68 ソルトビル経由ゴーモリン

アラストルを出発して、俺達は、ソルトビルでオグレイヌとテスリーにあってからゴーモリンに帰る予定だ。

ソルトビルに着いたら、飲み屋を探す。オグレイヌは、すぐにみつかり報酬を渡した。(この人本当にSランク冒険者なのかしら?この様子を見ると信じられない。)

テスリーが女の敵として「クズ」だの「ゴミ」だの「ノミ」だのと呼び毛嫌いするのもの頷けるが、どうしてそういう男がモテるんだろう。不思議なものだ。この男はいつも女にモテモテで、横に女が引っ付いていない時を見かけない。まあ、女癖以外はいたって面白くていい男なのだが。


翌日、今度はテスリーの家へ行き、ゴランが報酬を渡しに入って行くと、テスリーは一緒に出てきた。

「またドラゴンが出た時は、手を貸してあげないこともなくってよ。

たまには美味しいものでも捧げに来なさいね。そのくらいの借りはあるでしょう!」と偉そうにタックドラスに言って、また家に入って行こうとして、、、ふりかえり、


「アグル君、私の弟子が君に興味があるみたいなの、

後でゴーモリンに行くかもしれないから、その時はよろしくね!」

と言ってから、家に入って行った。何かイヤ〜な予感がした。


その後俺たちは、ゴランと別れ、ゴーモリンに向かった。


この道はいつも盗賊が出る。……と思うと3日目でやはり盗賊がいらっしゃった。いつものように3人で向かう。


「どうする〜、アポンあれはなしな」とアゴン。


「ハイハイ〜」俺が手をあげる。


「珍しいね〜」とアポン。


「俺のサンダー、遠距離最大火力試してみたいんだけど〜」


「良いんじね〜」とアゴン。


「じゃ、イックよ〜」


向こうに見える盗賊の一群、25人くらいはいるかな?

また俺たちを子供だと思って馬鹿にしている声が聞こえる。

「新品の高そうな防具なんかしちゃって、どこのお坊ちゃんかしらね〜」


俺のサンダーがその集団全体に落ちた。

感電死……生きているものは1人もいなかった。


あらあら……身包み剥いで、死体を集める。

死体の仕末をする為にファイヤー1発、全てを焼き尽くす巨大な炎だ。


「お前、すごくなったな」とアゴン。


「本当に」とアポン。


「うん」俺が頷く。


最近は炎の大きさより炎の質にこだわり出した。より高温の炎になるようにだ。大きな炎は練習に困るのもあるが……。


馬車に戻ると、「ご苦労」とタックドラスの一言。


そうして5日目後にゴーモリンについた。

なんだかんだで4ヶ月ぶりのゴーモリンだ。


馬車から降りて、大きな伸びをする。

「アー、着いた着いた」と俺。


「リザトルさんは、まだ仕事かな?」とアポン。


「食堂の飯が懐かしいぜ、食いに行こう」アゴンが腹をさすった。


タックドラスさんと分かれて食堂に行くと、食堂の親父が驚いて言った。

「しばらく見なかったから、死んじまったと思ってたぜ」


「旅に出てたので」アポンが笑顔で答えた。


モルネットさんがやってきて、感激しながら言った。

「良かった、生きていたのね!」


「エー、やだな、死んでませんよ」とアポン。


「遅くなったが、今帰ったぜ」とアゴン。


「うん、うん」と俺。


「だってー、侯爵様に招待されて、美味しいもの食べたら帰ってくるーって聞いてたから。まさか侯爵様の無茶振りで、またダンジョンかドラゴン退治でもいかされたんじゃないか〜て。生きて帰れないかもね〜、死んじゃったな〜これは〜てだんだん話が大きくなってね〜」


「ご心配をおかけしました。」とアポン。


「すまねーな」とアゴン。

「うう、すみません」と俺。


「君たちのせいじゃないのよ。ごめんなさいね〜、でも良かったワ〜」とモルネット。


「ダンジョンもドラゴン退治も行ったけどな」とアゴン。


「よくわかったね。。怖いくらい」とアポン。


「うん」と俺。


「……ホント……だったの?……アンの!無茶振り侯爵ったら!」とモルネットが怒り出した。


「ドラスさんもだいぶ断ろうとしてたんだけどな!」とアゴン。


「侯爵しつこかったよねー」とアポン。


「うん!うん!」俺は激しく同意した。


「でも生きててホント良かったワ。お帰りなさい。」モルネットが微笑んだ。


「ただいま」と3人は改めて言った。



夕方リザトルとザックスが帰ってくると、またこの話になった。

「あの侯爵は、信用ならねーんだよ」とリザトル。


「やり方が、良くありませんね」とザックス。


「タックドラスも大変だよな、S級ともなるとな」リザトルが言った。


「ドラスさんって、元Sランクパーティーのリーダーだったんでしょう、凄いですね」ザックスが感心する。


「Sランク4人とドラゴン退治に行ってきたんだぜ、俺たち」アゴンが自慢する。


「そうなんですよ、ぼくたちドラゴンスレイヤーになったんですよ」アポンも言った。


「嘘だろう?お前らもドラゴンと戦ったのか?」リザトルが笑った。


「うう……戦った。」と俺。


「ほれ、俺達、Aランク冒険者なんだぜ、今」アゴンが冒険者証を見せた。


「………………」2人は目をパチクリしてそれを確認した。


「本物だ!」とリザトル。


「すごく強くなったんですね」とザックス。


「俺、抜かれたかもな?」とリザトル。


「ぼくは完全に抜かれてます」とザックス。


「お前は、行く前から抜かれてたけどな!」リザトルが笑った。


「ひどいですよ、リザトルさん」とザックス。


「それで、お前、どのくらい強くなった?」リザトルがアゴンに聞いた。


「こんくらい?」アゴンは首をかしげて答えながら、身体強化、身体超強化、物理攻撃耐性、魔法攻撃耐性、を重ねがけして見せた。


「ぼくも」アポンもそういうと、同じようにした。


「コリャ、まいったわ。教えてもらうのは、こっちの方になっちゃったな。Aランクだなここでも」リザトルは驚きを隠せない。


「Aランクですね…………」とザックス。


「これ、炎の魔剣」アポンが剣を出して見せる。


「これは、氷雪の魔剣」アゴンもだ。


「………………」リザトルとザックスが出された剣を睨んだ。


「あ、これお土産買ってきたんですよ、アラストルで」俺はお土産を渡して話を変えようとしたが、


「……………」リザトルとザックスは固まっていた。

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