75 鍛え北へ

ノモマは北の方にいる。

「どうする?ノモマに会いにいくか?」

俺はアポンとアゴンの顔を見つめた。

「どうしよう」

アポンが言った。

「別に会いてーわけじゃないからな、ただ話しかけられただけだし」

アゴンが答える。

「俺は、、、、会ってみたいかな」

俺は興味があることをみんなに伝える。

「私は、、、チョット怖いわね」

エンビーは引き気味だ。

(3人がエンビーを見つめた。怖いなんて言葉がこの子の口から出るなんて)

3人の顔にはそう書いてあった

「ナニヨ。失礼ね。何か変なこと言ったかしら?」

エンビーがほっぺを膨らませる。

「イヤそんなことないけど」

俺はエンビーの機嫌をとった。

「オメーの口から怖いなんて言葉が出てくるとは、、、、」

アゴンが本音を口にした。

「チョット意外だったかな」

アポもオブラートに包むように本音を言った。

「私のこと、なんだと思ってるのよ」

「エンビーが怖いなら、行かなくても良いんだよ」

俺はエンビーに優しく言った。

「ううん、アグルが会いたいなら、ついて行くわよ」

「うんじゃあ〜会いに行こうぜ!俺は別にこわかねーし」

アゴンが面白そうにエンビーを見た。

「とりあえず、狩りをしながら北を目指そうか」

アポンが言った。

「それで良いかい?エンビー」

俺はエンビーにお伺いを立てる。

「大丈夫よ、私の事は気にしないで」

俺達は北を目指すことにした。森の奥へ。


フォーハンドベアー、身体強化と物理攻撃耐性を持つ魔獣を相手に俺は賢者の杖の切れ味を試させてもらう。

繰り出される4本の腕を剣で斬り飛ばし、ノーハンドベアーにしてから首を落とした。

賢者の杖は刀身が超振動していて切れ味が増幅され、ベアーの腕を無圧力で切って落とした。

凄まじい切れ味だ。これなら剣をも切れそうだ。

試しに今まで使っていた安い剣を切ってみる。

アゴンに持たせたその剣を上段から切り落とす。

賢者の杖剣は安物の剣の刃に2/3ほど食い込み、そのまま押すとどんどん切り進みついには切ってしまった。

「うーーーん。スゴイ切れ味。

今までの剣だと切れるというよりたたいてるみたいだったのだな」

俺は満足そうに言った。

「その剣を剣で受けたら俺の剣も壊されちまうのかな?やべーぜ」

アゴンの額の冷や汗が光る。

「安物の剣だから切れたけど、魔剣はもっとかたいだろう?」

俺はアゴンの魔剣に視線を落とす。

「1/3くらいは食い込みそうな気がするよね」

アポンが冷静な分析を口にした。

「実験はしねーぜ。俺の大切な剣だからな」

アゴンが俺を睨んだ。

「魔力をこめながら切るともっと切れ味が増すような気がする」

俺は面白そうにアゴンを見た。

「もっと切れ味が増すだって!」

そう叫んだのはアポンのほうだ。

「チョットの間、俺に慣らし切りさせてくれない」

俺はそれから5〜6匹の魔獣を1人で切り殺しながら進んだ。

皆軽く切り飛ばせた。まるで紙を切るかのようだった。

超振動の斬撃を飛ばせるんじゃないだろうかと思いやってみる。

7匹目の魔獣は飛ばされた斬撃に大きな傷を受け、5〜6回の攻撃で倒れた。

「スゲー剣だなこれ」

俺は賢者の杖剣を掲げて見つめた。

「なんかこの辺の魔獣がいっきに弱くなったように見えるね」

アポンが言った。

「俺たちは、強くなってねーから油断すると怪我するぜ、アポン」

アゴンが苦言を呈する。

「そうだね、危なく自分もつよくなった気になってたよ。」

「魔力を2倍の効果に、消費量を1/2にするから、魔法の威力も上がってるはずなんだ。

加減を慣らさないといけないから、後衛に戻るよ」

