77 王都観光旅行2 ランギラノ

4日の後 ランギラノに着いた。


この船とはここでお別れ、今日はランギラノ観光。


俺は移動ようにドアだけは設置しておく。


これからは立ち寄った都市にはもれなく設置しておかなくては。


街を見て回りながら今日の宿を探すと、


街の中央付近に大きな宿屋があった。


2人部屋二つを借りて、俺とエンビー、アゴンとアポンの部屋割り。


エンビーはいつものように、


シェフハウスかテスリーさんの家に何処でもドアで送り迎えすれば良い。


部屋をチェックしてからアポンとアゴンの部屋に行き街に繰り出す。


今度は鍛治職人の店と工房を見に行く。


大抵の工房が自慢の作品を飾っていくつかが売り物として置いてある。


これはという名剣を飾ってある店はないもんだ。


いくつかの工房をめぐっていたら、とある工房の親父さんが、


俺たちの装備を見て話しかけてきた。


工房主: 「あんたら、かなり高価な装備をしてるみたいだが、


     若いのに名のある冒険者かい?


     どこぞの貴族様には見えないけどな?」


アポン: 「名のある冒険者ではないけど、ゴーモリンのSランクですよ」


工房主: 「Sランクって、若そうに見えるけど見た目だけかい?」


アポン: 「僕らは12歳、彼女は15歳です」


工房主: 「その若さでSランクとは驚きだね、」


アポン: 「武器のおかげですよ。」


アポンが自慢の炎の魔剣を見せる。


工房主: 「凄い剣だね、、、もしかして魔剣かい?」


アポン: 「炎の魔剣です」


工房主: 「なるほど、炎の魔法がエンチャントされてるんだね。


     こういうのを作れるのはソリンドラの一派だが、


     今では作れる職人がいるのかな?」


アポン: 「作れる人がいるんですか?」


工房主: 「先代のソリンドラのマスター、ジャオカさんなら現役の時は作ってたが、


     今は引退してグルザルの代だからな。


     奴が作れたって話は聞かんから、ソリンドラの技術も終わりかな。」


アゴン: 「手入れくらいなら任せられるかな?


     俺に氷雪の魔剣は、結構傷ついてるんだ。」


工房主: 「あんたも魔剣を持ってるのかい?


     その斧も凄い斧だよね。」


アゴン: 「龍殺しの斧 ていうんだぜ。」


工房主: 「驚いたな、、、ソリンドラ工房は街のはずれの方だ、


     この道をズーと街外れまで行ってみな。


     修理ができるとしたらそこしかないだろうからな。」


アゴン: 「ありがとう、オッチャン。さっそく行ってみようぜ」


俺たちはその工房を出て、ソリンドラ工房に向かった。



ソリンドラ工房は街のはずれ、というより、外壁にのすぐ側にあった。


アポン: 「コンニチハ  ここがソリンドラ工房でよろしいんですか?」


グルザル: 「そうです、ここがソリンドラ工房です。


      何か御用ですか?」


アゴン: 「俺の剣を手入れできるか見てくれ?」


アゴンは氷雪の魔剣を差し出した。


グルザル: 「ホウ!  これは魔剣、、、氷属性か?」


アゴン: 「これは氷雪の魔剣だ」


グルザル: 「良い剣だがだいぶ使い込んで傷だらけってことかな?」


アゴンは頷いた。


グルザル: 「ちょっと待ってくれ、」


そういうと、工房の中に入っていく。


グルザルが爺さんを連れてきた。ジャオカだ。


グルザル: 「爺さん、これを見てくれ」


ジャオカ: 「ホウ、、、、残念だが、、、氷魔法は使えんのだ、わしは、


      自分の使える魔法しかエンチャントできないんだ。


      研ぐくらいわできるが、


      エンチャントが弱まるからやめといた方が良いぞ。」


アゴン: 「つまり、直せねーてことか。」


ジャオカ: 「魔剣は鍛え直す時は、エンチャントし直すしかないし、


      とげばエンチャントが弱くなる。


      つまるところ、作り直すようなものだ。


      小さな傷など気にせず、折れるまで使うしかないんじゃよ。」


アゴン: 「そうかい、、無駄足だったのか。」


ジャオカ: 「すまんな」


俺: 「こういう魔剣は作れるんですか?」


俺は興味ほんいできいた。


ジャオカ: 「わしは、昔炎の魔剣を作っておったが、今はもう剣を作っておらん。


      息子のグルザルは、魔法が使えんでの、


      じゃから、エンチャントもできん。わしの代でおしまいになったな。」


俺: 「できている剣にエンチャントするのではなく、


   作りながらエンチャントするんですか?」


ジャオカ: 「そうじゃ、魔力を込めながら作るんじゃ。」


俺: 「自分は炎、電撃、水、氷、光、土、回復の魔法が使えますが、


   自分が剣を作ると、これらの魔法をエンチャントできるって事ですか?」


ジャオカ: 「一つの剣に一つの属性ならできるようになるじゃろうな


      しかしそれほど多彩な魔法が使えるものなど


      聞いたことがないわい。ホラ吹くのも大概にせいよ。」


俺: 「嘘ではありませんよ」


俺は小さな炎を手始めに、電気、水、氷、光、土の魔法を見せた。


ジャオカ: 「おぬし、ワシの弟子にならんか?超一流の魔剣鍛治になれるぞい」


俺: 「自分は冒険者ですから、鍛治職人にはなりませんよ、


   趣味で作るくらいなら興味はありますが。」


ジャオカ: 「エエーイ、こうなったら趣味でも構わん、


     わしの技を後世に残したいんジャ。


     いつでも構わん、暇があったらここに来い。


     わしの仕事を見せてやる。」


ジャオカ爺さんは俺を工房に連れ込んで仕事を見せ始めた。


俺も作ること自体は嫌いではないのでじっとそれを見ていた。


アポン、アゴン、エンビーも後ろからついてきて仕事の様子を見つめる。


刀作りの本の一工程に過ぎないが興味深いものだった。


グルザル: 「爺さんが馬鹿なこと言い出してすみません。


      ご迷惑でしょうが、言い出したら聞かないんで、」


ジャオカ: 「 バカモン! お前ができれば、


      わしがこんな思いをすることもないんじゃ!」


俺: 「わかりました。俺も物作りは好きなんで、


    こういうの見るのは大好きなんですよ。


   時間が都合のつく時は習いにきますから、それで良いですか?」


ジャオカ: 「できれば一人前になるまできてくれんかのう、


      それだけの魔法を使えるまで訓練したお主じゃ、


      きっとハマれば、超一流の魔剣鍛治になるに違いない。」


俺;「そんなモンですか?」


ジャオカ: 「そんなもんじゃよ、才能は諦めない心じゃ、


      しつこくしつこく繰り返すことなんじゃ。」


俺: 「やっぱりそこですか?」


ジャオカ: 「そうじゃよ、継続は力なりじゃ!」


俺: 「突然やってきても良いんですか?」


ジャオカ: 「良いとも、わしの動けるうちはな、


      わしももう少し現役に戻ろうかのう。」


飛んだ押しかけ師匠が居たもんである。


でも楽しみが増えたように感じた。


意外にこの人たちとは馬が合いそうだしね。

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