67 Aランク冒険者
無事アースドラゴンを退治した俺たちは、アラストルに戻って侯爵に事の顛末を報告するべく鉱山を後にした。
アラトトヒルス、ソルトビル、そしてアラストル……15日間の旅、その間稽古もつけてもらい、成長を続ける3人。
ソルトビルで、オグレイヌとテスリーとは、お別れをした。
侯爵と謁見するなどまっぴらごめんなのだそうで、報酬などは、いつでも良いので後で届けて欲しいそうだ。彼らの気持ちも、わからんことではない。
俺たちも、そろそろ、ゴーモリンに帰りたくなっている。
アラストルに着き面識がある門番が声をかけてくれた。
「タックドラス様、ドラゴンを退治したとか、侯爵もお喜びでございます」
話はここまで伝わっているようだ。
「先日のホテルに話は通っているはずですので、そちらにお泊りください」
「わかった」
ホテルに着くとスタッフ一同でお出迎えされる。英雄扱いだ。
「明日にも侯爵様のお迎えがあると思います。それまでどうぞお寛ぎください」
「わかった」
部屋に案内された。スタッフのへつらい方が凄い。
ドラゴンスレイヤーともなると、こういうものかな……などと思う。
「俺たちって、ドラゴンスレイヤーになったんだな」とアゴン。
「12歳で、ドラゴンスレイヤーってすごくない?」とアポン。
「4人についって行っただけだけどね〜」と俺。
「俺たちだけじゃ、倒せね〜からなあ〜」アゴンが言った。
「でも、あの場にいて、死んでないだけでも凄いんじゃない?」とアポン。
「まあ、それもそうだけどな」と俺。
「ほら〜」とアポンが最高の笑顔を見せた。
「側からみたら、ドラゴンスレイヤーの付き人というかんじじゃないかな?」俺が言った。
「実際、そんなもんだしな。」とアゴン。
「ゴランさんに教わって、防御力めちゃ上がったよね」口をへの字に曲げてアポンが話を変える。
「うん、頼んで良かったよ、」と俺。
「俺たち強くなったよな」とアゴン。
「強くなったよね。」とアポンが今度は嬉しそうだ。。
「うん。」俺も頷いた。
部屋に訪問者が入ってきた。
アラストル冒険者ギルドのギルド長、ハウゼンだった。
「突然きて悪かったかな?」とハウゼン。
「イヤ、問題ないぜ」とタックドラスが言った。
「ドラゴン倒したって?」
「倒したぜ」とゴラン。
「2人でか?」とハウゼン。
「イヤ、ソルトビルでオグレイヌとテスリーを拾って行った」とゴラン。
「実際戦ったのはコイツらもだ。7人で倒した事になるな」とタックドラス。
「ほう〜〜」とハウゼンが続ける。「うちの2人とは一緒に戦えないが、この子達とならOKだったということか。確かにな、それにあの時より強くなってるな」ハウゼンがアグル達を品定めするように眺めた。
「俺がしごいたからな」ゴランが得意そうに言った。
「フーン、君達、アラストル冒険者ギルドのAランクで登録しておかないか?何かと箔がつくぞ」ハウゼンが俺たち3人の方を向いて言った。
「いいんですか?」俺たちは食いついた。
「勿論だとも、君たちは12歳のドラゴンスレイヤーなんだしな。
まだまだ強くなりそうだし、話題性もじゅうぶんだし」とハウゼン。
「実力は十分ではないんですか?」とアポンが聞く。
「イヤイヤ、実力は言うまでもなく十分だよ」とハウゼン。
「登録します」俺たちは顔を見合わせながら答えた。
「Aランク冒険者は、ギルドの指名依頼が入ったら受けなければならんぞ」ハウゼンが言った。
「受けなければ、どうなるんですか?」と俺たちは聞き返す。
「3回連続して断れば資格を剥奪、Cランクに格下げだな」とハウゼン。
「ならいいか?」とアゴン。
「いいんじゃない。」とアポン。
「うん」と俺。
「じゃ、決まりだ。ギルド長権限で、君たちはAランク冒険者で登録する。
明日以降ギルドに登録証を取りにきてくれ」ハウゼンが笑った。
「はい」俺たちも喜んだ。
俺たちはAランク冒険者になったのだ。
次の日、侯爵との謁見になった。謁見の間に待たされる俺たち。
アラストル・ジークバーン侯爵が側近達を連れて入って来た。
俺たちは跪いて侯爵を迎えた。
「よい、立て此度は、ワシの我儘を聞き届けてくれてすまなかったのう」と侯爵。
「そちらとて、ドラゴンが相手では命懸けであったろう」
「…………」黙るタックドラス。
「そちら5人でドラゴンを討伐したのか?仲間を探すと申しておったが?」と侯爵。
「はは、ソルトビルにて、オグレイヌ、テスリー、の2名に助力を求めました」タックドラスが答える。
「して、その者達はどうしたのじゃ?」侯爵が尋ねる。
「ソルトビルに戻り傷を癒しておりまする」とタックドラス。
(傷なんておってないけど、そうでも言わないと咎められるからね、嘘も方便というやつだな。)と思うアグル。
「さようか。それほどの激戦であったか、さもあろう、相手はドラゴンじゃからのう」
(怪我一つしてないんですよね……テヘペロ!)
「後ろに控える若者3名も戦ったのか?」侯爵がアグル達3人に目をやった。
「もちろんで御座います。アラストルギルドにて強き者を探しましたが、我が弟子共に及びませんでしたので、力不足のものなれど参戦させました」とタックドラスが言った。
「何、そちの弟子であったか。これは楽しみじゃの」
(何が楽しみなんだろう〜、怖いよ〜、何させるつもり………)
「さて、7人に褒美を取らせねばならぬが、ドラゴンの死体はどうしたのじゃ」
「は、持ち帰ってございます」とタックドラス。
「見せよ」と侯爵。
「ここでは、狭く出せませぬゆえ、外でならばお見せできまする」タックドラスが答えた。
「そうか、ドラゴンを一度見たかったのじゃ、後で見せてくれ」侯爵が身を乗り出した。
「さて、褒美じゃが…………金2000を取らす。ドラゴンの死体もそちのものゆえ、自由に売って良いぞ」と侯爵。
「はは、ありがたき幸せ」とタックドラスが頭を下げた。
その後、中庭でドラゴンを出して見せて、謁見は終わった。
ドラゴンの死体はギルドで引き取ってもらい後でオークションにかけられるそうだ。とりあえず、報酬は1人金300くらいの均等に分けた。
金の使い方を話し合い、俺は良い剣が欲しいとアゴン、アポンに相談したところ、街で一緒に探そうとということになった。
アポン達も良い防具が欲しいそうだ。
大きな商会の店で新品の防具と盾、俺の剣を買い揃えた。
ゴーモリンでは売ってないだろう良品で、高かったけれどお金には、余裕があった。リザトルさんとザックスにちょっとした土産も買った。
ゴーモリンの帰る準備は整った。
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