70 少女との出会い
ゴーモリンでは、リザードマンをはじめて狩ったこと、そして持ち帰ったリザードマンの死体と魔石が珍しくどれだけの価格になるかわからないということで、それらは後でオークションにかけられたのちに、金額が決まることになった。
それほど深くまでSゾーンにもぐる例は今までなかったことを踏まえ、俺たちの実力が高く評価されて、Sランク冒険者証が送られることとなった訳だ。
シェアハウスの仲間達がお祝いをしようと言う口実でドンチャン騒ぎを計画した。これにザックスのパーティーも加わった。
場所は、『森のシチュー屋さん』だ。
俺たちのためのお祝いなのになぜか割り勘、俺たちまだ12歳なのに稼ぎがいいからそこのところは考慮なし。
未成年はアルコールはダメとか言う概念はこの世界にはない。ただ稼ぎとか供給の関係で子供の頃はのませてもらえないだけだ。
稼ぎのいい今なら、もう飲もうが飲むまいが構わないのだが、自分は転生前のイメージで罪悪感を感じてしまう。アゴン、アポンにはそれがない。
俺は、とりあえず果汁で作ったジュース的なものを飲ませてもらい、絶品のシチューをいただく。
アポン、アゴンは、大人と同じピールを飲むことに。
「ここのシチューはおいしいね!」とアポン。
「うめ〜なあ、久しぶりだぜ」とアゴン。
「うん」と俺。
「君たちもうSランクなのね、おめでとう」ベガジラが俺達を祝福してくれた。
「ありがとうございます、ベガジラさん」アポンが答える。
「この前Dランクだったのに、アッと言う間にSランクか〜」ランセルが感慨深そうに言った。
「君たちを弟弟子に持てて、誇らしいよ」ザックスは嬉しそうだ。
「俺も同じシェアハウスに住んでたことを自慢できるよ」とウインレース。
「俺の弟子が3人もSランクになるとは、俺の指導の賜物だなぁ!」とリザトル。
「めでてたいですね」とザックス。
「ウメ〜」ノブリムスはもう良い感じだ。
「めで、ウメ〜」とフィスザス。
「君たちどこまで進んだらリザードマンなんてのがいたの?」ベガジラが真顔で聞いて来た。
「ここから5日行って5日で帰ってきたんだぜ」とアゴンが答えた。
「かなり奥まで入ったんだなあ?」とランセル。
「かなり奥地だな」ウインレースも言った。
「周りの魔獣が強過ぎないかい」とザックス。
「一対一でそこそこいい訓練相手だったぜ」アゴンが答えた。
「そうだよね」とアポン。
「1発くらったら大怪我だろう?怖くないかい?」ノブリムスが言った。
「イヤ、防御魔法あるから大した傷になんねーし、怪我してもアグルにエクストラヒールかけてもらえるしな」とアゴン。
「僕のヒールで十分だったよね」アポンが言った。
「うん」と俺は同意した。
「3人がかりだったのはリザードマンだけだよね」とアポン。
「うむ、うむ……お前ら本当に強くなったな、俺は嬉しいぞ」とリザトル。
「ネエ、リザードマンってどんな奴だったのよ?」とベガジラ。
「そうだよ、教えてくれないかい?」ザックスが身を乗り出して聞いた。
「あのね、リザードが立ち上がって人型になった感じ」アポンが答える。
「ああ、2m半くらいの身長で太い尻尾があったな」とアゴン。
「うん……と、指にでかい爪があって、毒爪なの」と俺。
「それで?」ノブリムスが聞いた。
「僕の『炎の魔剣』攻撃の炎を手で弾いてボワンといったのになんともなくて〜」とアポン。
「俺の『氷雪の魔剣』攻撃を手で受け止めてその手が氷結したら、自分で切りとって、そこから手がニョキニョキ生えてきて〜」とアゴン。
「手が生えたですって?」ベガジラが大きな声で言った。
「うん」俺は頷く。
「とにかく耐久力が半端ねーやつで、アグルのサンダー、ストーンバレット、ファイヤー、でも耐えて、さいごは、念力でホールドして水球に包んで、溺死させた、窒息死……それも20分くらいかかったんだぜ」アゴンが詳しく説明をしてくれた。
「うん」俺はアゴンの言葉に同意する。
「とにかく、強かったよね」アポンが一言でまとめる。
「確かに、ソリャ〜、兎に角ツエ〜なあ」リザトルが感心して言った。
「アグルがいなかったら、勝てなかったよな」とアゴン。
「そうだよね」アポンもそう言った。
「そうか、そんなのがいるんだな」ウインレースが難しそうな顔をする。
「怖いわね!Sゾーン」とベガジラ。
「僕らはCゾーンで十分だよ」ザックスが言った。
「ああ!」ランセルも同意する。
「他の魔獣は、どんなのがいたんだ?」ウインレースが聞いて来た。
「25mくらいのグレーリザードがいたね」とアポン。
「いたいた」とアゴンが言った。
「どうしたんだい?」とザックス。
「アグルがやっつけたよ、ネエ?」とアポンが俺を見た。
「うん」俺は頷いた。
「1人でかい?どうやったの?」ザックスが俺を見ながら言った。
「ホールドしたんだけど、抑えきれなかったから、頭部を燃やしたらあっけなく死んだ」俺はなんとか長文で答えられた。
「頭を燃やしたの、魔法で?」ザックスが疑問を投げかける。
「うん」と俺。
「でけーだけで大したことなかったよな!」とアゴン。
「うん)と俺。
突然後ろから声がかかるった。知らない女の声だ。
「あなたがアグル君?すごい魔法使いなんですって?」
ふりかえるとそこには、生意気そうな少女が立っていた。
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