」


アギン: 「我が息子よ、お前はホントにそういうところはダメだな。」


アググ: 「オカン達と婆に気に入られようとしてるって事は、、、」


アペン: 「本気で嫁になりたいという事だろう。」


アゴン: 「なるほどー」


アポン: 「アグルはどうなの?」


俺: 「う、、、い、、、いずれな。」


アゴン: 「エンビー 何も考えてないだけじゃねーの?」


親父達: 「それはお前だ、」 口をそろえる。


アググ: 「それじゃ、昔のように3つに別れていきますよ。俺たちはこっちね。」


アギン、アペン: 「じゃあ、いつものとこでまた会おう。」



俺は、アググと一緒に罠のチェックに向かった。初めの罠の周りには何もいなかった。


ここでは、いつまで経ってもかからないかもと思った。


次の罠に移動する。かかっていない。離れたところにボアの影はある。


3つ目の罠、やはりかかっていない。いつも通りなのかも。


4つ目の罠、5つ目の罠にもかかっていなかった。


アググ: 「アポンもアゴンも近くの獲物がわかったんだけどお前もわかるのか?」


俺: 「わかるよ。狩っていきたいの?」


首を縦に振るアググ。


俺はボアの気配の方に案内をした。


俺: 「向こうの茂みの中にいるから気を付けて近づこう。」


近づいてゆくと茂みが動く場所がみえてくる。アググも気配でわかっているようだ。


アググが魔剣を抜いて身構える。


突然茂みの中からボアが突進して来た。


俺: 「ホールド」


ボアの突進は止まり宙を浮くボア。


アググが俺を見て: 「 魔法か?」


頷く俺: 「動かないからトドメ刺しちゃってよ。」


アググは頷くとボアの首元に魔剣の一撃。


炎は出さずに、、だが切れ味は流石に魔剣。


ボアの首がどさりと落ちた。


俺はホールドを止めボアを収納した。


俺:「1匹で良いの?」


魔剣の刀身を覗き込んでいたアググが「まだこの辺にいるのか?」


俺: 「帰りがてら近くのやつを狩っていくかい?」


アググ: 「そうしよう。」


集合場所に戻り途中でボアを2匹ほど狩って収納した。


アググは魔剣の切れ味に満足そうにしながら、炎を出して遊んでいる。


アググ: 「毛皮を燃やさないように炎が使えないのが残念だが、


     切れるぞこの剣。」


俺: 「そいつは良かった。」


集合場所にアポンとアペンが待っていた。


アポン: 「アグル、待ってたよ 運ぶの手伝って。」


俺たちはアペンについて行き、ボアを1匹収納した。


アゴン達はボアを担いで戻って来ているのが索敵でわかる。


俺たちはアゴン達と合流して収納、川に解体にむかった。


アギン:「アググは3体も狩ってきたのか。全部でボア5体か、多いな。」


俺: 「肉は異次元収納に入れておけば鮮度は落ちないので、


   余は俺がもらっておくよ。皮と牙はあげるね。」


アペン: 「さっとさばいちゃおうぜ。」


アギン: 「アググは3匹とも首チョンじゃねーか、スゲーな。」


アググ: 「アグルの魔法が凄くてさ!ホールドだっけ。


     ボアが宙に浮いて動けねーでさ、


     さあどうぞ切って下さいって、、、なってるんだよ。


     俺は剣を思う存分振り下ろすだけなんだ。


     ためし切りみたいだったぜ。闘いとか、狩りとかいう感じじゃねーのよ。」


アペン: 「それは凄いな、、でもつまんね〜か?」


アギン: 「安全が1番だぞ、遊びで狩りをしたら命に失礼だ。」


アペン: 「そうだったな、わりーわりー。」


アググ: 「そっちの剣の具合はどうだったんだよ?」


アギン: 「超振動はスゲーぞ、全然抵抗が無く切れるんだ。


切ったかどうかわからないくらいだぜ。」


アペン: 「氷雪の魔剣もスゲー威力だぜ。


     剣を振ってボアを凍れせられるんだ。


     脚が凍れば動きが鈍るだろう。


     後は楽勝よ!切れ味も凄いしな。」


アググはおらやましそうな顔で:「炎の魔剣は炎で焦がしたり火事に


   しないようにしないといけねーからあんまりな、切れ味は最高だけどな。」


アギン: 「そうだよな、気をつけて使ってくれよ。」


アググ: 「わかってるって。時々別の剣を使っても良いだろう?」


アペン:「そうだな、良いぜ。」


アググは納得顔だった。



俺たちは、解体を終えて家に戻るのだった。

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