83 コロシアムと魔石工房

コロシアムに行くと、入場料を払えば最後の試合まで見ていても良いそうだ。


最後の試合がメインイベントで、早くからやっているものほどレベルが低いらしい。


そしてその日の入場料は、その日のメインイベントのランクにより変わる。


メインイベントがランクの高いものだったり、


人気の高い選手だったりすると入場料は高くなる。


ようは、多くのひとが見たい試合は入場料が跳ね上がるということだ。


今日は、メインイベントがBランク同士なのでお安くなっていた。


平常のメインイベントはこのクラスだそうで、


A ランク同士やタイトル戦などが有ると入場料がたかくなる。


Sランクが出るとなれば格段に高い入場料になるようだ。


そのぶんファイトマネーも高くなる。


Sランクは、ほとんどタイトル戦以外で出ることはないようだ。


人対人以外に獣対人間の対戦もあるし、時には獣対パーティー、


メインイベントクラスには魔物対パーティーとかもあるようだ。


試合を観戦したが試合前に勝者投票券が売りだされる試合もある。


売り子が売って廻るのだが、出場選手はその間待たされて、見分される。


賭け率は決まっていて、投票券が売り切れるとかけに参加出来ない。


倍率は高くても1.5倍くらいだからそれほどのめり込む人はいないと思うが、


そんな事はなく、試合が始まると観客はかなり盛り上がって大声で応援をしている。


独特の熱気がそこにはあった。


アポン: 「チョット 早く来すぎたかな?」


俺: 「ここって、賭けて楽しむ所だね。」


エンビー: 「不健全な所だわ!」


アゴン: 「俺達でたら負けなしじゃねーの」


俺: 「ランク的にそうなるよね」


アポン: 「アゴン出てみれば?」


アゴン: 「つまらん試合はしたくねーな」


アポン: 「だよね〜」


次の試合の勝者投票券を売りに来た、パーティー対獣だ。


ウルク3匹対Dランク4人パーティー。


狩る時間で賭けになっていた。


大穴の2分以内、5分以内、10分以内、20分以内、30分以内、それ以上は狩り失敗。


確率1/6だから掛け率も高い。


倍率は順に、掛け金100銀に対して1000銀、500銀、210銀、150銀、140銀、140銀で


大穴にくると10倍という高配当だ。


冒険者ランク的には、Cランクが一人前で普通の冒険者なので、


F,E,Dは初心者、見習い、半人前と言った感じか。


普通に考えれば5分以内はなさそうだから賭ける人数も少なく


券もたくさん余ってるかと思うとそうでもない、


もともと発券枚数が少ないみたいだ。


その試合が始まった。


半人前の冒険者はやはり弱かった。


数的には有利なのにスピードで追いつけないから逃げ回られている。


ウルクはヒットアンドアウェイ攻撃、逃げまくりながら、


後ろから噛んだりしてはまた逃げる。


30分を待たずに冒険者パーティーがギブアップして、狩り失敗になった。


会場から散々悪口が飛ぶ。


これもストレス解消になってるのか?


アポン: 「Dランク冒険者って、ああなんだね。」


アゴン: 「俺らも昔はあんなもんだったんじゃないの?」


初めてウルクの群れを見て、全速で逃げたことを思い出す。


俺: 「この辺の冒険者は、弱い獣しか相手にしてないからかな、


   獣相手は不得意みたいだな。


   対人戦の方がマシな気がするね。」


アゴン: 「確かにな」


続いてDランク冒険者同士の闘い。


剣と盾を使ってガシガシやってたが、片方が力負けしたようだ。泥試合だな。


Cランク同士くらいになると見ていても面白い。


剣の使い方、間合いの取り方、体捌き、駆け引きなど


細かいことに注意しながら見ていると、


対人戦のノウハウを多少参考になるところもある。


基本のパワー、スピード、などの違いがあるので


そのまま取り込めないかもしれないが、


多少の参考程度には充分になった。


メインイベントのBランク同士はもっと参考になった。


コロシアムを出たのは暗くなってからになった。


アゴン: 「夕方から見れば充分だったな」


アポン: 「僕もそう思うよ」


俺: 「う」


 


翌日、今日は王都の商業地域に行ってみる。


エンビーは、服は見たいというので服屋さんに。


アゴンもアポンも俺も服を買った。


今日はエンビーには楽しい1日だった。


商業地域にはさまざまな店が並ぶ。


服を買い終わったら、アクセサリー、魔石をつかって魔法を発動する高価な物もある。


魔石の魔力には限りがあるので大体が一度かあるいは数回の使用で


機能は失われてしまう物だ。


身代わり系のアクセサリーはお守りとして人気の商品らしいが、


非常に高価なのものだし、古代からたくさん造られて出土する品物多い。


王都には魔石職人の集まる地区があり、そこでそういった小物に魔石をつけて


魔道具が作られている。商業地区の一画が店舗兼工房という店が集まっているわけだ。


その地区の店を色々見て回っていると、良い品を安く売っている店があった。


回復系のアクセサリーが特にものは良い。


ここの工房主は回復系のアクセサリーを作っているので割安で提供できるそうだ。


工房主: 「自分で言うのもなんだが、腕の良い職人は、失敗が少ないから


     魔石を無駄にすることが少ないのさ。


     無駄になる魔石の分の費用が価格に乗る分が少ないから


     安く売っても利幅は出るのさ。それに作る時間も早いしな。」


下手な職人は作るにも時間がかかるから生産量が少ないので


薄利多売というわけにはいかないということか。


歩留まり率も高い、、、と。


工房主: 「腕のいい職人ほど苦もなく作るから安く売っても良い気持ちになるが、


     腕の悪い奴は苦労して作ったものだから高くても当然と思いやすいしな。」


なるほど、メンタル面でも確かにそういう事はあるかもな。


自分の作ったものは高い価値があるはずというプライドの高い職人も中に入るから、


良いものを作る人が一概に安く売ってくれるわけでもないらしいが。


アゴンが回復の腕輪魔石12個付きを買った。


俺と、アポン、エンビーは、回復魔法を使えるのでどうするか悩んだ末に


魔力切れやタプタプ回避、緊急の時のために結局同じものをかうことにした。


俺達はこの店をお気に入りの店にした。

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