「倍の威力になったのかな?」

アポンは俺の言った事を確認するように言った。

「アポンの杖はレベル1だっけ?」

俺が逆にアポンに聞いた。

「エ、あ、多分アグルが鑑定すると、そうなるんだね」

「そうだ。あの杖は魔力を1、5倍、魔力消費量を3/4にするんだったと思うよ」

「そうだったんだね。あれを使ってから威力が上がったもの」

「その剣を目覚めさせて持ち主と認められた人も、俺くらいの魔力を持ってたんだろうな」

俺くらいの賢者は今までにも、いくらでもいたんだな……と思ったら、俺もまだまだなんだと感じた。

「よし、先に進もうぜ」

アゴンが話を打ち切る。

魔法の威力も上がっていたため、数匹倒した時点で、俺は攻撃不参加、3人で倒すことになった。

そうしないと、3人の出番がなくなってしまうからだ。

手こずっている時のみサンダーをお見舞いしてやった。

索敵に大きな群れに反応!

「キングモンキンの群れだ、30匹はいる大きい群れだぞ。」

俺は索敵の情報を言って警戒を促した。

俺は広域魔法を試す。


「メテオストリーム!」

キングモンキンの群れに流星の雨が降り注ぐ。

それはその群れ全体を貫いた。

後には貫かれたキングモンキンの死体が転がっていた。

たまにはこのくらいの大魔法を打たないと、魔力を消費できない。

もっとちょくちょく打ちたいと思った。

「スゲ〜〜  お前こんなこともできたの?」

アゴンが感心して俺を見る。

「驚いたよ!」

アポンもだ。

「凄いわ!あと何回これを打てるの?魔力切れにならないの?」

エンビーは俺の腕に腕を絡ませて言った。

「まだまだ10回撃っても余裕だよ」

「どれだけの魔力量なの?そんな魔力量聴いたことないわ」

エンビーが目をぱちくりさせて俺を見る。

「まだまだ上には上があると思うよ。収納に行くから……」

俺はモンキンを収納して回った。

「あなた、どんだけ広いストレージ持ってるの?」

エンビーがまた感心する。

「今は、100m四方くらい……かな」

「ヒロ!」

3人がまた驚いた。

「何もかもが規格外なのね。あなた」

「そうかな?師匠だってそのくらいありそうだけどね」

「でも、あなたはまだ12歳、25歳くらいまでは自然の成長だってするんだから、これからまだまだ伸びていくに違いないのよ。

師匠達はもうピークは過ぎてるもの、もうスゴイ成長はしないでしょう?」

「イヤ、そんな事はないよ。賢者は死ぬまで成長し続けるさ。大賢者ってだいたい年寄りのイメージがあるじゃないか」

「そうかしら、師匠とか、なかなかもう伸びないって言ってるわよ」

「確かに賢者の石が成長するのに要する知識や魔法の経験値とかは膨大のなっていくから伸びるのにはじかんがかかるようになるかもね」


「1回この辺にドア設置してベースに戻らないか?」

俺そろそろ帰る頃かと思い言った。

「そうね、今日はこのくらいにしておきましょうか」

エンビーも賛成する。

「良いぜ」

「僕も」

俺がドアを設置して、みんなで小屋に戻った。

食事をして風呂のお湯を張り、その後で、自主トレに出かけた。

魔力をからになるまで魔法を打ちたいと思ったからだ。

どうせ朝までには満タンに戻るんだし、使っておかないのは成長のために非効率だから……少し離れたところに、大魔法を打ち尽くす。

チョット地形を変えてしまうのが気にはなるが、少し地面が削れたくらいだから大丈夫だろう。

俺は巻き込まれて死んだ魔獣の魔石を回収して小屋に帰る。

狩り3日目はこうして終わった。

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